美人三姉妹?
翌日、ちょっと気まずかったけど、今まで通りの武田の笑顔にほっとする。
「おはよう!」
「おはよう」
こうやって見ると確かに女の子だよな。武田をまじまじとみるとそう思う。
そこに上杉が割り込んできた。
「薫ちゃんにはお前みたいなのはだめだからね。ほらほら離れた離れた。薫ちゃんのそば100mは近寄るな」
「そんなに離れたら従業をうけられなくなるだろ」
「あんたが悪いのだからしかたないでしょ、教室からでろ」
そんな二人を見て武田が助け舟を出してくれた。
「授業を受けられないのはかわいそうだよ。それに昨日のことはお互いさまってことになったじゃない。伊織ちゃんが心配するのうれしいけど、あまり織田君をいじめないであげてくれない?」
おお、武田が女神様に見える。そういえば、昨日から疑問に思ってたことを聞いてみる。
「お前ら付き合ってるの?幼馴染で?」
「「付き合ってない!!」
声がぴったしだ。どうだろうか? でもちょっとほっとしたのはなぜだろう。
「伊織ちゃん、日直じゃない?」
「織田もだよな」
忘れてた。昨日から日直があったんだ。上杉、織田は出席番号の最初の方なので今日が当番だ。二人そろって職員室に向かうのだけど、気まずい。なんていうか上杉からピリピリした棘のような雰囲気が漂ってくる。何も言えずに職員室に着き扉を開ける。
「あら、伊織ちゃん?」
声を掛けてきたのは、確か国語の武田先生だ。武田? あれ? どこかで。
「お姉ちゃん、おはよう……ございます」
「お姉ちゃんじゃないでしょ、学校では武田先生か遥先生よ」
あれ? なんか上杉の雰囲気が柔らかくなった。というより甘い感じがする。それにしても、女装している上杉に普通に話しているし、上杉もお姉ちゃんって言ってるから前からの知り合いか?
「あら、そちらは、お友達、じゃなくてそうか日直かぁ。北条先生、クラスの子がきてますよ」
呼ばれて振り返ったのは若い男性の教師……クラス担任の北条明人先生だった。
「あぁ、ごめんごめん、今日は何もないから。ご苦労様」
「せっかく来たから先に授業のプリント持って行ってもらおうかしら。一時間目は私の授業よね」
北条先生の言葉でほっとしたところに武田先生から用事を言いつかる。
「はーい、どれですか?」
「待ってて、今持ってくるから」
上杉が嬉しそうに、犬のように尻尾振ってるんじゃないかと幻の尻尾が見えるように喜んでいるのがありありとわかる。
教室まで、なにも言わず、聞きたいことあるけど、言えずに歩いていく。
「何よ?言いたいことあるんでしょ?」
ふいに聞かれて慌ててしまう。えーと、何を聞こうか?
「お前、武田先生のこと好きなの?」
よりによってこんな質問か。我ながら大失敗だ。
「な、な、なに言ってるの。お姉ちゃんは、薫ちゃんのお姉ちゃんで昔から可愛がってもらって、お姉ちゃんだから、お姉ちゃんなのよね……」
「悪い、変なこと聞いた。忘れてくれ。それにしても武田先生美人だな。武田と武田先生美人姉妹か。いや、上杉も交えて美人三人姉妹か」
「また、変なこと言わないの。それに私が美人なのは世の常識、世界の常識よ。いまさら言わなくても良いことなの」
そういうとちょうど到着した教室に入り教卓にプリントの束を置いてクラスに配り始めた。




