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死処  作者: 詩音
2/17

1話:詩乃

 一応主人公である、死にたい少女の始まり部分です。




 毎日が、ただつまらなかっただけだ。



「詩乃、何処行くの?」

「屋上の階段。」

「ふーん、行ってらっしゃい。」

 友人は一応いる。でも深い付き合いはしない。ベタベタするのが嫌いだし、正直友情とか面倒くさい。今時の女子高生が言う台詞ではないが。

 私の数少ない友人もかなり適当な人間で、あちこちの女子と話をして飽きたら他へ移動する器用な(飽きっぽい)人間。だから、こんな軽い関係が楽で良かった。



 私、岡本詩乃(オカモトシノ)が通う深台高校はいたって普通の学校。どちらかというと馬鹿の集まりだ。

 つまり私も馬鹿の一人ということになるが、私の所属している二年生の中では十位くらいに入る頭は持っている。まぁ、登下校に便利な場所が此処だから入学したという安易な話だ。

「あー…面倒くさい。」

 これが私の口癖。学校では一日に五回以上言ってると言われた。



 屋上に続く階段を昇りきり、ブレザーのポケットに手を入れる。

 携帯電話や友人からもらった飴玉、そんなものの中に紛れてひんやりした金属物…鍵をつかむ。




カチッ……




 屋上の鍵が開いた。戸惑うことなく私は扉を開く。

 本来なら屋上は開放禁止とされているのだが、私は卒業した先輩からこの鍵をもらっていた。



「ちゃーんと上手く使いなさい?」



 そう言った先輩はこの前飛び降り自殺をした。学校の屋上より遥かに高いビルで。

 先輩はこんな場所で一人何を考えていたのだろうか。そんなことを頭に浮かべ、今日も屋上のど真ん中に寝転ぶ。

 しばらく横になっていると風の変化を感じた。




 私は立ち上がってフェンスに近付く。

「……。」

 高いところは風が強い。肩に軽くつく茶髪が大きく揺れた。

 このくらいの高さじゃ死ねないか…。

 心の中でため息をつく自分に少し笑ってしまった。



 私も自殺した先輩と同じように死にたいのかもしれない。

 ただ、なんとなく自殺は嫌だった。だから事故や事件でもあれば…なんて思うものの、この町で大事件なんか聞いたことない。何気無く携帯電話を見れば下校時刻になっていた。

「バイト行かなきゃ…。」

 フェンスから離れて階下に降り、バイト先のコンビニへ向かった。

「面倒くさい…」

 いつものように口癖を呟きながら。








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