表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/31

1話 婚約破棄されました。

 ここはエリサンドル王国……そこの公爵令嬢に生まれた。アリシア・グレイセス。


 私には俗にいう許嫁というなの親同士の決めた婚約者がいた。この国の国王の息子で第一王子のクリス・デルノンだ。


 幼少期の私はすぐ泣く気弱な子だった……


 ある日、王子様に連れられて森の探検に行った話の事だ。


 王城の暮らしが退屈だと言うことで、こっそりと王城を抜け出した私はクリス様に連れられて魔物が出るという森にやってきた。


 下ろし立ての靴を履いてきた私は途中で靴擦れを起こして歩けなくなってしまう。


「おい! エリシア! お前俺の婚約者なんだったら泣くな!」

「うっ……ぐすっ……ぐすんっ……でも、クリスさまぁ……」

「もう面倒くさい奴だ! 俺は弱い奴が嫌いなんだ! 歩けないなら置いて行くぞ!」

「ちょっと待って……うぅぅ……足が……クリスさま! 待って! クリスさまぁー!!」


 そう言ってクリス王子は私を置いて先に行ってしまった。


 それからしばらくその場で私が泣いていたら、白馬に乗った男の子が従者を連れてやって来た。


 顔は黒くなっていて思い出せない……


「君、大丈夫? ああ、靴擦れか……こんな靴で森の中に来るなんて……ほら、足を出して……」

「……う、うん」


 男の子は私の足から靴をゆっくりと脱がせると、自分の服の袖を破ってそれを靴擦れを起こして赤く血が滲んでいる私の足に巻いてくれた。


「さあ、これで大丈夫! こんな場所で一人で居たらダメだ僕が街まで送り届けて上げるよ!」

「うん。ありがとうございます……」


 その男の子の顔は思い出せなかったが、彼の優しく微笑む口元は今も忘れられない。


 そう。その出来事から、私は強くなりたいと思うようになったのだ……



 それから時は流れ私は16歳になっていた。今日は王国主催のパーティーでこの舞踏会で正式に私とクリス王子の婚約が発表される特別な日……だった……


 パーティー会場の大勢の聴衆の面前でクリス王子の横にはオレンジ色の髪の女が涙を流しながら王子の腕に抱き付いていた。


「……クリス様。わたくしをアリシア様が虐めるのです」

「おお、そうかそうか。おい! アリシア! お前! 前から偉そうな態度を取っていたが、公爵令嬢が侯爵家のエリネット・ヘンデールを辱めるとは! 侮辱罪だ!」


 クリス王子はエリネットの肩を抱いて私を指差して叫んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ