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忘れてた記憶

——突如、城で起きた爆発。


オレは城に駆けつけ、ユリカにユリアーナさんが何者かに攫われた。

ユリカは爆発が起きる前にオレがあげた警報が鳴る腕輪をユリアーナさんにお守りとして渡していた。


ユリカは守れなかったというが逆によくやった。

ナイスファインプレーだ、ユリカ!


「よくやった、ユリカ! あとは任せろ!」


ユリカはその言葉を聞いてまた目を閉じて眠った。

あの腕輪には警報が鳴る他にGPS機能をつけてある。


つまりユリアーナさんの居場所がわかる。


オレはひとまずユリカたちを部屋から外に運んで治療をお願いした。


そのあと離れた場所で空中武装保管庫ロフト・アーマー・ラーガーハウスに乗り込んでGPSで位置情報をアクセスしてユリアーナさんの居場所を探る。


「GPS確認、位置情報接続、半径800メートル検索。……アクセスなし。

範囲を広げるか…」


王都内全域に変更して接続するがこれもヒットしない。


「……ということはもう王都内にはいないのか……?」


さらに範囲を広げるてみると赤く点滅するマークが見えた。


「ここか!?」


そこは王都から随分と離れた場所だった。

この短時間でこれだけ移動したということか……。


だが場所がわかればこっちのもんだ!


オレはすぐさまアーマーを装着して保管庫から出て空中飛行していく。


「なんとしても無事に帰さないとな……」



——とあるボロい建物。


誰も通らないような暗い森の中にある古い建物。


その建物の中にユリアーナは縄で身体を拘束され、足は鎖で壁に繋がれて地面に横たわっていた。


長い間眠っていたのか、ようやくユリアーナは目を覚ます。


「………ん、……ここは?」


「目が覚めたか……?」


声がして視界がぼやけたまま見上げると誰かが立っている。


黒いローブを被っていて顔が全く見えなかった。


「……誰…ですか?」


「覚えてないか?」


声からしてローブを着ているのは男だとわかったが覚えてないかと聞かれても顔がみえないから全くわからない。


「ごめんなさい……、記憶にないです……」


「そうか……、これでも……か」


男はローブを脱いで顔が見えた。

だがユリアーナはその顔を見てもやはり思い出せないでいた。


「……やっぱり、思い出せないですね。どこかでお会いしましたか…?」


「…コイツは、呆れた……」


男はそう言って高らかに笑い出した。

笑い方はとても悪役みたいな笑い方に近い。


「……そうか、覚えてないか…、まいったな、こりゃ」


「それよりもお父様や妹は無事ですか? あの爆発を起こしたのはあなたでしょ?」


ユリアーナは意識がだいぶはっきりとしてきて今は落ち着いて話せれる。

暗闇にも目が慣れてきたようで周りを見ながら自分が今どこにいるのか納得した様子。


だったらまずは家族の無事を確認しようと問いかける。


「ああ、少し気絶した程度だ。ま、場合によっては死んでるかもな…」


「何っ!? 貴様!」


その男の下衆な言い方や表情がとても腹立しくなりユリアーナは男を鋭く睨む。


「おー、こっわ! 別にあいつらが死のうが生きようが関係ねぇ。俺はお前に用があるんだ」


「私に……」


この男は一体私を攫ってどうするつもりか疑問に思ってたがどうやら男のほうから話してくれるみたいだ。


「お前には今から儀式の生贄になってもらうんだよ……」


「生贄、だと。ふざけたことを……」


「ふざけてはないさ、お前にはそれぐらいのチカラがある……。この世界を滅ぼすほどのな……」


「いい加減なことを……!」


ユリアーナはいつものように風の魔法で吹き飛ばそうとしたが出来なかった、いや出来ないようにされていた。


「な、なんで……?」


「お前には闇の鎖で縛っておいた。もちろん魔法も使えないようにな!」


男はそう言うとまたあの下衆な笑い方をする。


「一体何が目的ですか……?」


「目的…? そんなのお前は知らなくていいんだよ。お前はどうせここで死ぬんだから」


そう言うと同時にユリアーナは男に殴られた。

男は倒れたユリアーナの髪を掴み上げる。

髪を引っ張られて顔を歪ませるユリアーナを労わることもなく顔を近づけてくる。


「お前のその気の強いところは前と全然変わってねぇな」


「へぇ、私のことをご存知ですか…?」


「知ってるさぁ。あの時もお前は威勢だけはよかったもんなぁ? ま、それが原因でお前の母親は殺される羽目になったけどな…」


「えっ……」


男のその言葉にユリアーナの表情は動揺の色に染まる。


「覚えてねぇか? お前ら二人が馬車に乗ってる時に魔物に襲われたのを?」


「…馬車、…魔物」


ユリアーナの心の中で動揺が広がっていく。

独り言のように呟きながら何か心の中にひっかかるものがある。

突如、ユリアーナの脳裏でフラッシュバックが起こる。


「おっ? 思い出したか?」


「…馬車、…魔物、…お母様」


ユリアーナの脳裏に忘れていた光景が蘇る。

雨が降る空、濡れた地面、壊れた馬車、数匹の魔物、血に染まった母親の姿の映像が次々と脳裏に浮かんでくる。


今までどうして忘れていたのか…。

いや、忘れようとして記憶の奥底に無理やり押し込めてたものが男の一言によってこじ開けられてしまったのだ。


ユリアーナの顔はどんどんと怒りに満ちていく。


「お前が……、お母様を……」


「ああ、そうだ。あの時は哀れだったよ! 親子揃って気が強くて鬱陶しいから殺して正解だったぜ!」


「……!?」


男の悪びれる様子もない態度にユリアーナは絶望の表情に染まっていく。

自分がしたことをさも正当化するこれ以上にないクズ野郎だ。


「……ふざけるな」


「あぁん? なんか言ったか?」


「ふざけるな!」


ユリアーナは男に噛み付く勢いで怒りに任せて喚き散らす。

だが体は縄で拘束され、足は壁に鎖で繋がれてるため届くことはない。


男はその様子を哀れむような目で見ている。

そしてユリアーナの喚き声を消すかのように首を持ち上げ地面に叩きつける。


「うるせぇんだよ、いい加減に黙れよ。おい! さっさと始めろ!」


ユリアーナは男の足元を見ながら薄れゆく意識の中で絶望の沼に堕ちていく。




……ああ、私、死ぬのかな……。


どうしてこうなっちゃたんだろう? ただ幸せに暮らしていたかったのに……。


嫌だな……、こんな形で終わるなんて……。

学校、まだ途中なのにな……。でもいいか。どうせ誰も私のことなんて気にかけてくれないし……。


お父様、ごめんなさい……、私、普通に慣れなくて……。


ユリカ、ごめんね……。 私のことで迷惑かけたよね……。


お母様、ごめんなさい……。あの日、守れなくて……。


…ああ、今度は女の子に産まれたいな……。


……あ、でも心のこりがあった、…恋、してみたいな……。


ユリアーナの目から一筋の涙が伝う。

まさに最悪な結末だった……。



だがその結末はある者によって大きく翻る。


建物の入り口を思いっきり壊しながら入ってくる姿が見えた。


ユリアーナはその音で少しだけだが意識が戻り、目を開ける。


「何だ、貴様は!?」


突然の訪問者でその場の最悪な雰囲気は払拭されて動揺が走る。


あれは……?


ユリアーナの瞳に映っているその訪問者の正体は、ゴールドアーマーだった。


…黄金の鎧……。……助けにきてくれたのかな……。


それを確認すると目を閉じた。


ゴールドアーマーはユリアーナの元へ真っ直ぐ歩いていく。

周りには敵であろう奴らがいるが今は視界にすら入ってない。

何かに吸い込まれていくようにユリアーナの近くに来ると片膝をつき、頭に手を添える。


「おい! 貴様、聞いてるのか!」


後ろから男の仲間が声をかけているが聞こえてるのか見向きもしない。

段々とイラついてきたのかゴールドアーマーの肩を掴むと腕を思いっきり振り上げられ仲間の一人が天井を突き抜けていく。


それを見た他の仲間が怖気づいた。


ゆっくりと立ち上がり男たちの方を振り返る。

アーマーの赤い眼が夜のせいか怒りに満ちた眼に感じる。


どうやらゴールドアーマーはいつもよりお怒りのようだ。

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