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グレイセス屋敷を襲撃。3

「1人と一匹増えたからと言ってなんだ! すぐに切り刻んでやる!」


 兵士達が意気込んでアレクに切り込むがすぐに返り討ちにされる。


 その後も次々に切り掛かるが全く歯が立たない。


「くっ……強い!」


 兵士達が手をこまねいていると、屋敷の方から火の手が上がった。


「はっはっはっ! アリシアさえ始末できれば良いのだ! この数にお前達が勝てるはずがない! アリシアが焼き殺される様をそこで見てるんだな!」


 王子の近衛兵の男がそう言って勝ち誇ったように高笑いを浮かべる。


 屋敷に付けられた炎は見る見るうちに屋敷を覆い、黒煙を振り撒きながら空へと上がっていく。


「くっ……馬鹿な真似を…………アリシア!!」


 アレクは苦虫を噛み締めたような表情をしながら叫ぶが無慈悲に火の手が屋敷全体に広がる。


 絶望の中、それを見ていたアレクの水色の瞳が濃く染まり光を失う。


「許さぬ……許さんぞ……貴様ら……」


 アレクは剣を兵士達に向けると、低く抑揚のない声で呟く。


「守護精霊オーディンよ……我が呼びかけに応えよ」


 殺気に満ちた低い声がその場に響くと、雲が裂け天から光の柱が降り注ぐ。


 そこから白髪に立派なあごひげを蓄えた巨大な老人が光と共に現れた。


 その老人が息を吐くと風に冷気を纏ったその息が周囲の地面を瞬時に凍てつかせ、兵士達を一瞬のうちに氷漬けにした。


 アレクはそれを見て剣を鞘に納めると、すぐに燃え盛る屋敷に向かって走り出す。


「……アリシア」

「陛下! いけません! 陛下!!」


 制止するアルベルトの声も聞かずに燃えている屋敷に向かって走って行くアレク。


 屋敷の玄関を蹴破るとそこはまさに火の海だった。


 油を巻いたのだろう。周囲には木の燃える臭いと混じって異臭も立ち込めている。


 燃え方からして一階の全ての部屋に火を放ったのだろう。アレクは直感的に最上階にアリシアがいると考えて階段を駆け上がって行く。


「アリシア! どこだ! アリシアー!!」


 燃え盛る炎の中を走って二階の一番奥の部屋から煙に咳き込む声が微かに聞こえた。


「……ここか」


 アレクは扉に体当たりすると、扉が勢い良く開いて中にいたアリシア達を見つけた。


「アリシア! もう大丈夫だ!」

「コホッ! コホッ! アレク……」


 アレクは窓から身を乗り出すと口笛を鳴らす。


 その音を聞きつけ、白いドラゴンが窓まで飛んで来る。


「さあ、アリシア……早く!」


 だが、私はそれに首を横に振った。


「私は最後で構いません。先に皆を……」


 その視線の先にいた怯える使用人達を見てアレクは呆れたように笑う。


「……分かった」


 アレクは燃え盛る炎の中、次々に竜の背中に人を乗せて地面に下ろしていく。

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