表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
龍狩と赤龍  作者: 丘野 境界
龍狩
23/41

作戦成功と逃走

 龍達は一斉に襲いかかってきた。

 もちろん、フィーロも勝てるとは思っていなかった。

 ので、ここからは逃げに徹することにした。

 四頭の龍をいなし、王都の外周に沿って再び時計回りで南へ向かう。


 フィーロの後ろを赤龍達が追う……が、追いつけない。

 リーチ、歩幅では大きく有利な龍達だが、それ以上に体重差がモノを言った。

 中身は龍でありながら人間サイズであるフィーロは、こと素早さに掛けては圧倒的なアドバンテージを有しているのだ。


 王都から離れ、さらに南下するとやがて大きな崖が見えてきた。

 そしてその手前には龍騎士団の飛行船が浮いており、白龍の死体を置いているところだった。

 一旦バラされていたそれは、加工前だったからだろう、可能な限り原型に近い形に戻されていた。


「さっさと逃げろよ、飛行船。巻き込まれるぞ」


 飛行船がさらに上昇し、王都に戻っていく。

 一方フィーロは死体の前で急ブレーキ、百八十度反転し、ずいぶんと引き離した赤龍達を待った。

 それからふと思いついた。

 本当は崖から捨てようかと思ったが、うっかり海に出た時、この肉を漁師が獲ってしまっても事だ。

 死体の上に立つと、油龍ベニバナの力を解放し、手から大量の油を分泌した。

 当然ながら、それは足下の白龍の死体を濡らしていく。


「こんなもんか」


 龍騎士団が目印に置いて行ってくれた松明を手に取った。


 待つことしばし、赤龍達がやっと追いついてきた。


「遅かったな」


 白龍の死体を見て、赤龍が吠える。

 だが、近づけない。攻撃出来ない。

 何故ならば、白龍を覆う油に気づいたからだ。フィーロのもつ松明に気づいたからだ。

 攻撃すれば、白龍の死体も炎上してしまう。

 その、赤龍らの躊躇を見抜いた上で。


「そして、残念だったな」


 いともあっさりと、フィーロは白龍の死体目掛けて、松明を投げた。

 松明の火は油に引火し、勢いよく死体が燃え上がる。

 赤龍が、絶叫した。

 通常の油なら、死んだとしても龍の身体、そう易々と燃えたりはしない。

 だが、濡らしていたのは龍の油だ。

 元より熱との相性が悪い白龍の死体は、見る見るうちに焼けていった。


 そしてもはや手遅れと、互いが悟った所で、赤龍は怒りの炎をフィーロ目掛けて放とうとした。

 同時に光龍も口も光線を溜め、空龍も引火性毒ガスを吐き出す寸前だ。

 鉄龍は待機していたが、炎がやむと同時に突進してくるのは明らかだ。

 そんな状況だが、フィーロは平然としていた。


「まあ待て」


 言って、フィーロは首に掛けていた、龍の卵の首飾りを見せた。


「俺を攻撃すると、お前の娘が困った事になるぞ?」


 炎を吐きかけた態勢のまま、赤龍達が硬直する。

 白龍の死体がほとんど灰になるのを見計らい、フィーロは後ろに跳んだ。

 断崖絶壁の崖であり、一番下には激流がある。


「さすがに、四頭同時に相手にするつもりは、俺にはないからな。いずれまた会おう」


 そう捨て台詞をぶつけ、フィーロは自然落下に身を委ねた。

 何度目かになる赤龍の絶叫を耳に、今晩はよく眠れそうだ、と思うフィーロだった。

 こんなにスカッとした夜は、久しぶりだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ