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しくじった

——イグリニア王国の城にて。


オレはアルフレット公爵の計らいにより城に招かれ国王陛下との対面を果たした。


国王陛下の他に王妃、王子、王女と公爵家にはアルフレットにユリカ、そしてユリアーナさんが出迎えてくれた。


そして今オレは陛下、公爵に武器を紹介していた。


「これは普通の剣に見えますがただの剣ではありません。魔力によって武器というのは変化します。……例えば、アルフレット公爵!

剣を握って魔力を込めていただけませんか?」


アルフレット公爵に剣を渡して握ってもらうと剣に仕込んだ魔法石を通じて魔力を流してもらう。


すると剣が光り出していくと剣の形が少し変わっていく。


「これは、あまり変化していないようだが……」


剣は光ったものの形は普通の剣のままだった。


本来ならこれで終わりだったが変化しない、つまり体質に合ってないということ。


「アルフレット公爵、こちらの槍はどうでしょうか?」


「うむ、では……」


次に槍を渡して魔力を込めてもらうと槍は光り輝き出す。


「なんと!? これは!?」


アルフレット公爵が驚きの声を上げている。


そういう反応になるのは仕方ない。

槍の形はまさにファンタジーゲームに出てきそうな槍に変化したのだから。


公爵だけでなく陛下たちも驚きの表情が見える。


「これは、一体…?」


「それは特性ですよ」


「特性……?」


「はい。この武器はその人の特性に合わせて変化するんですよ。アルフレット公爵の場合は剣より槍のほうが相性が合うということです」


「なるほど! これは驚いた……」


武器の宣伝は出だしから上場でかなり評価はいい。

これを機にどんどんと自分の武器を売り込んでいく。


「ユリカ、ちょっといいか?」


「なーに!」


ユリカは嬉しそうな表情で走ってくる。


「手を出してくれ」


「はーい!」


ユリカに手を前に出させて手首に腕輪をはめる。


「お兄さん、これはなに?」


「この腕輪を握ればわかるさ!」


「なんだろう?」


ユリカは不思議そうに首を傾げながらもオレの言うことを聞いて腕輪を握る。


ブー! ブー! ブー! ブー!


「うわっ!? なにこれ!」 


「何が起こった!?」


急に室内に大きな音が鳴り響いたためにユリカだけでなくその場にいる全員が身構えしている。


「大丈夫です。落ち着いてください」


オレが冷静に言っているのを見て全員が複雑な表情をしているがオレはユリカの腕輪を触る音が鳴り止んだ。


「一体なんだったんだ?」


「警報ですよ!」


「警報……?」


「はい。ユリカのように小さな子供や力の弱い女性などが変な奴らに絡まれたときにこの腕輪を強く握ると今のように警報が鳴るんです」


「まあ、素晴らしいわ!」


陛下の隣りで王妃が口を手で覆って感激した表情しながら横にいるメイドに笑顔になって嬉しそうに話している。


「音の種類は変えれますのでお好みで選べることができますよ! もちろん腕輪のサイズも!」


ユリカを助けた時にふと思い浮かんで試しに造ってみたが思いのほか高評価のようだ。


思いたったら即行動、いいもんだな。


それからは王子に王女、国王陛下にも武器の特性、効果などを試してもらった。

王女に至ってはまだ魔力が弱いのか変化は乏しかったが、魔法のスキルが高いからあまり必要ないかもしれない。


「それでは最後に……」


まだ武器を試してなかったのはユリアーナさんだけだった。


ユリアーナさんを見るがその表情はどこか険しく暗い感じに見えた。


「ユリアーナ………」


「はい、お父様……」


アルフレット公爵に言われて渋々だがゆっくりと剣を構える。

そんなにオレの武器は嫌なのかと少しヘコむ。


ユリアーナさんが剣を握り魔力を注ぐと剣が光り輝き出した。

しかしその直後、その光は今までとは違う輝き方をした。

光が四方八方にユリアーナさんを包み込むように室内が光に飲み込まれそうだった。


ユリアーナさんはびっくりして勢いで剣を投げ捨てるように放した。

その表情はまるで驚きというより何か恐ろしいモノを見たように歪んでいた。


…おーっ! これが精霊の生まれ変わりの能力チカラか…!


心の中で少しだけ興奮していた。


それとは裏腹にユリアーナさんは耐えきれなくなり扉を思いっきり開けて逃げるように出ていった。


「ユリアーナ!」


アルフレット公爵の声も聞かずに走り去っていった。


「ユリカ、頼めるか…?」


「…う、うん。わかった…」


ユリカがアルフレットにユリアーナを追いかけるように促す。


「すまない、トビ殿…」


「いえ、大丈夫です…」


我に振り返り慌てて取り繕う。

室内の雰囲気は微妙な空気になっているがオレはそっちのけでユリアーナさんが落とした剣を拾う。


…改良しなきゃ、な……。



色々あったが武器の宣伝は効果あったかわからないがアルフレット公爵は貴族会議で話し合うため返事は遅くなるとのことだった。


——昼からは式典、つまり貴族たちの集まりだという。

この式典には国王の元に多くの貴族たちが集まってくるらしい。

一体そんなに集まって何を話すことがあるのだろうかと思う。


アルフレット公爵に参加してみないかと言われるかと思ったがそんな夢のようなお誘いもなくただ武器の効果を試して終わりだったので時間が空いてしまった。


「何をして時間を潰すか…?」


オレは王都の中をぶらつきながら考える。


「そういや、ユリアーナさんあの後どうしたんだろう……。オレが追いかけるのも違うしな…」


歩いていてもやはり浮かんでくるのはあの悍ましい表情だった。

今日もあんまり笑ってなかったしな。

武器をアルフレットに紹介してる間も何か浮かない顔をしてたし。


「一歩前進だが、あんまりだな……」


するとその時——


ドーーーーン!!!


何かが爆発したような音がした。

音がした方を見ると城の中から煙がモクモクと出ていた。


「一体何が!?」


オレは急いで城の方へと走り出した。


城に着いた時にはその場は大混乱していた。

おそらく参加していた貴族であろう人たちが騎士に担がれて城の中から重傷を負って出てくる姿があった。


城の扉から煙が漂っていて中の様子が伺えない。

オレは城の中へと急いで入っていく。


「お、おい! 中に入ってはダメだ!」


騎士の一人に止められたがその制止を振り切って中に入る。

城の長い廊下を走っていくとまだ助けられてない人たちが壁に寄りかかって座っている。


「トビ殿!」


ふいに名前を呼ばれてその声の方をふりかえるとアルフレット公爵が陛下を肩に担いで立っていた。


「アルフレットさん、陛下! これは何の騒ぎですか?」


「わからん、いきなり爆発が起こったから皆混乱している」


「…そうですか。 中に人は…?」


「まだ、エリア様たちが…」


オレはその言葉を聞いて中に急いで入ると数人倒れている姿が見えた。

真っ先にエリア王妃の近くに行って生存を確かめる。


「エリア様! 聞こえますか! しっかりして!」


エリアは気を失っていたがトビの呼びかけで目を開けるが安心したのか眠ってしまった。


「…よかった」


「お兄……ちゃん」


「ユリカ! 大丈夫か?」


「う……うん、大丈夫だよ」


「そうか、よかった……」


オレは心から安心した。


「お兄ちゃん、助けて……」


「大丈夫だ、今助けてやる!」


「違う……、ユリお姉ちゃんが…」


「ユリお姉ちゃん…?」


ユリカのその一言でオレはあたりを見回すがユリアーナさんの姿がどこにも見当たらなかった。


「ユリカ、ユリアーナさんは……?」


ユリカは辛そうに少しずつ息を整えながら答えてくれた。


「ユリお姉ちゃん……くろい、男に……連れて、行かれた」


「黒い、男……?」


「お兄ちゃん、ユリお姉ちゃんを、助けて……」


「わかった……」


オレはユリカの手を強く握り締めてつぶやいた。

とはいえ、どうやって探せばいいのやら……。


助けるとは言ったが場所がわからなければどうにも……。

ふいにユリカの手を見た時に少し違和感を感じた。


腕輪が、なくなってる……?


「ユリカ、腕輪はどうした…?」


「ユリお姉ちゃんに……お守り、あげた…、けど、まもれなかった…」


ユリカはそう言った後、力弱く微笑んだ。


「いや、ユリカ……よくやった!」


ユリカは無意識にとてつもないファインプレーをしてくれていた。


あの腕輪にはGPSが仕込んであるから!

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