ポーションの精製。7
大切な者の命を救う為なら自分の命を賭けられる……人間とはそういう生き物なのだろう。
私はそう言われて、もしも自分がアレクが死ぬ間際に自分の命と引き換えに彼を救えるとしたら、自分は命を引き換えにしてでも彼を救うと思う。
アレクは焼け落ちる屋敷から私を救い出してくれた。それだけじゃなく、幼い頃に王子に森に取り残された時も、婚約破棄されて森に迷い込んでグレートウルフの群に襲われた時も助けてくれた。
何度も命を救ってもらったアレクのことを、私は愛している。だからこそ言える。彼の為なら命を賭けられる。っと……
「アリシアちゃん。新しい御屋敷ができるまでという話だったけど……しばらくはこの王城の屋敷に留まって頂戴。命を狙われる危険もあるからね……」
「命を…………」
私はその話を聞いて背筋がゾッとする感覚に表情を引きつらせる。
その隣でフランも私の腕をぎゅっと掴んで私の顔を心配そうに見上げた。
「……アリシアお姉ちゃん。フランとここにいた方が安全だよ?」
「そうね。なら、そうしようかな」
心配そうに見つめてくるフランに私は微笑みながら頷いて見せた。
そこに騒ぎを聞きつけたのか、アレクが部屋にやって来た。
「……アリシアがここに居ると兵士達に聞いて来たのだが?」
「…………アレク」
私は不安そうなアレクの姿を見ると、アレクは私の方を向いて微笑む。
その様子から怒ってはいないようだけど……
アレクは起きている皇帝陛下を見てさすがの彼も驚いたように目を丸くしている。
「父上!? ど、どうして!?」
「ああ、フランからポーションを貰ってね。お前のフィアンセも手伝ってくれたらしい。アレクからも後でお礼を言っておいてくれ」
「……フランとアリシアが?」
アレクが私とフランの方を見ると、フランは怯えながら私の腕をぎゅっと掴んで背中に隠れた。
私は今にも泣き出しそうに瞳を潤ませているフランの頭を微笑み優しく撫でた。
「そうか……アリシア。君はフランとも……本当に君はどこまで俺を魅了する……」
聞こえない声でアレクは呟く。
「父上。今日はこれまででお願いします。病み上がりですし、アリシアとフランも疲れていると思うので……」
「……そうか、ならば、また明日にしよう。フランもアリシア嬢も褒美を与えるので、考えておいてほしい」
「そ、そんな! 皇帝陛下。私は褒美なんていりません!」
「そうはいかない。命の恩人に礼の一つもしなかったとなれば、末代までの笑い者だ。しっかりと褒美は受けてもらう。フランもアリシア嬢もな……」
そこまで言われたら私が断ることはできないだろう。フランは色々欲しいものがあるのか、指で数えながらぶつぶつと呟いている。




