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第一章 「始まりと終わり」

第一章




それは、純白の艶のある正方形の箱だった。いや、箱ではないのかもしれない。膝下くらいの大きさのちそれは、スイッチはおろか、どこにも傷やくぼみはなかったからだ。

とりあえず運んでみようとすると以外にも重かった。ただ見ていると、たちまち吸い込まれそうになるほど白く美しく、周囲との奇妙さを醸し出していた。触れたら指先から血がスパッッと飛び出しそうなくらい、鋭利な角をしていた。

しかし、ここは自宅の玄関の前である。中学三年生の小豆畑あずはた 晴太せいたは、学校の夏季講習から帰ってきたところだ。礼河らいか町の灯ヶとうがさき駅から徒歩3分、路地をちょっと入った、春には桜並木が…というのは、この際どうでもよかったが、こんな事をずっと考えていたい位、目の前の光景が現実離れして理解し難い状況であった。しかし、この状況を打開するのが先決だと晴太は、考えた。だが、考えるにも自分でも状況を掴めていない。

今日、学校が終わってから帰り道、ここまでは、何もいつもと変わりなかった。そう、全くもって普通だった。

数分後、このいつもの普通が、普通では無いことを知らされるまでは……







晴太は、奇妙な白い箱をただ呆然と見下ろしていた。すると、横から見知った顔が歩いて来るのが見えた。

自分がまだ言葉を喋れないころからお世話になっている、近所の叔母さんだった。背筋がピンと伸びているその姿は、いつもと変わらず、気品が漂っていた。

「こんにちは。晴太さん。」

いつものように話かけられたのだが状況が悪いので、しどろもどろしていると、

「どうかなさったのですか?」

素早い叔母さんの一言。それに負けじと、言葉を返す。

「いや、実は、家の前になんだかよくわからない大きな白い箱のようなものが置いてあったのですが、何かご存知ですか?」

「いいえ、私は何も知りません。ところでそれは、どこにあるのですか?」

「ここにあるのが見えないですか?」

晴太は、足元にあるはずの箱を指差した。

「ええ何も見えません。玄関の門があるだけです。」一度、叔母さんの方へ顔を向けてから、もう一度箱を見た。

やはり、そこに箱は……ある。

その瞬間、自分の視界が金色の光に包まれた。







目を開けると、視界は夕焼けのようなオレンジ色が一面に広がっていた。なので少しレトロな感じがする。だが、風景自体は、さっきまで見ていた家の前に立っている時と同じだった。

突然、話をしていた叔母さんが歩きだして、後ろを通り過ぎようとしていた。

「叔母さ…」

「無駄。」

突如、背後から聞き覚えのない声をかけられた。

反射的に声の方へと、体を向けた。

そこには人の形を模した流線形の蒼く透き通った水?が、立っていた。

「記憶は、消えているから。」

よく見ると顔に当たるだろう部分に瑠璃色の瞳、上に向けて尖っている耳、体の色と同じように透き通った口、頬にはえらのようなものがあった。どうもこれが喋っているらしい。

全く状態が掴めないので、動揺して語勢が強くなりがちだが、とにかく聞いてみた。

「どういうことだ。記憶が消えているって。君がやったのか?そもそもここはどこなんだ?君は誰なんだ?」

「いっぺんに聞かれても答えられない。一つずつ説明する。」そう言って、腕のような渦巻く水の塊を少し上げて人差し指?を立てた。

「まず最初に、私の名前、アフェクタ・ラノ。最初には名前を名乗るのが貴方の世界の常識だったはず。そして、私は貴方の世界の者ではない。しかし、貴方の今いるここは私の世界ではない。」

ーーなら、ここはどこなんだ?と言いたかったが、見たことも聞いたこともない相手、しかも貴方の世界の者ではないとか言ってるので、黙って聞いていた。

「貴方の世界、そちらの言葉を借りれば地球の陸上に住む人間。私達の世界の言葉では『ラーロレウァン』と呼ばれる。ここは、世界と世界の境界線『フーガン』。世界を移動するには特定の動作が必要。そこで貴方はさっきの白い箱『アーティファクト 月影ツキカゲ 』、名前は箱の製作者が、貴方たちの言葉から取ったらしいけど、これに一度触れて使用者登録をされた。つまり、私と契約を結んだ。だから私と貴方はここにいる。」

晴太は、全く理解出来なかったが、よく喋るのでそのままにしておいた。

「月影を指差しながら相手の顔を見る。そして、相手を意識しながらもう一度箱をみる。そうすると、技が発動し成功すると相手の記憶が一部消える。それと共に『ノーガン』に移動する。そう、貴方は、上級精神技、記憶消去をした。」

ラノは、上げていた手を腰に回した。

「ここまでは、分かった?」

「全く分かりません」即答。

「まあ、いい。今、分からないのは仕方が無い。場所を移動する。実際に見たほうが早い。」

ラノは、手を握り左腕を天に高く上げ、握っていた手を開いた。

「早く私の腕につかまって。」

液体が流れを作り、全身を循環している謎の物体に触れるのに抵抗があるが、勇気を振り絞って、言われたとうりつかまった。ただし、ラノは女性のようなので腕ではなく肩に。

「最初は慣れないから気絶するかもしれない。死なないから大丈夫。」

えっ、気絶するの?そ、そんなぁ~

と思うのもつかの間、ラノの上げていた左手が光り出し視界が闇に包まれた‥








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