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なぜかバレた

——囚われたユリアーナを助けに来たゴールドアーマー。


警報音が鳴る腕輪につけたGPS機能のおかげで居場所を特定することができた。


場所は王都から随分と離れた森の中に位置する古びた建物。


豪快に建物の入り口から突入するとすぐ目の前にユリアーナが横たわっているのが見えた。


黒いローブを着た数人の男たちの他に一人だけローブから顔が見えてる男を視界に捉える。


だが体は無意識にユリアーナの方に歩いていく。

歩いてる最中に周りの視線や誰かが呼び止める声すらも無視して進んでいく。

倒れているユリアーナの近くに立ってしゃがんで無事を確認するために頭に手を添える。


気を失ってるだけだと無事を確認してホッとする。


「おい! 聞いてるのか!」


ふいに肩を掴まれたので勢いで腕を振り上げるとローブを着た仲間の一人が天井を突き抜けて吹っ飛んでいく。


仲間の一人がやられたことにより他の奴らは狼狽え始める。


「おい! 何怖気付いてんだ! さっさと始末しろ!」


随分な物言いなことでおそらくこの男は知らないのだろう。

ゴールドアーマーが魔王軍幹部を倒したことを……。

だがこいつらは知らなくていいことだ。


「……この世界にもこういうやつはいるんだな」


「何を言ってるんだ、貴様は? おい! 早くやれ!」


男が仲間に命令するが動こうとしない。

どうやらゴールドアーマーには勝てないと痛感したのだろう。

人間でも本能的にそう感じ取ったのだろう。


「くそ! 役立たずが! 退いてろ!」


痺れを切らしたのか男は苛立った様子でゴールドアーマーと対面する。


「ひねり潰してやるよ!」


男は手を前に出すと炎の魔法を放つ。

そのままゴールドアーマーに直撃して煙が舞う。


「へっ、この鎧野郎が!」


しかし煙が徐々に消えていくとゴールドアーマーは何事もなかったように平然と立っている。


その姿を見た男の顔は少し動揺して焦り始めていた。


「どうした、終わりか?」


トビはお得意の挑発をかます。

そう言ったあとに男の元に向かってゆっくりと歩き出す。


男は急に怯えだして連続で炎魔法で攻撃を放ち続ける。


「くるな! くるな!」


だがどれだけ炎で攻撃しようが歩みを止めることはない。

やがて男の目の前に距離を詰めていた。


「…な、なんだ貴様は!? 何なんだ!?」


男はかなり動揺しているようで声が上ずっている。

クズ野郎でもどうやら自分が手に負えない相手が現れると喚き散らすだけに貧弱野郎になるみたいだ。


滑稽だな……。


「一つだけ聞いてもいいか?」


「な、何だよ……!?」


「ユリアーナさんをやったのはお前か?」


「さ、さあな……、オレはしらねぇ、しらねぇんだよ!」


「そうか……」


両手を思いっきり突き合わせて拳に炎を灯す。


「今更知らねぇとか、そんな都合よく逃げられると思うなよ……。自分の犯した罪も理解もできねぇとはやはりお前は生かしておくと厄介だ。悪いが始末させてもらう」



「ま、待ってくれ! あいつが、あいつが悪りぃんだ! あんな力を持ってるのに何にも使わねぇんだから! 俺が正しい使ってやろうと思っただけだろ! 俺は何も悪くねぇはずだ!」


ああ、聞くだけ無駄だな……。



「じゃあな。精々あの世で懺悔でもしろよ」



最後の情けも棒にふってしまった哀れな男だ。


トビは男の頭を片手で掴み持ち上げるとそのままゼロ距離で炎弾を発射した。



こうしてクズの断罪は終わった。



オレはユリアーナさんを抱きかかえると暗い夜空の中、飛行して連れて帰った。


そのあとは悪いと思いながらもアルフレット公爵の屋敷の前にユリアーナさんを置いて屋敷の人間に屋敷のベルで知らせてオレはそのまま姿を消した。


——翌日、ユリアーナさんは黄金の鎧によって救出されたと王都で発表され、その記事はガルムラ街にも掲示板に貼り出されてウワサで持ちきりだった。



「おい! 聞いたか? 公爵令嬢の誘拐、救出したのは噂じゃ黄金の鎧だとよ」


「ああ、聞いた聞いた。黄金の鎧だろ! 一体なんなんだろうな、黄金の鎧……」


オレは噂をしている街の人たちの横を通り過ぎていく。


……むふふふ! ちょーやべー! オレの噂をしてるし。まあ、黄金の鎧じゃなくてゴールドアーマーって言うんだけどな!


オレは自分のことを褒め称えられてる感覚で天狗になっていた。


いや、天狗になるのも無理ないな!


優越感に浸りながら自分の店に戻ろうとしたが店の前に誰かが立っている。


頭に被っている帽子の布で顔は見えないが服装から見て女子ということは間違いないと思う。


…ん? 今日、誰か来る予定あったっけ?


首を傾げながら店の扉までいくとオレに気づいて声をかけてきた。


「ちょっといい……?」


「え? 何か?」


「その……、お礼を言いに来たの……」


彼女にお礼と言われてもオレには心当たりがないからしっかり来ない。


「お礼をされることはしてないですが……」


実際知らないから……。


「いいえ! あなたで間違いないわ!」


そう言うと彼女は頭に被っていた帽子を取って顔を見せてきた。


顔が見えたその彼女にオレは腰を抜かすほどにびっくりしてしまった。


オレにお礼を言いに来たという彼女、いや彼と言うべきなのか……?


美少女男の娘令嬢のユリアーナさんだった。


「ちょっと……、どうしたの? 何固まってるの!」


「……ああ、ごめん」


びっくりしすぎて意識がどっか遠くのほうへ飛んでいってたみたいだ。


だがそうなると尚更お礼されることはないはず……。


あれはゴールドアーマーで中に入っているのはオレだが顔は見えないからバレてないと思うが………。


「でも人違いだと思うから………」


「いいえ! あれは間違いなくあなたですよね! トビさん!」


綺麗な顔立ちで険しい表情をしながら距離を詰められるのでオレは後ずさりしながらなんとかしてとぼけ続ける。


「あれって、なんのことですか………?」


「アレと言ったらアレしかないじゃない! あの黄金の鎧はあなたでしよ!」


ついに核心に迫れたオレは背中に変な汗をかきながらもなんとかごまかそうとする。


「黄金の鎧……? さて、なんのことだか……」


「見たんだから!」


「へっ………?」


「あなたが、黄金の鎧を纏ってるのを!」


…マジか!?


真剣な顔つきで迫ってくるユリアーナさんに

オレはたじろぎ焦っていた。

周りの人達がヒソヒソと話してるのを見てこれ以上はマズイと思いユリアーナさんを店の中に案内する。


まさかの人にバレてしまった———

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