グレイセス屋敷を襲撃。2
まあ、こんなことをしたところで正規の軍隊にどのくらいの足止めになるか分からない。
階段を登って来る兵士達の甲冑の鳴る音が徐々に近づいて来ていた。
まさに絶体絶命といった状況の中、外から兵士達の叫び声が聞こえてきた。
「な、なんですの!?」
窓から外を見ると、そこには真っ赤な鱗のドラゴンと長い両刃剣のクレイモアを持った赤い甲冑を身に付けた騎士が戦っていた。
「アレク様の遣いで参りました! アリシア様! アリシア様はどこにおられるか!!」
向かって来る兵士達をクレイモアで薙ぎ倒しながら、大きな声で叫ぶ騎士に私は窓から手を振って叫んだ。
「アレク様の遣いの方、私はこっちですわー!!」
「おおー、アリシア様! 皆、ご無事か! 居場所が分かれば手加減する必要はない! これからは全力で行きましょうか!!」
クレイモアを振り回しながら兵士達に囲まれている騎士は笑っていた。
「ドラゴンを従えてようとも所詮は一人だ! 囲んで袋叩きにすれば勝てる!」
「さあ、それはどうかな?」
「……ほざけぇぇぇえええええ!!」
槍を持った兵士は槍を突き出して不敵に笑う彼に襲い掛かる。
「なぜ、我らアポロノーゼス帝国の人間がドラゴンを従えられるのかを教えてやりましょう! 我、アルベルト・レリアベルクが命じる。顕現せよ! 我が守護精霊……イフリート!!」
アルベルトが手を天に向かって振り上げると、火柱が上がって向かって来ていた兵士を包んで断末魔が周囲に響き渡る。
炎が収まると、アルベルトの周囲に炎が集まり女性の姿を模った。
「イフリート。私と共に戦ってくれ!」
炎でかたち作られた女性は頷くと、炎を纏って兵士達を業火の中に飲み込んでいく。
赤い鱗のドラゴンも火炎を吐いて戦うがさすがに多勢に無勢。次第に追い込まれて行く……
「さすがに数が多いですね……」
アルベルト達を囲むようにして兵士達がじりじりと迫る。
その時、上空から見たことのある白いドラゴンがやってきた。
ドラゴンはアルベルトを取り囲む兵士達の輪に飛び込んで突き崩すと、その白いドラゴンの背中から白銀の甲冑を着た男性が飛び降りた。
「アルベルト! 助けに来たぞ!」
「陛下! なぜ単身で!?」
「後から部下達も来る! 俺のエンシェントドラゴンのシルビアは速い……分かっているだろう?」
不敵な笑みを浮かべたアレクは剣を抜いてアルベルトを見た。
「……アルベルト。背中は任せるぞ!」
「はっ! 陛下も御無理はなさいませぬように!」
「フッ……多少は無理せんと突破できんだろう?」
「確かに……」
不敵に笑う2人は互いに背中合わせになると、取り囲む兵士達に剣を構えた。




