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龍狩と赤龍  作者: 丘野 境界
青年期
13/41

懐かしき邂逅と死

「がは……っ!?」


 白龍と共に、フィーロも血反吐を吐く。

 背中と右足をやられた。

 転がり、湿った地面に倒れる。



 空の飛行船から、ロープを伝って全身甲冑の龍騎士達が沼地へ降下してくる。

 団長らしき男が声を上げる。


「屠殺隊、捌け!」


「はっ!」


 隊の一つが駆け、白龍の胴にある鱗を剣で削っていく。皮を剥いでいく。肉を捌く。骨を解体していく。


「やめ、ろ……」


 フィーロは立ち上がったが、それ以上動けなかった。

 いや、まだ腕は動く。

 手に持った骨剣を構え、振り返った。

 葉の髪や牛の角を持つ巨大な異形種に、龍騎士達がわずかに気圧される。


「獣魔術師の末路だ。禁呪に手を出した罪人だ。遠慮はいらん。討伐隊、やれ!」


「はっ!」


 ザザザ……と騎士団が蠢き、陣を整える。

 まるで集団が、一つの生き物であるかのような動きだ。


「陣形・顎!」


 隊の一つが跳躍し、頭上から津波のようにフィーロに襲いかかる。

 しかしそれを凌いでも、突進してきたもう一隊を捌く事が出来ないだろう。

 ならば、とフィーロは湿地を転がり、横から骨剣を振るった。


「陣形・盾!」


 振るった骨剣は、後方から滑り込んできた隊の龍皮盾によって防がれた。

 そうしている間にも、フリゼの身体は屠殺隊とやらに、それぞれの部品へと分解されつつあった。

 最後の力を振り絞り、フィーロは立ち上がる。

 もう一度ぐらいは、火砕撃を撃つ力を出せそうだ。

 その後は知らん。

 しかし龍騎士団は非情である。


「盾の半分はそのまま陣形・流星雨撃てい!!」


 弓のように陣が大きく引かれ、正面左右そして跳躍して頭上からも、剣を構えた龍騎士達が一斉に躍り掛かってきた。

 時間差を置いたその波状攻撃は、まさしく流星雨。

 足を踏ん張り、腕を振りかぶり、フィーロは渾身の火砕撃を正面の相手に叩き付けようと決意する。

 が。

 正面から駆け、剣を突き出してきた龍騎士の一人。

 それが、フィーロの誤算だった。

 兜を着けていても、それが誰か分かった。

 どこか懐かしい、金色の襟足が揺れていた。


「ユージン……」


 思わず、腕から力が抜ける。

 呻き声でしかないそれに、相手も気づいた。異形種の腕に巻かれた、銀色の鎖にも見覚えがあった。


「フィーロ……?」


 異形の化物の全身をユージンの、龍騎士達の剣が貫く。

 持っていた骨剣も砕けた。


「不覚……っ」


 いっそ気持ちいいぐらいに吹き飛ばされ、一瞬浮遊感を得たかと思うと、生温い液体が背中から全身へと伝わり、フィーロの身体は沼に沈んだ。



 ……脅威は去った。

 白龍を何故か守っていたらしい異形種は相当に大きかったが、それも何とか無事に倒す事が出来た。

 今回の白龍はかなりの希少種だ。

 いい武器や鎧が作れるだろう。

 屠殺隊は龍の部品を大きな布に包み、飛行船に引き上げさせている。

 龍骨剣、それに手に包まれていた卵に、龍騎士達は沸き立った。


「よくやったな、ユージン」


 龍騎士の一人が、沼の縁でうずくまっている後輩に声を掛けた。

 何だか、様子がおかしい。


「……ユージン、どうした?」


「そん、な……」

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