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売りたい!

——突然現れた魚人の魔物は冒険者や王国騎士団によって討伐された。


「終わったな……」


ソードマスターのラウルが息を荒くしながら安堵したように言う。


「それにしても、突然の魔物の出現が増えてきたような気がするね……」


「確かに……。これで二度目だ、しかもまだ日も浅い……」


「それに同じ魔物が二回も続けて現れるのは奇妙ですね……」


王都での魔物の出現するのは不可能と言っているラウルたちとマリア。

なぜかと言うと基本的に王都は魔物や魔獣からの襲撃を防ぐために高度な結界がはられている。


つまり魔物だけでの侵入は不可能ということになる。


「魔物を操る何者かがいる……」


魔法使いのセリーヌがいいとこ取りのようにその場にいる全員が思ってるであろうことを

しっかり口に出していた。


「引き続き我々で調査してみます!」


「わかりました。お願いします」


「はい、では!」


マリアはラウルたちに会釈してから他の騎士たちを率いて去って行った。


「さて、俺たちも帰るとするか!」


ラウルが言うとみんな満場一致で頷きその場を離れて帰ることになった。



そしてオレはと言うと————。


今はアルフレットの領地、ガルムラ街に戻っており店の地下でのんびりとしていた。


「ああ、夜のコーヒーはサイッコーだな!」


なぜアルフレットの領地に戻ってるかと言うと魔法学校へ戻ったが特に学園に滞在する理由もないからとりあえず店に戻ることにした。


だがユリアーナさんの件はまだ片付いたわけではない。

命を狙う輩をさっさと見つけないといけないのだがやはりストーカー的なやり方では中々動きづらい。


と、いうことでまずはユリアーナさんとお近づきになるためにアルフレット公爵の屋敷に行くことにする。


屋敷に行って何をするか?

そんなの決まってる、アルフレット公爵に気に入ってもらうためにとあることを実行する。


アルフレット公爵は領主をしている他に武器を扱う仕事にも携わっている。

王都の武器を管理しながら輸入などにも関与している。


つまりここでオレの武器を扱ってもらえれば

いつかは屋敷の出入りもしやすくなる。


さらにはユリアーナさんのことももっと詳しく聞けるのではないかという計画を立てる。


これは案外いけるかも!


我ながらいい発想だ! この計画を有意義に進めるために明日からオレの武器を造る!


「なので………、今日はダルイのでゆっくりしようっと……」


そしてオレはダラダラとコーヒーを飲みながら夜を明かした。




——そして翌日の昼。


オレは店の地下で武器を製作していた。

とびっきりのオレだけが造れる最高の武器を!


剣や槍に弓矢、盾をそれぞれ造っていきながらどんな特徴を加えようか考えていた。


同じ武器を造っても特性がないと伝わらないし、取り扱ってくれないだろう。

これがオレが造った武器というものをどう活かしていくか。


この世界は魔力量で能力チカラが左右されるのならその能力を活かせれるように魔力が強いものは魔力を一定に抑える武器、魔力が弱いものは身体能力やその他を強化せればいい。


我ながらいいアイディアだと感心している。

だが、ふとオレはとあることに気づいた……。


「公爵家に武器ってどうやって売ればいいんだ?」


武器を造ること以外は完全に盲点だった。


「どうすればいいんだ…?」


オレはまた頭を抱えることになった。


———と、いうことで。


この街のもう一つの武器屋に話を聞くために訪れていた。


「はあ、公爵家に武器を売るだぁ?」


「ああ、だからそのために知恵を貸してくれ……」


ドワーフのルドルフさんが鬱陶しい表情で聞いてくる。

ここの武器屋はオレの店から少し歩いたとこに立っている。

唯一この街で話すのはこのルドルフさんぐらいだ。



「トビよ、公爵家に売るっつてもよ……、もう武器の調達は間に合ってるからな」


「…やっぱりそうなのか。なあ、なんとかしてくれ! 頼む!」


オレは両手を突き合わせ頼み込む。


「そうは言われてもよ……」


「代わりにオレの武器を売ってもいいからさ」


「あのな……」


ルドルフさんは完全に困ってるようだった。


「それなら商業ギルドに行って聞いてみろよ」


「商業ギルド……?」


「ああ、そこのマスターなら何か知ってるだろう……」


   


    —商業ギルド—


「公爵家に武器を売るって、お前さんそれは難しいと思うぜ」


商業ギルドのマスターことケミルの婆さん。


「どうしても無理なのか?」


「ああ、お前さんの場合はまずは自分の店でちゃんと武器を売ることから始めんか」


まさに今抱えてる問題をズバッっと言われてしまいぐうの音も出ない。


「公爵家に武器を売るのはそれからだ!」


あっさりと断られたため、オレは失意を胸に帰ることにした。


「ああ、計画が台無しだよ……。売れって言ってもどう売ればいいのやら」


日本にいた頃は矢面に立たずにただ会社の社員として働いていたから特に考えてなかったが自分のものを売り込むって大変なんだな。


さてこれからどうしたものかと悩んでいるとどこからか言い争う声が聞こえてきた。


「テメェ、ふざけんじゃねぇぞ!」


「…あ? なんだ……?」


オレはふと聞こえてきた野蛮な男の声で辿ってその場所に向かう。

狭い通路の奥まで入ったところに向かうと男三人が一人をとり囲むように立っていた。

取り囲んでる相手は男たちの体で見えなかったがオレの勘ではおそらく、男の子っぽかった。


「あの、ですから、その、退いてくれ……」


「あぁん? なんだって?」


「いや、あの、ですので」


声変わりをまだしてないせいか女の子に間違えてしまいそうだが男たちの隙間から白のズボンが見えたので男だと確信した。


これは助けたほうがいいのか…?


オレは周りをチラチラと見回すが他に誰もいないのでとりあえず助けることにした。


「あの、ちょっといいですか……?」


オレは平然と通りかかったように振る舞いながら声をかけた。


「チッ! なんだテメェ?」


…あぁん? こいつ今舌打ちしたか?


オレは苛立ちを覚えたので少し痛い目に合わせてやろうと思った。


「いや、相手一人に三人で寄りたかって優位に立ってるゴミを片付けようと思って」


「なんだとテメぇコラ? ぶっ殺されてぇのか?」


一人の男がオレの胸ぐらを掴んできた。

その他の男たちもオレが一人だということで調子に乗ってるようだ。


まあ、実際オレはそんなに強そうな見た目ではないので仕方ないが、だが素手

で戦おうとは思ってない。

オレには例の武器があるから……。


左にはめていた腕輪を右手首にはめて指で腕輪のスイッチみたいなものを押すとゴールドアーマーの右腕の部分が現れる。


「テメェ、何して……、ブハ!!」


胸ぐらを掴んでる男の顎にアッパーを喰らわせる。

男はそのまま吹っ飛び地面に叩きつけられる。


「な!? この野郎!」


男の仲間の一人がオレに殴りかかってくるので炎弾を男の腹に撃ち込むとそのまま倒れ込む。


炎弾と言っても人を気絶せる程度、一応造っといてよかった。


オレはもう一人の男を睨みつけると怖気付いたのか叫び声を上げながら逃げていった。


「よし! スッキリした! ああ、気持ちいい!」


ゴミのようなやつを成敗するとこんなに気持ちいいとはいい気分だ。


「あ、それよりも………、大丈夫、か?」


オレは絡まれてた男の子のほうを振り返ると

固まってしまった。

固まってしまうほどに美少年な男の子だった。


「ありがとうございます。お兄さん!」


その男の子は微笑みながらお礼をしてきた。


美しい白い髪で前髪パッツンに淡い紫色の瞳、凛々しい顔立ちをして白の軍服のようなものを着ていた。


なんか女の子と言われても絶対にそう思う自信がある。

それくらい綺麗だ。


なんか変な扉を開きそうで怖い……。

というかどこかで見た顔………。



オレはのちにこの少年のおかげで思わぬ幸運に恵まれるのであった————

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