アリシアの守護精霊。2
「母上! アリシアに守護精霊が憑いているはずありません! 外部の国の者に精霊の祝福はない。母上もご存じなはずだ!」
「ええ、ですが……アリシアちゃんの能力はそれ以外には説明できません。もしも、守護精霊がアリシアちゃんに取り憑いているなら、神殿で精霊の加護を貰わなければ、いずれアリシアちゃんの体が危険に晒されるかもしれないのよ?」
「……なんだって? そんな話は聞いたことがない!」
ビクトリアの言葉にアレクは驚き仰け反る。
それを聞いた私もビクトリアにたずねた。
「お義母様。私の体が危険とはどういう……」
「そうね。守護精霊は自然の神で、普段は霊体で空気中を漂っているの。これは気に入った魂を持つ人間に憑依する……でも、それは幼少期の無垢な魂に取り憑くと言われているわ。だから、この帝国の出身者以外には取り憑けない」
ビクトリアの話を聞くに、守護精霊とは守護霊や土地神に近い存在なのだろう。
それに説明された内容を聞くところには、私にその守護精霊と呼ばれるものが取り憑けるはずがない。
「なら、私が神殿に行ったってなにも起きないんじゃ……」
「いえ、すでにあなたに起きてるから神殿に行くのよ? 守護精霊はさっきも言ったけど漂う霊体なの。無垢な魂を好むのは、取り憑かれた者をいずれ魂を乗っ取る為なのよ? だから、守護精霊と正式に契約して体に宿すの。そうすれば魂を乗っ取られることはなくなる」
ビクトリアは真剣な表情で言った。
急に霊体に身体を乗っ取られるなんて聞いたら不安だが、契約しないわけにもいかないだろう……私はビクトリアの話に頷くしかなかった。
「分かりました。その守護精霊というものと契約します……」
私には拒否権はなかった。
ビクトリアは私が頷いたのを見てホッとした様子で胸を撫で下ろす。
「なら、早く行きましょう! 外に馬車を待たせているわ。アレクとフランも一緒に街にいきましょう!」
「うん」
「はい! アリシアの事が心配ですから!」
フランとアレクも頷くと、私達はビクトリアと一緒に街の神殿に行くことになった。
馬車に乗って街まで行く道中は私は不安しかなく、まさにお通夜のようになっていた。
下を向いて座っている私の膝の上にある手にアレクの手が重なる。
「……アレク」
「大丈夫。俺が一緒にいるから……アリシアはなにも心配しなくていい」
「うん。ありがとう」
不安そうな表情の私に、アレクが優しく微笑む。
そのやり取りを見て、ビクトリアはただ優しく笑顔で私とアレクを見つめていた。




