世界で一番
いつもの僕の作品とは、違った怖さが出せたかなと思います。
目が覚めると僕は不思議な場所にいました。
その場所は全体がお菓子でできていて、柱も壁も天井も全てから甘い香りがします。
床はお菓子の包み紙に出てきているようで、僕が動くと シャカシャカと音がしました。
ここは広くて、どこまで続いているのかわかりません。
僕は 起き上がって歩き出しました。
シャカ…シャカ…シャカ
歩き続けても 僕以外の人は見当たりません。
心細くなった その時 通路の奥に人影が見えました。
走っていくと、昔からの友達がいました。
「な〜にしてんだよ!こっち来いよ!」
友達は僕の手を引いて ウエハースでできた 階段の上へと連れて行きました。
「わぁ…!」
そこは お菓子でできた広場でした。
タイルは階段と同じく ウエハースで窓の縁にはカラフルなグミが敷き詰められています。
椅子はマカロンで綿あめがクッションになっているようです。
テーブルはクッキーや ビスケットでできていました。
あまりにも綺麗な光景だったので、うっとりと見惚れているとお父さんの声がしました。
「ほら、これ食べてごらん。」
お父さんがたくさんのお菓子をお皿に盛って僕に差し出してくれました。
お母さんやおじいちゃんやおばあちゃんも、楽しそうにお菓子を食べています。
「ねぇねぇお兄ちゃん!ケーキの丘で鬼ごっこしようよ!」
弟が僕の袖を引っ張って言いました。
しばらく 友達と話したり、家族とお菓子を食べたり 弟と鬼ごっこをしたりして過ごしました。
鬼ごっこを終えて 一息ついていると肩を叩かれました。
「ねぇ、ジュースの滝とサイダーの湖がきれいに見える場所があるって…見に行かない?」
声をかけてきたのは、僕の恋人のユカちゃんでした。
「も、もちろん!行こう!」
2人で手を繋いで歩いて行きます。
1人でいるのが不安だった僕はもう幸せな気持ちでいっぱいになっていました。
家族とも仲が良く
友達からは信頼され
恋人から慕われる
きっとこの世界で 僕は一番幸せです。
はっと、目が覚めました。
スマホのアラームが朝の7時を告げています。
うるさくなるアラームを片手で止めて、僕は寝転がったまま 天井を見上げました。
しかしこのまま寝ているわけにはいかないので、僕はベッドから起き上がりました。
ゴミ袋 まみれの部屋を歩き、洗面台へと向かいます。
足元は歩くたびに ゴミ袋のシャカシャカという音がしました。
洗面台につくと鏡に映っていたのは、
家族から見放され
友達から縁を切られ
恋人から失望された
僕が立っていました。
家の外から家賃を払うように と叫ぶ大家さんの声がします。
水を流そうとしても 水道が止められているので水は出ませんでした。
どこから間違ってしまったんでしょう。
受験を失敗してこの世の全てに絶望した時でしょうか。
家族と喧嘩をして家を飛び出した時でしょうか。
消費者金融もとっくに上限までいき、友達に頭を下げてお金を借りようとしたけれど見放された時でしょうか。
たった1人の大切恋人からも「もう、あなたとはやっていけない」と別れを告げられた時でしょうか。
どこから 間違えてしまったのか もう僕には分かりません。
その場で 僕はうずくまりました。
これを読んでいるあなたに お願いがあります。
僕を助けてください。
きっと、この世界で僕は一番不幸です。
最後まで読んでくださりありがとうございます!
今までの、「夢だと思ったら現実」の反対バージョンのホラー系統を執筆してみましたm(_ _)m
他の作品も読んでくださると嬉しいです!




