王都の冒険者
——オレは王都の武具屋でとある美少女店主に見惚れていた。
そして衝撃的な事実を知った。
オレは黄金の武装戦士もそうだが、武器は自分で造るものじゃないのかと心の中でカルチャーショックを受けていた。
「武器はその道のプロがいますので、ウチはそれを仕入れて売ってるだけですわ!」
と、さも当たり前のように言ってるがオレからしたらそれが普通なのかと驚いているのだ。
「そうなんだ、へぇ……」
「そうですよ! ウチらはただの商人ですよ! それに武器は冒険者の方々の必需品やから、ウチらはそれを提供するいわば仲介みたいな役割や!」
「ふーん、そうか……」
オレは納得するように下を向くと、美少女店主がいきなり顔をグイッと近づけてきた。
急にきたので当然オレはたじろいだ。
「なんですか、お客さん。 もしかして疑ってます?」
「いや、別に……」
「ホンマですか?」
「ああ、もちろん! 武器はちゃんとした職人が造ってるのか、そうかそうか!」
「ま、ええですけど!」
美少女店主はオレに対してかなり怒っているように見えた。
…でも待てよ、もしかしたらここでオレの武器を取り扱ってくれるということか!
オレは少し考えてから店主にとある提案をすることにした。
「あの、一つ聞いてもいいですか?」
「はい! なんなりと!」
「ここでオレの………」
するとどこからか鐘が勢いよく叩かれる音が聞こえてきた。
「なんですか? この音?」
オレが聞こうとして美少女店主を見るとその顔は青ざめていた。
一体なんなんのかよくわからないが店主は怯えながらもつぶやくように言った。
「…なんでや……ここに」
「いや、だから一体……」
「魔物や……魔物が来たんやねん……」
「魔物……!」
「あ! ちょっと! やめときな、危ないって!」
美少女店主のお姉さんに止められたが、オレはそのまま飛び出していく。
オレは店から飛び出して外に出ると街の人たちが騒ぎながら怯えながら逃げ惑う姿が見える。
街の人たちは城に向かって逃げていく。
ということは魔物は反対側から来ているのか、わかりやすい!
「ちょっと、君! 何してんねん! 早よ逃げなあかんやろ!」
美少女店主のお姉さんがオレの腕を掴み逃げようと施してくれるがオレはその手を掴みこう言った。
「大丈夫です。 お姉さんこそ早く逃げてください」
「え…? どういうこと?」
オレはお姉さんの手を解いて走っていく。
「…あ、ちょ……! ……行っちゃった、ウチ、男やけど…」
当然、このささやく声はトビには聞こえてるわけがない。
オレはどこに魔物がいるか、確認するためにポケットから取り出したのは小型映像画面だ。いわばスマートなんちゃらというものだ。
この映像画面と連動している空中武装保管庫の映像で魔物の位置を探る。
このために魔法石を買っといて正解だったな。
魔石と魔法石は言葉が似てるが厳密には違うのだ。
魔石は魔物や魔獣を倒した時に出てくるドロップアイテム、またダンジョンとかで獲れる物、魔石は武器を造るのに大いに役立つ代物だ。
魔法石は国と優秀な魔術師が共同で開発したアイテム。魔法石は魔力が少ない者、魔法が使えない者たちがこの魔法石で魔法を発動するもの。
もちろんその際に詠唱は必要になるが、こうやって自慢げに説明しているがオレもつい最近ハルさんに教えてもらったのだ。
それを知らずに買ったりしていたからハルさんに少し呆れられていた。
見分け方はとても簡単、魔石は形が歪な物、魔法石は人によって綺麗に構築されたものだ。
これを知ったとき、自分の無知が恥ずかしくなってきた。
だが今はそんなことはどうでもいい。
保管庫の映像が画面に映し出される。この原動力はハルさんの魔力だ。
映像に魔物が映ったので拡大して見てみる。
そこには大きな人の形をした魚がいた。
「え…? 何これ?」
正直言って気持ち悪い魔物なので行きたくねぇなと思い始めた。
その魔物を囲むように周りに武器を持ったものたちがいた。
…気持ち悪りぃが、行くか!
——王都に魔物、襲来
魚人の魔物の襲来で王都は大パニックだった。
滞在中の腕利き冒険者たちが駆けつけて応戦中だった。
「エルザ! 防御してくれ!」
「わかったわ!」
エルザという赤毛の短髪の女の盾使いが前衛に出る。
「みんな、総攻撃だ!」
「オッケー! やるしかないみたいだね!」
大きい剣を持った黒髪の爽やかイケメン主人公のような青年が他の四人の仲間たちに指示を出す。
それに応えるように紫色のロングヘアの魔法使いが言う。
五人の冒険者たちが力を合わせて魔物に立ち向かう。
これを冒険者パーティーというのだろう。
まずは主人公みたいな爽やか系の青年の男、ソードマスターだ。
その他に紫色の髪と瞳をした美女の魔法使い、短髪の赤髪で力強い目をした女盾使い、大きい体格をして強面顔の獣人の男、優しそうな顔の金髪の聖女が魔物の討伐を行う。
拳術士の強面の男が魚人の魔物に右手のイカツイ拳を力いっぱい乗せて殴る。
その勢いで片膝をついてしまう。
「よし! まいったか!」
やはり魔物といえど痛みはあるようだ。
だが致命傷になってはいない。
すぐに立ち上がり拳術士の男に向かって奇声に近い声を発する。
「グレイス! 離れてろ!」
そう言ってグレイスという男の横を通り過ぎてソードマスターが魚人の魔物に剣を大きく振り切り込んでいく。
その大きな剣は冒険者からしたらとても高価な代物だ。
その剣は魚人の魔物の肩を深く切りんでいく。
すると魔物はよほど痛かったのだろう、奇声を上げて後ろに向かって倒れこんだ。
体をビクビクと痙攣させてそのまま動かなくなった。
「…やったか」
「みたいだな…」
魔物をあっさりと倒してしまうとはさすがは王都の冒険者というところか。
それを陰で見ていたトビが出る間も無く、魔物は倒されてしまった。
「オレの出る幕なかったな……」
あっけなく終わってしまったそこには冒険者たちの勝利を讃える民たちがいた。
オレは少し見せ場をよこせと思いながらその場を離れることにした。
だがふと魚人の魔物が少し動いたような気がした。
気のせいだろと思って行こうとしたが、魔物の手がピクリと動いた。
すると魔物が最後の力を振り絞るように立ち上がり爽やかソードマスターに襲いかかろうとする。
「ラウル! 危ない!」
「えっ…?」
聖女が察知して危険を知らせるが剣を抜こうとするが間に合わない。
オレは左腕のアーマーから炎弾を発射する。
炎弾は魔物の顔に命中し、そのまま倒れた。
「え……!」
剣を抜こうとしたラウルはそのまま固まってしまう。
オレは間に合ってよかったと思い安堵のため息をついたあと焦って逃げるようにその場から立ち去った。
オレが立ち去ったあと、五人の冒険者たちが不思議そうにしていたことは知らなかった。
「ラウル! 大丈夫?」
聖女が急いで駆けつけるが幸い襲いかかろうとする前に炎弾によって倒されたから傷は一つもない。
「ああ、なんともない……」
「今の、なんだったんだ?」
「わからない。…一体どこから?」
ラウルやグレイスは辺りを見渡すがその炎の弾を発射した者の姿はなかった。
誰かはわからないが助けてくれたのには変わりない。
五人の心の中に疑問が残り続けた。




