顧問はお姉ちゃん
武田先生は美人でキリッとしたカッコイイ系でもあるので女子の人気も掴んだようだ。もちろん男子もだ。武田のお姉ちゃんということはすぐにバレた。武田が自分でバラしたようなものだった。
「お姉ちゃん、違う武田先生……」
そして上杉もだった。こちらはわざとだな。
放課になるたびに上杉が武田の席に来る。そしてお尻を俺の席に半分乗せてしゃべるから居心地の悪い俺は廊下に出て過ごすことになる。
「大変だな」
見かねた北畠と斎藤が俺に話しかけてくれる。そんな三人の後ろを上級生がしゃべりながら通り過ぎた。
「ゲームクラブ活動停止だってね」
「そりゃああんな大きな音でエッチなゲームやってたらね」
「キモかったからよかったよ。このまま廃部になればいいのに」
えっ?俺と武田が入ろうかと言ってた部活、ゲームクラブなんだが。
俺は教室に戻り武田の前に立った。上杉が何か言う前に武田に言う。
「ゲームクラブ、活動停止だって」
「えっほんと?そうかぁ、活動停止かぁ。どうしようかなぁ?他に入れるところあるかなぁ」
「薫ちゃん、なら文芸部に入らない?」
「文芸部?」
「あそこなら先輩方も優しいし顧問もお姉ちゃん、武田先生だから安心だよ」
「お姉ちゃんが顧問かぁ。でもいいかも。織田君もはいるよね」
「だめ「入ってくれると嬉しいなぁ」」
くっ、上杉がいる部だとこれからもいろいろ言われそうだ。しかし、数少ない話の合う女子といっしょなのは捨てがたい。何よりどこに行っても武田の隣には上杉がいるだろう。
「わかった、俺も入る」
「やったー」
「えー…………薫ちゃんが言うなら仕方ないわね」
昼放課、一人で食堂に行こうとすると上杉に捕まった。
「あんた弁当は?ないならパンを買って。部室に行くわよ」
「えっ?放課後じゃないのか?」
「先輩方はいつも部室で食べてるの。ちょうど良いから薫ちゃんもあんたもいっしょに紹介するわ」
先輩方は四人。全員が女子。唯一の男子の俺は居心地が悪い。いや、上杉も男子だが数にははいらないだろう。
「嬉しいわぁ、やっと男子が入ってくれた」
「武田君と織田君と二人だね」
予想通り上杉が反論する。
「武田ちゃんよ。薫ちゃんは女の子。そして私が男の子。織田は男と言うのも残念なイキモノ。女子一人、男子一人、あとは残念なイキモノよ」
「ひでー、そこまで言わなくても」
「まぁまぁ、織田君はれっきとした男の子だよ。先輩方、武田ですよろしくお願いします」
あぁ、武田、天使。
「織田です。よろしくお願いします」
「改めて上杉です、よろしくお願いします」
そのあと先輩方の自己紹介と活動の紹介。それから部室の使い方を教えてもらった。居心地良さそうでよかった。でも1年間で小説を四作は結構ノルマとしてきついかも。
そろそろ教室に戻ろうかとしたら入り口が開いて武田先生が顔をとぞかせた。
「あらみんな揃ってるのね。こんなに新入部員がいるの嬉しいわぁって薫ちゃんも居るんだ。ところで佐竹さん、ちょっといいかな?」
武田先生は部長の佐竹さんを呼び止めた。そのままいっしょにいようとした上杉を武田が引っ張って行く。上杉は後ろ髪引かれるような顔をしながら俺たちと教室に戻った。




