神秘の種。2
アレクと別れ、フランと私の部屋に戻ると、アレクが護衛を頼んでくれた者を待っていた。
しばらく待っていると、ドアをノックする音が部屋の中に響く。
「はーい!」
「……失礼します」
男性の声が聞こえてくると、ドアが開いて部屋の中に入ってきた。
見た目はアレクと同じくらいの年齢の少年は、紫色の髪に紫色の瞳のイケメンだ。
「アリシア様。私はグラベル・フラボルトでございます。アレク様からフラン様とアリシア様の護衛をするようにと言われております」
「こちらこそ、今日はよろしくお願いします」
丁寧に挨拶してくれたグラベルに、私も同様に頭を下げて挨拶する。
フランも私の真似をしてぺこりと小さく頭を下げていた。
「……では、そろそろ行きますか?」
「はい!」
「……うん」
グラベルにそう言われ、私とフランはグラベルの後に続いて部屋を出た。
馬車に揺られながら城を出て、街を抜け草原を抜け、少し離れた樹海の入り口に辿り着く。
「ここで待て! 馬が怯えている……ここからは私とアリシア様とフラン様のみで向かう」
「はっ! お気をつけて!」
馬車を運転していた兵士を樹海の前で待たせると、私達は樹海の中へと入って行った。
樹海の中に入ると、周りの木々が生い茂っており昼間なのに暗く視界も悪くなっていた。
「……アリシアお姉ちゃん。ここからは気を付けて……」
「ええ、分かったわ。フランちゃんも私から離れないでね!」
私がそうフランに言うと、私に抱き付いてくるフランに微笑んだ。
この樹海の奥にあると言われる神秘の種を探して歩いていると、フランが何かを見つけたようでしゃがみ込んだ。
「アリシアお姉ちゃん。グラベル……これを見て……」
フランの指差す先にあったのは生き物の足跡だった。
「……これは動物の足跡かしら?」
私は屈んでその足跡をじっと見ると、獣のものだろう……足跡の形を見ると猫科の獣のようだ。
足跡を見下ろしていると突然、後ろからグラベルが私たちに向かって叫んだ。
「……伏せて下さい!!」
私達の頭上を黒い巨大なヒョウのような魔物が通り過ぎ、近くの木の上に跳び上がってこちらを睨んでいる。
恐らくあれがあの足跡の犯人だろう。
「あれはサーベルパンサーです! 獰猛な肉食の魔物ですので、お嬢様達は私の後ろに!」
グラベルは私たちに背を向けてを構えると、攻撃する隙を狙っているのか低くうなり声を上げている獣を見据えた。




