オレ、王都に行く
——完全にヤバいことをした。
オレはあろうことかユリアーナさんの股の部分を触ってしまった。
そして確認してしまった。男であれば誰もがついている男の象徴たる膨らみがユリアーナさんの股に、……ある!
どう切り出そうか迷っているとユリアーナさんから話し出した。
「……触ったか?」
「…すいません」
オレは気恥ずかしさと申し訳なさで目を合わせられず下を向いていた。
「…いや、その謝る必要は、ない…」
「はい、すいません」
お互いどうもうまく話せなくなっていた。
夜で顔がはっきり見えないから助かったが、これが昼とかだと多分、色んな意味でヤバい!
「……男だ」
「……へっ?」
「だから男だと言ってるだろうが!」
「……あ、は、はい」
オレの反応が鈍いのがイラッときたのか少し睨みつけるようにはっきりと言った。
ユリアーナさんの気迫にオレは少したじろいでしまった。
とはいえ、とんでもない事実を知ってしまった。
まさかユリアーナさんが男の娘だったとはこの展開久しぶりだな。
だが、男なのになんだろう? この胸の高鳴りは……?
ヤバい! これ以上は耐えられない! 帰ろう!
「じゃ、オレはこれで失礼します! では!」
「…あ、ちょっと!」
オレはユリアーナさんの制止を振り切ってさっさと逃げるように退散した。
このままいると変な気持ちになってしまう。
早く帰らないと!
オレは夜の荒野の中、美少女男の娘ハルさんに続いてもう一人の美少女男の娘ユリアーナさんの登場により、オレは走りながら胸の高鳴りを感じずにはいられなかった。
——そして数日後。
オレは心の中の熱が冷めずに一夜が過ぎ、朝がきた。
「…眠れなかった。…なんでこんな喪失感があるんだ」
そんなことは言わなくてもわかってる。あの美少女男の娘ユリアーナさんのことが頭から離れられない。
初めみたときは本当に気絶するくらいに綺麗だったが、男の娘だとわかった時は特に胸のざわめきがさらに大きくなった。
これは、一目惚れか……。ハルさんに続いて二人目か…。
「ちょっと! トビくん、聞いてるの!」
「…あ、はい。…聞いてます」
ハルさんが頬をプクと膨らまして腰に両手を添えてオレに顔をグッと近づけてくる。
おっと、ヤバい。今ハルさんに怒られてる途中だった。
ハルさんを前にしてユリアーナさんのことを思い出すとはオレも隅に置けない男だな。
なぜ怒られているかというと理由はもちろんオレが先に王都に着いたはいいが、入国してないことを知り、焦っていたらしい。
ハルさんは馬車で三日かけて王都に着いたが、肝心のオレの姿が見当たらなくて広すぎる王都を探し回ったみたいだった。
それからまた馬車で王都の外に出るとオレが保管庫の外で呑気に日向ぼっこをしてるところを見つけて大激怒。
そして今二時間近く説教されてる最中である。
だが、ハルさんの怒った顔も可愛い!
「トビくん!」
「……はい、すいません」
こうしてオレはハルさんとともにやっと王都へと入国できたのだ。
王都に入るには通貨が必要だ、つまり通行税が取られる。
大きい門がありその両サイドに鎧を着た門番が二人立っている。
通行税を払い、門をくぐり抜けると目の前にはまさに大都市が広がっていた。
大都市だからこそ人も多く、あたりの建物はやはり王都というだけあって綺麗で立派な建物だった。
馬車の中から街を見ると老若男女、種族を問わずいろんな人たちで賑わっていた。
そして相変わらず美男美女が勢揃いしていやがる。
するとオレの目の前をめっちゃ美人が通りすぎていく。
窓に張り付いて見ると、エルフだった。
…うお! すげぇ! エルフだ!
こんな間近で拝めるとは素晴らしい!
…ん? あれは、……ドワーフだ!
やっぱり、イカついな!
さらに鬼人族や竜人族を見かけてオレは興奮していた。
オレはさらに気分が高まっていき、王都に来てよかったと思った。
オレは馬車の中でウキウキしながら建物や王都の人々を眺める。
「トビくん、ほらみて!」
オレの向かい側の席に座るハルさんに声をかけられて何かを見るように施されて反対側の窓を覗くと真ん中に位置している王国の象徴である大きい城が存在感を放っていた。
「うお! あれが王国の城か!」
「ねぇ、すごいでしょ!」
「そうですね、……っ!?」
オレは平然としていたがとあることに気づいてしまった。
ハルさんとの距離が、…近い!
ハルさんは気にしてはないが、オレは心臓の鼓動が密かに早くなっていくのを感じた。
馬車が宿に着き、ハルさんに部屋の鍵を渡された。
そのまま部屋に行き、ベッドに向かって勢いよくダイビング。
てっきりハルさんと同じ部屋かと期待していたが、全くなくて普通に鍵を渡され、普通にハルさんは別の部屋に入っていった。
畜生!
その時のオレの心がなんとも虚しくなってきた。しかも宿をしっかりと取っているなんてさすがしっかり者のハルさん。
オレは仰向けになり、ベッドの上で部屋の天井をみながらため息をつく。
…王都の街は広いし、人も多い。
…ここなら、自分の店を持てそうだな。
だがどうやって店を開いたらいいんだ?
この場合はどのように手順を踏んだらいいんだろうか?
まあ、あとでハルさんに聞けばいいか!
とりあえずオレは一眠りすることにした。
——翌日の昼、オレは王都を探索とは名ばかりの観光をすることにした。
昼頃に起きるのはいつものことだからハルさんは気にしてないのか、オレが起きたら部屋にいなくて宿にもいなかったからどっかに出かけたのだろう。
と、いうことでオレは一人虚しく王都を観光するのだ。
…しかし、広いな。こんなに広いと、道に迷うかもな…。
オレは王都の街並みを見渡しながら、愉快な気分になった。
しばらく歩いてると、武具屋の看板が目に入った。
人が行き交う街に大きく佇む建物に大きな看板が掲げてある。
オレはどんな武具があるのか気になり、武具の扉を開けてみた。
中に入ると目の前にさまざまな武器や武具が揃っていた。
剣はもちろん、槍に弓矢に盾の種類が豊富だ。
武具は鎧が一式揃ってある。 まさに武器の重宝と言ったところか。
オレが武器を漁るように眺めていると、店の奥から店主らしき人物が顔を出した。
「あ、いらっしゃいませ!」
「あ、どうも……!」
オレは驚いてしまった。何に驚いたか、それは店主の容姿に目を奪われてしまった。
その店主はまさに美少女!
輝きを放つ美しい金髪の髪を後ろに束ねており、エメラルドグリーンの瞳、白く細身の太ももが露わになるほどに短すぎる短パン、細身の華奢な体にそして明るく元気でハツラツとした声、まさに美少女!
まさか王都でも一目惚れをしてしまうとはこの世界は美少女が多すぎる。
「…あの、大丈夫?」
「あ! はい、大丈夫です!」
ヤバい、ついついぼーっとしてしまった。
これ以上は見ないでおこう。
「なにか、お探しですか?」
「あ、そうですね…」
イントネーションがやけに関西弁っぽくて少しびっくりしたがオレはとりあえず武器を色々と物色することにした。
「これは、全部君が造ってるのか?」
オレは手始めにそう聞いてみるとその店主はなぜか大きく目を見開いていた。
…ん? なんか変なこと聞いたか?
「なにを言ってはるんですか、お客さん! これはちゃんとした武器職人さんから仕入れたもんです!」
と店主は動揺しながらもそんなこできるわけないという勢いで言ってきた。
え!? 自分で造らないの!
オレは普通に武器を製作していたが、ここじゃ違うのか!
——オレは自分の常識がズレていることに驚きが隠せなかった。




