盾使いの冒険者
——突如、現れた魔物で王都は大パニックだったが冒険者たちにより討伐された。
王室では突然の魔物の出現での話し合いが行われていた。
王室にはアールグラント国王陛下、エリア王妃が王の椅子に座っており、その他にアルフレット公爵の姿があった。
「魔物の討伐はなんとか事なきを得たみたいだな…」
「はい、陛下。王都に滞在中だった冒険者たちが応戦してくれました」
「そうか! 後でその冒険者たちには礼を言わねば」
「それと陛下」
「なんだ?」
アルフレットが深刻な表情になった。
それを見てアールグラントは長年の付き合いだからこそ何かよくないことでも
あったかと察知してしまう。
「実は一部の冒険者の目撃情報によりますと、炎の攻撃を発射した者がいるそうで…」
「……炎?」
「はい。その目撃者によるとその炎は例の黄金の鎧が放つものに酷似していたとの報告がありました」
「なんと……!? 誠か? アルフレットよ!」
アールグラントは信じられないという表情で立ち上がり驚いた。
何が信じられないかはわからない。
「はい、間違いないと思われます。おそらくこの王都のどこかにいるものと思われます」
「そうか、あの黄金の鎧が…」
「陛下……」
隣のエリア王妃がアールグラントを心配する表情でみる。
イグリニア王国は一体黄金の鎧をどのように見ているのか。
国に対しての敵になるか、味方になるのか。
この間で議論されていた。
アルフレットは王室を出て城の長く広い廊下を歩く。
「父上……」
ふと誰かに呼ばれて立ち止まり振り返るとアルフレットを引きとめたのはユリアーナだった。
綺麗な貴族の御令嬢らしい服装をしており、誰もが二度見はするくらいの美しい容姿をしているが、……男だ!
「ユリアーナ、きてたのか…?」
「はい……」
「一緒に帰るか…?」
アルフレットはユリアーナと並んで再び歩いていく。
「ユリアーナ、お前は黄金の鎧についてどう思う?」
「…わかりません。ただ、敵ではないことを祈ります」
「そうか…。なあ、ユリアーナ」
「はい……」
「今日もかわいいな……」
「っ……!?」
急にかわいいと直接言われたユリアーナは顔を真っ赤になりだした。
よほど恥ずかったのか下を俯いてしまった。
——王都、武具屋にて。
「これがこの武具屋一番の代物やで!」
「へぇ、これが……」
オレは魚人の魔物を討伐後、またあの武具屋の美少女店主のお姉さん、いやお兄さん? のところに来ていた。
別に綺麗なお姉さんをまた見にきたわけじゃなくて、王都の腕利きの鍛冶屋が造った武器や武具を見ておきたかったのだ。
ついでにオレが造った武器もここで置かせてもらえれるかの交渉も兼ねて。
剣や槍、弓矢のような武器はさまざまな種類ががあって男心をくすぐってくる。
盾は大きさが違うのがほとんどだが、種類が他の武器と比べて少ない気がする。
ただ効果としてはあまり期待できなさそうに思えるが…。
「これはしっかり武器としては使えるものか?」
「当たり前やん! その武器は一見ただの武器やけど、それは魔力の量に比例すんねん!」
「魔力の量…?」
「そうやねん! 例えばウチみたいな魔力が平均な者やと…」
美少女お姉さん兼男の娘の店主さんは剣を手に取ると目を瞑る。
すると剣が光り輝き出す、そして光が収まると。
「えっ…!? 剣の形が変わってる!?」
「そう! こんな感じになんねん! すごいやろ!」
その剣の形は普通の剣の形から異形の形へと変化していた。
男の娘店主さんは自慢げに胸を張っていた。
そんな胸を張ることないと思うけどな…。
オレが心の中で失礼なことを思ってると店の扉が開く音がした。
「…すいません」
武具屋の扉を開いて入ってきた人物にオレは目を向ける。
「いらっしゃいませ! どのようなものをお探しですか?」
…あ、あの人……!
その人物はあの魚人の魔物で五人の冒険者パーティーの一人の盾使いの女性だった。
「新しい盾を探してるのですが…」
「ああ、それでしたら……」
女盾使いと店主が話してるのをオレは横目でチラチラと伺う。
武器を見ながら聞き耳を立て会話を聞き取る。
「それは、ちょっと無理かも知れへんな…」
「そうですか、やっぱり……」
その会話を聞く限りあまりいい感じではないな、それに盾使いの人の表情もあまり優れない表情だ。
このまま見過ごそうかと思ったが、盾使いの人の表情が気になってきた。
こうやって一回気になりだすとダメなんだよな。
オレはとりあえず声をかけてみた。
「お姉さん、どうかされました?」
「あんな、ウチは男やって…、いや、今はええわ。この子の盾が古いから新しいのが欲しい言うんやけど、あまり盾は造る人が少ないから種類が少ないんよ」
「へぇ、そうなんですか」
やはり盾の種類が少ないのはそれが原因か。
「盾を扱う冒険者は結構少なくて、だから盾の種類も少ないんです」
盾使いの人はしょんぼりとした表情になり下を俯いてしまった。
こんな力強そうな目をしているにもかかわらずこんな弱々しい表情もするのか。
「ならば、オレが造りましょうか?」
「えっ……!?」
盾使いの人は驚いて口をあんぐりと開けていた。
それに加えてお姉さんも拍子抜けた表情をしていた。
「造るって、盾を…?」
「はい…」
「君が……?」
「はい…」
「ほんまに言うてんの?」
お姉さんはなんかめっちゃ疑っているが本人が造れるって言ってるのだから素直に納得してくたらいいのに。
「だから造れますって! 鍛冶場があればできますよ!」
「本当にいいのか……?」
「はい、いいですよ。それに武器がないと戦えませんからね」
「そうか…。 ありがとう…」
そう言った後、優しく微笑む盾使いにオレはその笑顔に心がざわついていた。
…めちゃくちゃ、かわいい!
戦いの時は凛として気高い女性なのにこんな優しい笑みを浮かべるのか!
そしてなんと言っても異世界の女性はめっちゃ美人!
赤毛の短髪美人、いいね!
なんてオレの心の中で悶えてることなど二人は知らない。
オレは美少女店主ことララさんに鍛冶場を案内してもらった。
その鍛冶場はなんとララさんの店の地下にあった。
「なんでこんなところに鍛冶場が…?」
「昔、ウチのパパが鍛治職人やっててな! 今は使ってないけどそのままにしてあるんよ! 好きに使ってや」
地下の鍛冶場は多少埃はかぶってるが、まあ問題ないだろう。
「わかりました。ではさっそく……」
オレの黄金の武装戦士じゃないもう一つの顔、錬成師としての能力を見せてやろう。




