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義妹。8

「……アレクお兄ちゃん。ごめんなさい……私がお姉さんに無理をさせたから……」


 瞳に涙を浮かべたフランは体を震わせながらアレクに謝った。


 小さな両手を胸の前でぎゅっと握って体を小刻みに震わせながらフランは黙っているアレクの方を見つめている。


「……フラン。今はアリシアと2人っきりにしてくれないか?」

「あっ……でも、あたし……その……」

「いいから! ……今はアリシアと2人だけにしてくれ……」


 大きな声にビクッと体を跳ねたフランは涙を流して悲しい表情のまま医務室を走って出て行った。


 私はそんなフランを呼び止めようとしたが、体が動かず間に合わなかった。


「……アレク」


 アレクは瞳から涙を流していて、私の手を両手が震えていた。


「アリシア……君にもしものことがあれば、俺は……俺は……もう、無茶はしないでくれ……」

「……ええ。ごめんなさい」


 普段は涙を見せるどころか、氷のように冷たく美しい瞳から流れる涙は、それだけ私のことを心配してくれたということなのだろう。


 それからしばらく、アレクが落ち着くのを待ってからフランのことを話し出した。


「フランちゃんだけど……許して上げて、あの子はお義父様の病を治そうとして頑張ってるの」

「ああ、知っている。だが、父上の病はポーションでは治せない。フランには何度もそのことは説明している……だけど、フランは一向に辞めようとしない。無意味なことに時間を使うべきではない……」


 そう言ったアレクの表情は暗く険しいものだった。


 きっとアレクもお義父様のことをどうにかしたいのだろう。だが、どうしようもないことは世の中にはたくさんある。


 フランは幼いからまだそれが分からないのだ。努力ではどうしようもないことがあるのだと……


「アレクの気持ちは分かっているつもり……でも、フランちゃんがお父さんを助けたいって気持ちも良く分かるの。だから……」

「だからって、君の命を危険にさらす理由にはならない! 限界まで魔法を行使して魔力が枯渇すれば、不足した魔力は生命エネルギーを変換して補う! 最悪は死ぬんだぞ! 俺は戦場でそういった事例を何度も聞いて、目撃もしている! 俺から父上だけでなく、君まで失っていたかもしれないんだ! 子供のいたずらでは済まされない!」


 アレクは私の手を強めに握ると、珍しく感情を露わにして声を荒げた。


 私の手を握ったアレクは小さな声で告げる。


「……アリシア。もうフランには会わないでくれ……」

「……でも」

「いいから……約束してほしい。もうフランには会わないと……」


 涙を浮かべながら真剣な表情でそう言ったアレクに、私はその場では頷くしかなかった。

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