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9話 神秘の種

 朝になって目を覚ますとアレクが私の顔を見ている彼の姿に驚いて飛び起きた。


「……ア、アレク!?」


 驚いて飛び起きた私の手を引いてアレクが私をベッドに押し倒す。


 悪戯な笑みを浮かべているアレクが私の顔に迫ってくると、私の唇を彼の唇が塞ぐ。


 朝の小鳥の鳴き声と私の心臓の鼓動だけが部屋に響いていた。


 一生に感じるほどの長い時間に感じたが、本当は少しの時間だった。


 名残惜しそうに唇を互いに離して熱を帯びた瞳で見つめ合う。


「……おはよう。アリシア」

「ええ、おはよう……アレク」


 私とアレクは互いの顔を見合わせて笑う。


 ベッドから起き上がった私達は身だしなみを整えると、朝食を食べるために食堂へ向かう。


 廊下でフランに出会うと、彼女が話しかけてきた。


「……アレクお兄ちゃんにアリシアお姉ちゃん。ちょうど良かった……」


 フランは私達の方に駆けて来ると、小さな声で言った。


「……アリシアお姉ちゃん。ポーションの材料で神秘の種って呼ばれてるものがあって、それを大量に作れればポーションの質が更に数倍になるらしいの」


 私はそれを聞いて目を丸くさせると「本当!?」と叫ぶ。


 フランは私の大きな声に驚き、慌ててそれを止めた。


「……アリシアお姉ちゃん。声が大きい。誰かに聞かれちゃう……」

「……ごめんなさい」


 私は口を手で押さえながら謝った。


 守護精霊の能力で私がポーションを作っていることは、極秘なので限られた者しか知らない。


 それは私の身を守ることにも繋がる大事なことだ……


 フランは周囲に人がいないことを確認して言葉を続けた。


「……でも、問題がある。神秘の種は樹海の奥地にあって、少しの時間でも弱って効果のない種になってしまう……だから、アリシアお姉ちゃんの力で保護しながらじゃないと持ち帰れない」

「分かったわ! アレク……採集に行っていい?」


 私はアレクの顔を見てたずねると、アレクも難しい顔をして考え込んでいる。


 そしてしばらくして、アレクが小さく頷く。


「……まあ、仕方ない。だが、俺は同行できない。今、隣国のセリネール王国から王子が来ていて、その対応をしなければならない。よし! 護衛を付ける! 食事を終えたら部屋で待っていてほしい……」

「はい。ありがとうアレク」

「……婚約者を守るのは俺の役割だからな」


 私が微笑みながらアレクにお礼を言うと、アレクは頬を赤らめながら視線を逸らす。


 私達は食堂に入って食事を取ると、アレクが廊下で私の顔を見た


「……アリシア。やはり、俺がついて行くか?」

「ダメ! アレクには大事な仕事があるんだから……」


 アレクは私の体を抱きしめて耳元でささく。


「……無理だけはしないでくれ」

「ええ、大丈夫……アレク。心配しないで……」


 私は抱きしめるアレクの体をぎゅっと抱きしめ返した。

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