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最高の鍛治屋

——魔王軍幹部、ヴェルシャスの襲来。


絶大な魔力の持ち主を攫いに来たと、堂々と啖呵を切る。

恐らく今までの村の襲撃はコイツの仕業で間違いないだろう。


数百体の魔物やアンデットの群勢を率いてまでやってきていた。

脅しのつもりか。


オレは奴に炎弾フレイムガンを撃ち込む。

当たりはしなかったが、奴は避けた。

しかも少し焦りの表情が視えた。


ヴェルシャスはその鋭く見るものを凍らせるような目つきでオレを睨む。


「それは見たことがないな。一体何者だ、貴様?」


「まあ、気にするな。特に説明する必要はないだろ」


「フッ、面白い……」


「ちなみに一つ聞いてもいいか?」


「なんだ?」


「その絶大な魔力の持ち主を攫ってどうするつもりだ?」


オレはその理由を知りたかった。

魔王が欲しがるその魔力は一体どれほどの価値があるのか。


「それは貴様は知る必要はない」


まあ、そう簡単には教えてくれないということはわかってたが、こうあっさりと言われると腹立つし、イラッとくるな。


「そうか。知られたくないということか、なら尚更渡すことはできないな……」


オレはユウナさんを守る義務を背負った。

別にオレじゃなくてもカイトに任せればいいのだが、今回の相手は魔王軍、しかも幹部だ。


「レベル測定……、これは!?」


……勝てるのか?


いや、なす術なくやられるのかオチだろうな。

オレは炎弾を撃つ準備をする。 

ヴェルシャスも同じく翼を広げ、宙に浮く。

だがヴェルシャスは攻撃をしてこない。

宙に浮いたまま、ただじっとオレを見る。

一体何を考えている。

そう思っているとふいに笑みを浮かべてこう言った。


「今日はここまでとしよう、我は退散する」


「何?」


「また改めて来るとしよう、では」


ヴェルシャスはそう言うと手を上げ、合図をした。

すると魔物の群勢は後ろを向き、そのまま列を整え戻っていく。

まるで軍隊だな。

どうやら難を逃れたが、ヴェルシャスは振り返りこう告げた。


「いつぐらいがよかろうか、……そうだな、三日後、また会うとしよう」


そう言い残して黒い翼を羽ばたかせて帰っていく。

つまり、三日後は確実に攫いに来るということあの不気味な笑みはオレの脳裏に焼きいている。

あの笑みは間違いなく、本気の目だ。

奴は殺すことを躊躇うことなく実行する悪魔だ。

だからこそ魔王軍幹部の座にいるのだろう。


もしあのまま村が襲われたら壊滅は目に視える。今のうちに準備が必要だ。


「一体なんだったんだ、あれは?」


タイガさんがオレの横に来てヴェルシャスのことを不快に思うような声色だった。

村の住民も顔が険しく、不安の表情に包まれていた。


奴の目的、それを話してもいいものだろうか、オレは迷っていた。

ユウナさん本人すら知らない事実をオレが勝手に話すのは気が引ける。


「兄上! 何かありましたか!」


おっとタイミングがいいのか、悪いのか。

ユウナさんがこちらに来てしまった。

どう説明するべきだろうか? ストレートに

ユウナさんの魔力が絶大すぎて魔王軍幹部が出てきてしまいましたとか、びっくりさせるからやめとこうか。

そんなことを迷っていると、タイガさんは前に出てユウナさんに事のあらましを説明した。


「え!? 魔王軍幹部!? ……どうしてこの村に?」


「それがわからないんだ。理由もさっぱりだし、ユウナは何か心当たりがあるか?」


ユウナさんはしばらく俯いて考えていたが、なかったのだろう、首を横に振った。


「だが、奴はまた来るって言ってたからゆっくりしちゃおれん!」


「ただ、装備を整えるとなるとかなり時間がかかるかもしれません……」


村人の熱意も虚しく、カイトの自信喪失させるようなその言葉に村の住民が顔を曇らせ下を俯く。


ヴェルシャスが来るまであと三日で装備を整え、守りを固め、村に被害が出ないように尽力を尽くす、だが村の住民だけでは難しい。

そう、村の住民だけでは———



「装備はオレが整えましょう」


オレの一言に村の住民全員が驚きで固まる。

タイガさんやカイトもオレを見て驚きの表情をしている。


「トビ殿が、俺たちに装備を……?」


「はい、そうです。そのために手伝ってくれますか?」


「ぜひ、喜んで! いいな、みんな!」



タイガさんの言葉を合図に村人たちの表情に活気と歓喜が満ち溢れる。


そしてオレたちはすぐに作業に取り掛かった。


—タキア村、鍛治屋にて—


オレは村の男たちと総出で装備を造っていた。


鍛治屋でオレは刀や鎧などありとあらゆる武器や武具の製作に勤しんでいた。


材料は鍛治場にまだ残っていた鉱石と鉱山から取っていた鉱石、そしてオレが持参した魔石を合成して使っていた。


タキア村で取れる鉱石の名はダイアタントと呼ばれる鉱石で硬さは勿論、刀や剣の刃にうってつけの鉱石、ただそれだけではなくこの鉱石に炎の魔石を組み合わせて作成する。


そして鎧ももちろんダイアタントをベースに

そこにオーガの魔石を合成する。

オーガの魔石を少量で合成したことで本来の鎧の重さを軽減し、動きやすく戦える鎧にする。


さらにオレはタイガさんの専用の刀、言わば刃が通常の刀より大きいものを造る。


この材料は鉱石のダイアタント、オークの魔石、そして床に落ちてた女神の髪の毛を合成してビッグソードを作成、仕上げに炎の魔石を合成して完成だ。


「こんな手際よく作成するとは、さすがトビ殿!」


「まあ、お世辞はいいですから。握ってみてください」


そう言ってタイガさんにビッグソードを渡す、

タイガさんはゆっくり握り締めるように持つ。


「おお、なんだこれは!?」


「驚きましたか?」


「力がみなぎってくる感じだ!」


タイガさんは今まで見たことがないという驚きの表情をしていた。


喜んでいるみたいでよかった。


オレは次にユイさんの短刀を作成していた。

というのも普通に忘れていてユイさんは少々

お怒りの様子でオレを見る。


じとっと目を細め、まるで暗殺者のごとく鍛治場の入り口の外に身体の半分を隠してオレを睨む。


オレは少し緊張と恐怖心を抱きながら作成した。


ユイさんの短刀は握りやすさ、軽さを重視して造っていく。

材料はダイアタント、オークの魔石を少量、女神の髪の毛、さらに鉄を少量を合成する。


「よし、できましたよ!」


「おおっ! やっとだね! どれどれ?」


ユイさんはそう言って短刀を持つと———


「おお! なにこれ! すごい!」


「どうですか?」


オレが感想を聞くと、ユイさんは短刀を忍者のような手捌きで短刀を使っている。


…さすがくノ一、様になってる。


「うん! すごくいい、軽いし、扱いやすい! これはいいよ、トビくん!」


「そうですか、それはなにより……」


「ありがとう、トビくん! ほんとうにありがとう!」


オレがそう言うとユイさんはオレの手を両手で握りしめ、目に涙を浮かべてお礼してきた。


これだけ喜んでもらえたら造った甲斐があるな。


次に村の男たちにタイガさんの家の地下に隠れ場所を造るため、ハンマーで地面壊させていた。

そこにオレの錬成で壁や天井などを人がたくさん入れるように作成していく。


もちろんそこに空間が流れ込むように壁にはほんの小さな穴を数十箇所をあけておく。


そしてやはりいくさとなれば、飛び道具も必要になってくる。

そこでオレが開発したのは銃だ。


銃は開発しないというのがオレの方針だが、それは変わらないが、今回は相手が魔王軍幹部の奴らだ。

接近戦はあまり無意味と考えたほうがいいかもしれない。


ならば遠距離の攻撃がもっとも使い勝手がいい。


そこでオレが作成する銃はショットガンとガトリング砲だ。


これはダイアタントと魔石を錬成で合成したら完成だ。

これをあと10個ずつ造る、そのためには——


「まだ、ダイアタントが必要だ! 持ってきてくれ!」


村の男たちに伝えて急いで持ってこさせる。

その作業をひたすら繰り返す。

もちろんこれだけ造ると材料も当然足りなくなるが、オレの保管庫に保存してある武器を

解体して足していく。

ただそれの繰り返し。


作業は深夜まで続いた。

オレは完全にペース配分間違えたと思った。

皆が寝静まり、辺りは暗く月が明るく包み込むように照らしている。


「うわぁ、もうこんな時間か、少し張り切りすぎたか……」


オレの身体のHPはほとんど残ってない、これはさっさと回復薬飲んで寝よう。


オレが空中保管庫で寝ようとして村の砂利道を歩いていると、道の前に人影が見える。


……誰だろう? 


その人影を睨みつけていると、オレの視線に気づいたのか、オレの方へ歩み寄ってくる。


オレは咄嗟に身構えると、その人影は驚いて

慌てた様子でオレに声をかける。


「違う違う、敵じゃないよ! 私だよ!」


「誰……?」


その人影がゆっくりと近づいてくる。

月の光が当たる場所に来るとオレはその人物の顔がはっきりと見えた。


「ユウナさん……?」


「ごめんね、驚かして」


「い、いえ……」


オレはユウナさんに会った途端、まるで吸い寄せられるような感覚に陥っていた。


また、オレはユウナさんに恋、してるのか?

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