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精霊男の娘

——精霊の生まれ変わり。


精霊と言われてオレはあまりピンと来なかった。

なので女神に教えてもらいことになった。


精霊とはこの世界で魔法を扱う誰もが知っている常識的なことらしい。

精霊にはそれぞれ7つの属性がある。


炎、水、風、土、雷、光、闇とその属性の魔力を持った者は精霊と契約を交わして、精霊の力を借りて魔法を発動させるというのだ。

本来、精霊は限られた者にしか見えないとのことだ。


オレは魔法とかそういう能力はもらってないからあまり関係ないけど。


「…っていうのが精霊なの」


「そういうことか…」


オレは精霊というものをざっくりとそういう感じと捉えることにした。

ベッドに横たわって寝る体制のまま女神にあることを聞いてみる。


「それで、今回精霊の生まれ変わりのユリアーナさんをどうしろって言うんだ?」


「それは簡単よ! 君があの子を救ったのだから責任を取るのよ!」


「………は? どゆこと?」


女神の言ってる言葉に当然オレは理解が追いつかない。

オレが救ったって意味がわからない。

自分でも気づかないうちに変な能力を会得したか。


そんなことを考えてると女神がその真相を話し出した。


「あの子、ほんとならあの荒野で殺されるはずだったんだよ」


「なんだって!?」


この女神はなにを言ってるのかわかってるのかと思ってたが目を見る限り嘘をついてるように思えない。

ではなにを根拠に話してるのか。


「あの荒野で盗賊たちに襲われて殺されるはずだったって言ってんの!」


「いや、ちょっとまて! 悪りぃが、よくわからん!」


「…そのままの意味だよ!」


「いや、その前になんでユリアーナさんが殺されるはずだったんだ…?」


「それを調べるのが君の仕事だよ!」


女神はそう言ってオレに指を差してウインクしてきた。

無性にそれがムカッときてしまい殴りそうになった。


「ちょっと、殴らないでよ! 結構痛いんだから!」


おっと、どうやら心を読まれていた。

ついでに女神は殴られると痛みはあるらしい。

いい情報が手に入ったところで本題に入る。


「それに、責任を取れと言われてもどうすればいいんだ? 相手は公爵家だ。そんな話を簡単に信じるとは思わないぞ」


オレはそう提案すると女神は何か裏がありそうな笑みをしていた。

まるでオレがそう言うのは計算済みだよと言わんばかりの自慢気な表情だ。


「それなら、良い方法があるじゃん!」


「なんだよ、良い方法って?」


オレにはさっぱり見当もつかない。

一体どんな方法があると言うのやら……。


「君の武器を売ればいいのよ!」


「売るって、……ユリアーナさんにどうやって?」


「いや、ユリアーナじゃなくて店で売れば良いのよ!」


「店で? それでどうやって公爵家とお近づきになれると?」


「ああ、最後まで言わないとダメかな……」


女神はオレの質問に頭を抱えているのか。

それともいい加減理解してくれないオレに腹を立てているのか、女神は呆れた表情をしていた。


「あの公爵家の領地で君の武器を売れば、公爵家とも関わりが持てると思うけど……」


「それで関わりを持てるものか…?」


「ええ、そうよ!」


女神はそう言うがどこかでオレは疑問に感じてる部分があった。

だが嘘をついているようには見えないし…。

やってみるか…?


「それで武器を売るにはどうしたらいいんだ…?」


「それはハルって子に聞いてよ……」


「あ、っそ……」


あっさりと拒否されてしまったのでオレは頷くしかなかった。

まあいい情報をくれたからよしとしよう。


女神はまた窓から外に出ようとしたが止まってオレのほうを首だけ向けて振り返る。


「あ、そうだ! 一応ヒントと思って聞いてくれる?」


「何を…?」


「敵は魔王だけじゃない……、これだけ覚えといてね! それじゃ!」


女神はそう言ったあと窓から飛び降りて行った。

オレはそれをすぐに追いかけて窓から顔を出すと女神の姿はなかった。


毎回あの女神はどこから現れて、どこに消えていくのか。

全くの謎だった。


またベッドのほうへ戻り仰向けになって寝転んだ。

天井を見ながら、ユリアーナさんのことを思い出してた。


…ユリアーナさんが一体誰に命を狙われているか?

そして女神のあの言葉、『敵は魔王だけじゃない』それが一体どういう意味を表すのか?


「これから忙しくなるなぁ……」


オレはそう呟いたあと眠気を感じたので目を閉じるとそのまま夢の中へと落ちていった。





——翌日、オレは少し早めに目が覚めた。


女神の情報を頼りにオレは武器を売るためにハルさんに相談してみる。


「えっ!? 武器を売るの!?」


「はい。なので売るためにはどうしたらいいのかと思って……」


オレはそう言ったあとハルさんを見ると

なぜか地蔵のように固まったまま目を見開き動かなくなった。


「ハルさん、ハルさーん!」


「……あ、ごめんね」


オレが声のボリュームを少しずつ上げて呼ぶとハッとしていつもの笑顔に戻る。


「どうかしました…?」


「ううん、…なんだか急すぎて。…それじゃ、商業ギルドに行ってみようか! 確か、王都の————」


「ああ! 実は王都より、公爵家の領地の方がいいんですけど……」


ハルさんが急いで立ち上がるのと同時にオレは口に出していた。


「……え、今なんて?」


ハルさんはオレの言葉を聞いて少し怪訝そうな目をしていた。

そんなに驚くことだろうか?


「何か不都合なことでもあるんですか?」


「ううん、そうじゃないんだけど……」


ハルさんは心なしか乗り気では無さそうに見えたが、承諾してくれた。



———と、いうことで………。


来ました。公爵家の領地に!


公爵は貴族の中でも最高上位貴族、王様の次に偉いと言われる人。いわば右腕というべきか。


オレが来たのはアルフレット公爵の領地でもあるガルムラという街だった。


この街は王都から西に向かって進み、山を越えると見えてくる。

馬車で10時間程度のところだ。


街並みはやはりヨーロッパの街と似ている。


…この街もかなり人が集まってるな。


この領地に来たのは他でもない武器の輸入と公爵家と知り合いになり、ユリアーナさんをできるだけ近くにいるというのが目的だ。


王都でも武器を売っていつかは貴族とお近づきになればいいかと思ってたがそう悠長なことはしていられない。


ユリアーナさんは何者かに命を狙われている。


その正体がわからない以上、ゆっくりはできない。


ハルさんから教えてもらいながらオレは商人になるためにまずは商業ギルドへ行って商人申請をしなければならない。

申請をして少しだけ面接を受ける。

その後商業のギルドマスターから合格の判子をもらったら今度はその書類を持ってそれを

冒険者ギルドに持って行かなければならない。


なぜかというと最初に加入したギルドにはその報告をしなければならないという義務があるらしい。


面倒くさっ!


冒険者ギルドで商人という項目を記入してもらったら、商人として働けることができる。


…だがまだ終わりじゃない。


次に自分が造る武器や武具を提供するか、自分で売るかどちらかを選択しなければならない。


それは迷わず、自分で売る。

自分が造ったものの良さは自分にしかわからないから、下手に顔も知らない人に売るように頼んでもおそらくはやってくれない。


だからこそ自分が売ることで良い商売ができる。


……多分。


ということでこの街の空き店舗を商業ギルドから紹介され、そこで武器を売りながらアルフレット公爵、特にユリアーナさんの監視と警護を密かに行うことにした。


あとは店舗の準備を進めるだけだ!


さて、オレの最高の武器を売っていくぞ!

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