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オレ帝国

—オレ帝国を創り始めて、数ヶ月—


オレは日々、帝国創りを進めていた。


地下の入り口は鉄の扉でつけており、頑丈にしている。ここでオレがいた世界での知識、それはセキュリティシステム。

扉にセンサーを設置しており、オレの指紋でしか入れないようにしている。


ここでオレは武具や武器を造りながら楽しもうと思っている。


そして造った武器を使って、そこら辺の魔物を倒す。


…とはいえ、この山にそんな魔物はおらずいたとしてもスライムくらいだった。だがスライムでもかなりレベルが上がり、ステータスも上がるから侮れない。


これだけめちゃくちゃいい環境なのに心細いのはなぜだろう。


その理由は明確だ。

オレは未だにハルさんのことが忘れられないでいた。あの笑顔で話しかけられたら恐らく男はイチコロだろう。


向こうの世界ではオレが恋したとしても叶うことはなかった。

基本的に可愛い女の子は絶対に誰かの彼女。

わかってただろうに、オレはそれを忘れていた。


異世界に来たことで舞い上がってたかもな。


「ふぅ、考えだしたら作業が面倒になってきたな、休憩でもするか」


オレは地下から上がっていき、自分の寝床の部屋に出る。

外に出ると、太陽は空から真っ直ぐ照らしている。

角度的にいまは昼ぐらいだろうな。


「飯にでもするか…」


オレは久々に村に降りていき、冒険者ギルドへと向かった。

なぜギルドに向かってるかと言うと、もちろん飯を食べるためと薬草を売りに行く用事があるから。


「いらっしゃい、トビくん!久しぶりだね!」


「どうも、アイシャさん。頼まれてたもの持ってきましたよ」


「ありがとう、いつもごめんね」


「いや、山に住んでますからいいですよ」


アイシャさんは申し訳なさそうな顔をした。

まあ、オレは別に気にしてない。

金のためにやっているから。


「そうだ!来たついでにもう一個頼みごとしてもいいかしら?」


「はい、なんかあったんですか?」


アイシャは険しい顔をして話し出した。


「実はこの村から遠く離れた別の村なんだけどね……」


アイシャさんが言うにはオレがいつも世話になってる村、エスカルテ村から西の方角にある別の村、アルト村だが最近魔物が頻繁に現れてるらしく村の人たちが困っているとのことだった。


「その魔物はどれくらいいるんですか?」


オレが聞くとアイシャさんは難しい顔をして

考える。


「実はね、一匹だけなんだよね」


「……は?一匹だけ?」


オレは予想してた数よりも少ないことを言われてましてや一匹だけで村が困ることがあるのか?


「その魔物って、どんなやつですか?」


「……ジャイアントイノシシ」


…はぁ、なるほど。 


ジャイアントイノシシは、イノシシのでっかいヤツのことを言う。

だがデカいだけじゃない、その分スピード、アタック、破壊力も普通の3倍もあるらしい。


本気でイノシシが突っ込めば、家一軒なんてあっという間に壊されてしまう。

それぐらい危険度が高い魔物だ。


「それは、困りましたな…」


「そうなのよ、これを引き受けてくれる冒険者が今いなくて……」


アイシャさんは困り顔でため息をつく。


オレは少し考える、今のオレの戦闘能力では

返り討ちに遭うのは目に見える。


ならばアイツを倒すにはかなりの武器が必要になるかもだが、そんなにたくさんの装備を持っていくことはできない。


「アイシャさん、少し時間をくれますか?」


「……え、うん、別にいいけど。何か方法はあるの?」


「それを今から造ります」


アイシャさんはオレの提案に少し考えてる様子。


「わかったわ、トビくんのやりたいようにしてみて」


「ありがとうございます」


よし、今から帰ってオレだけの武器を造るぞ!


ぐぅぅぅ〜っと、お腹が鳴った。

そういえば飯まだだった。


 


  —オレ帝国にて—


オレは地下に入り、どんな武器が役に立つか考えていた。


ジャイアントイノシシはまず接近戦は皆無だ。

なぜなら、奴の敵感知能力に長けている。

奴の半径5kmから内側に入れば、奴に気づかれる。

それならやはりイノシシ狩りのようにライフルでの攻撃だが、普通のイノシシなら一発二発撃てば倒せるだろうが相手はジャイアントだ。そう簡単に倒せない、なら大砲か?いや、

放った直後に気づかれておしまいだな…。

それに外した時の被害は尋常じゃない。


「ああ〜、どうしようかなぁ〜。これじゃ埒があかねぇし」


オレは考えがまとまらずに嘆く。

頭の中ではかなり答えが出てるのにあともう一押し、何かいいものはないかぁ。


「何か接近して、大砲みたいなものができたらなぁ……」


オレはゆっくりと目を閉じる。


ふと映像が浮かび上がる、空が見える。

下を向けば村の人たちが笑顔でこちらに手を振っている。


…オレは空を飛んでいるのか…。


浮遊しながら見る景色はいいものだなぁ。

ふと人影が見える。

その人影はこちらに向かって大きく両手を振っている。


…誰だ、あれ?


近くへ行ってみると、ハルさんだった。


…えっ、なんでハルさんが…?


ハルさんはオレを笑顔で迎えてくれる。

オレは地上に降り立ちハルさんを抱きしめる。


ハルさんはオレを見ながら耳元で囁く。


「…愛してるよ」


…オ、オレも、オレも……。


「…オレも愛してます!!」


と言ったところで目を覚ます。



「……あれ、夢?」


…ちぇ、いいところだったのに。…だが突破口は見つかった。



オレは今から盾の装備を造る。



  —武器制作開始—



オレは一から設計図を作る。盾と言っても普通の盾ではない身体に装着できるように造るのだ。

それにはやはり設計がいるし、時間もいるし、材料もいるが問題ない。


材料は今まで造った銃を壊したらいける。

あとは完成図をイメージするだけだ。


できれば装備でも手が塞がれてしまうものは

困る。剣や槍は論外だ、となると銃を使うわけだが普通の銃では相手にダメージを負わせることができない。


そうなると装備には仕込みが必要になってくる。


「よし、やるぞ!」


オレはまず、すべての銃を分解してから錬成の術で盾となる鎧を制作する。

身体はもちろん顔や頭などにもつけるから

それなりの硬さが必要だ。


「硬さを重視して、動きやすさも必要だな」


鉱石でどこまでできるか…、迷っても仕方ない、やれるとこまでやるんだ。


腕と脚の盾の武具はこんな感じだな、もうちょっと細かく調整が必要だな。


「……腕の動きがまだ、硬いなぁ」


オレは造った武具を装着しては試しに動かしてみる。


造っては動かして、ダメだったら修正を繰り返す作業。


やばいなぁ、魔力が足りなくなってきやがった。


これじゃ続行不可能だな。さて、どうしたもんだか。


すると、家の感知センサーが反応した。

オレはその反応で警戒心が高まる。

すぐさま地下の入り口は封鎖して錬成術で壁を造る。


そのあと何食わぬ顔で家の扉を開いた。


「はい、どうかされま……した」


オレは言葉が辿々しくなっていた。

オレはまた驚かされたのだ。


オレの家に来たのは普通の冒険者パーティーだが、その中に忘れようとしても忘れられないオレの異世界の初恋の人、ハルさんがいた。


ハルさんはオレを見てあの笑顔で微笑む。


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