表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/13

8 おとなしすぎるよ

 翌年4月、あたしは社会人になった。スーツは動きにくく、歩くとパンプスが靴音を立てた。職場で最初に云われた。

「分からないことがあったら、何でも聞いて」

あたしは頷いた。ただ、どこまでが〈分からない〉ことに含まれるのかは、誰も教えてくれなかった。

最初の評価面談は3か月後だった。

「真面目だよね」

直属の上司は資料をめくった。

「仕事も丁寧。ただ、ちょっとおとなしすぎるかな」

その言葉はどこかで聞いたことがある。新しい言葉ではなかった。

「もっと前に出てくれてもいいと思うよ」

あたしは頷きながらメモを取った。内容よりも文字を書くという行為が必要だった。同期の中には、失敗しても目立つ人がいた。叱責されても、名前は覚えられていた。あたしは失敗しなかった。だから評価は悪くない。でも改善点はある。それはいつも同じだった。

〈おとなしすぎる〉

 仕事に慣れてきた。新しい業務が増えても、混乱はしない。誰に何を聞けばいいか、分かっていた。会議では全体の流れも見えている。誰が発言し、誰が黙るか。どこで話題が逸れ、どこで収束するかなど…。あたしは発言しない。でも要点は整理してある。

「助かるよ」

そう云われることが増えてきた。評価は相変わらず安定している。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ