表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星月の蝶  作者: 碧猫
5章 管理者見習い試験
89/104

11話 防壁システム


 地下に王国を築いたエンジェリア達は、城の中でひっそりと作戦会議を行っていた。


「エレは人数が少ないから、不利だと思うの。それをどうにかする方法があれば言って欲しいの」


「しかも、向こう側は氷の防具なんて使ってるらしいからね。それについても対策しておかないとじゃない?」


「そうなの。それに、それに、フィルがいるから、魔法具とかいっぱいありそうなの。エレ達が近くに来たら反応する魔法具とかありそう。エレ達も素材いっぱいゲットして魔法具でたいこぉするの」


 やはり人数というのはかなり関わってくる。人数が多ければ、役割分担をしっかりでき、落ちている素材とかも、多く集められるだろう。それを補うだけの作戦を考えなければ、エンジェリア達の勝ち目はないに等しいだろう。


「魔法具に関しては、エレの複製でどうにかなるだろう。それに、人数というのであれば、囮ついでに魔法で偽の国民を作れば良い」


「ふみゃぁ。やっぱり、ルーにぃは頼りになるの。氷の防具に対抗する方法も考えないと。怪我するような魔法は禁止っていうのが難しいの」


「それなら、魔法を無効化する結界とかはどうかな?」


「ふみゅふみゅ。その案も採用なの。エレの国民達は、みんなとってもすごいの。エレの自慢の国民達なの」


 エンジェリアは、フォルに抱きついて、イールグとノーズに頭を撫でさせた。


「この癒しのために、絶対に勝利をあげないと」


「ふみゅ。思う存分エレにさわさわして良いの……ふみゃ⁉︎ゼロから通話なの」


「出て良いよ」


 エンジェリアは、警戒しながら、ゼーシェリオンの通話を開始した。


『きしゃぁー!(ブチン)』


 ゼーシェリオンの謎連絡により、エンジェリア達の動きが止まった。

 

「……みゅ?」


「なにあれセンサー?なんで共有してないのに、エレさわさわタイム気づいたの?」


「そんなのたまたまなの。仕切り直して、さわさわなの」


「う、うん」


「ふみゅぅ」


 エンジェリアのお触りタイムをしていると、再びゼーシェリオンから通話がきた。出てみると


『キシャァー!キシャァー!(ブツン)』


 また、謎な威嚇通話だった。


「……」


「フィル、ゼロの迷惑通話どうにかして」


『エレさわさわずるい。さわさわしすぎって言って聞かない』


 フォルが、フィルと通話している。


「……みゅにゅ。エレに勝ったら、一日、ゼロの言いなりになってあげるの。そうしたら、さわさわし放題」


『フィル、作戦漏れるから切れ。それと、エレ、夜は休戦な。魔力貰うのとかあるから』


「ふみゅ。分かったの。その時は、国民争奪戦やっていた場所で会うの」


 エンジェリアとゼーシェリオンは、魔力と血の提供場所を決めて、通話を切った。


「ふみゅ。気を取り直して、欲しい魔法具会議なの」


「ゼロセンサー」


「みゃ?」


「ゼロの勘並のセンサー」


「それはむりなの。あるものにしろなの」


「なら、互いに居場所を知る事ができる魔法具」


「ふみゅ」


 エンジェリアは、複製魔法で、以前フォルから貰った魔法具を作った。


「これで良いの。他には?いっぱい言ってくれて良いよ」


「ゼロ達が近くにきたのを知るセンサー」


「ふみゅ……みゅにゅ」


 エンジェリア達は、必要な魔法具を作りながら、ゼロ国に勝つための作戦を練った。


      **********


「ゼロ国民が森へきたの!森を守るの!」


 エンジェリア達の領土である森へゼーシェリオン国民が侵入したとセンサーが知らせた。


 エンジェリアは、森を守るための防衛システムを発動する。


「ふっふっふ。そう簡単にエレ国は落とせないの。フォル、映像を侵入者のいる場所に切り替えて。ノーズねぇとルーにぃはアレをタンクに入れといて」


 エンジェリアが考えた、人数が少なくとも勝てる作戦。それがこの防衛システム。


 森を守り、森へはいる侵入者は絶対に逃さない。エンジェリア達のいる場所へは辿り着かせない。大量にねば液体をかける。それがこの防衛システムの役割だ。


「エレ、タンク満タンにアレが入った」


「こっちも入ったよ」


「映像そっちで見える?」


「みゅ。ありがとなの。防衛システム発動ー」


 映像を見ると、先陣切って森へ侵入したのは、ルノ、リミェラ、ローシェジェラのようだ。映像を見ると、どうやら、城を探しているようだ。


 エンジェリアは、防壁システムを発動する。


 森から出る事をできなくする壁が周囲を覆う。


「ふっふっふ、ねば砲発射ー」


 この防衛システム制作中、ずっとこれを楽しみにしていた。それにあってか、エンジェリアは、誰が見ても分かるほど楽しそうにしている。


「ふっふっふ」


 映像からは悲鳴は聞こえないが、かなり慌てているようだ。


 ねば砲は、森の中にねば液体の雨を降らせる砲。


 たとえ、氷の防具があろうと、全身を守っているわけではない。どこかは守られていない場所がある。そこを狙う作戦でこれをやったが、効果は大きかったようだ。


「ふっにゃっにゃっにゃぁ」


「エレが楽しそう。こんなに楽しいエレ見た事ないかも」


「エレ、ゼロ国から通信」


「繋げるの」


 エンジェリアは、ゼーシェリオンからの通信をフォルに繋げてもらった。


『ずーるーいー』


「ふっふっふ。戦にずるもなにもないの。ずる賢い方が勝つの」


『……お前純粋どこ忘れてきたんだ?昔はそんな事言わなかったのに。つぅか、大丈夫なのか?純粋でいないとって』


「その辺は大丈夫なの。楽しいとか、ずる賢いとかそういうのは良いから。今も変わらず、誰かを恨むとかは知らないの」


 エンジェリアは、隣に来たフォルに頭を撫でてもらう。


「大丈夫だよ。エレにそういう感情を覚えさせないように僕がついているから」


「ふみゅ。にゃぅにゃぅ」


 エンジェリアは、恨みや憎しみなどの感情を知ってはならない。それを理解していたとしても、自分だけではどうにでもならない部分は、ゼーシェリオンやフォルがいる事でどうにかできている。


「これも、エレに必要な事だからってだけなの。だから、この時間は取らないといけないの」


「そうだね。存分にこの時間を楽しんで。防壁の方は破壊される事なんてないから」


「ふみゅ。防壁は無敵だから破壊なんてできないの。捕虜にしてやるの。でも、でも、王様次第では返してあげるの」


 エンジェリアは、フォルに抱きつきながらそう言った。どこまでも余裕そうにしている事。優位に立っていると示す事。


 それで、要求を聞いてもらおうとする作戦だ。


『……とりあえず、話を聞かせてくれ。返すには、どんな条件を求めている?』


「ふみゅ。ふっふっふ。エレに魔法石を献上するの。今夜、魔力を上げる時に、交換するの。質の良い魔法石を」


『……分かった。その条件を呑む』


「じゃあ、今夜までは捕虜として大事に預からせてもらうの」


 エンジェリアは、フォルに頼んで通信を切ってもらった。


 防壁システムに搭載されている、捕虜獲得縄で、侵入してきたゼーシェリオン国民を捉える。


「ふみゅ。これで夜を待つだけなの。エレは、いっぱいポイント稼げたの」


「うん。ほんと、これは良いね。わざわざ出向く必要すらない。数が劣っているからって良くこんなの考えたよ」


「ふみゅ。みんなもお疲れ様。ゆっくり休んで。エレも休むから」


 エンジェリアは、そう言って、フォルを連れて寝室へ向かった。


      **********


 ベッドに座り、フォルを隣に座らせる。


「ふみゅ。この後どうするかの会議なの。二人でふみゅふみゅしながら」


「この後か……魔法石をもらえるから、それでもっと良い魔法具を準備するのは?問題は、この後から森に来なくなるって事だよね。逃げ切れば良いけど、そんな勝ち方はいやなんでしょ?」


「ふみゅ。だから、幻覚魔法で、森に誘い込むの。それか、ここからどうにかして攻撃できるようにする」


 防壁システムの作戦は、一度やってしまえば警戒されるだろう。もうこの手は使えないと考えておいた方がいい。


「ふみゅ。難しいの」


「うん。エレ、面白い作戦あるんだけど、やってみない?」


「ふみゅ?」


 エンジェリアは、フォルからの案を聞き、それをやる事に決めた。


 フォルの案は、準備をしなければならないが、上手くいけば、かなりのポイント稼ぎができる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ