ユウナの秘密
——タキア村の鍛治場にて、なぜかここに女神がいる。どうやってここに来たとかは今はどうでもいい。
オレが知りたいのはなぜここに来たのか、その理由だ。
女神は当たり前のように椅子に座っているが、それよりオレが気になるのはなぜこの女神が着物を着てるのか。どこからパクってきたのか?
「そんなの決まってんじゃん! 情報を伝えに来ただけだよ!」
「……情報?」
「そう! あのユウナって子のね……」
ユウナさんはこの村の村長の妹にあたる和風美人の女の子ことだ。
というかその前にこの女神はなぜ着物を着てるのか聞きたくなってきた。
「ユウナさん!? それってどんな情報だ!」
「まあまあ、落ち着いてよ!」
「ああ、そうだな……」
オレは一旦落ち着いて椅子に座り、女神の話を武器を製作しながら聞くことにした。
「じゃあまずはあの子、ユウナのことなんだけど、率直に言うね!」
「お、おう……」
オレは息を呑む。一体どんな衝撃なことがわかるのか!
「実は………………、魔女です!」
「……は?」
「だから、魔女よ、魔女! 魔女の生まれ変わり!」
グキッ!!
とトンカチが自分の手の甲を叩く音、皮膚を通してなる骨の音、そして徐々に襲ってくる
猛烈な痛み………。
「ギャアアアアアアアア」
オレは夜の鍛治屋でとんでもない事実を聞かされ、自分の手を間接的に怪我を負わされた。
女神の満を持しての言葉、ユウナさんは魔女の生まれ変わりというのだ。
あれ? この展開はそういうことなのか?
「魔女の生まれ変わり!?」
「ええ、そうよ! さっきからそう言ってるじゃない!」
女神はまるで当たり前のように言うが、オレからすれば二度目の出来事だ。
2回も聞けば過剰反応はないだろうと思ってたが、まさかこの世界に二人も魔女の生まれ変わりがいたとは!
「一応聞くが、ユウナさんはその事実は—」
「もちろん知らないわよ!」
おお、笑顔で即答! 潔い!
オレは女神と話しているといつも思う、なぜこの女神は毎度話終わるとウインクしてくるのか、女子力を上げているのか。
「もしかしたらユウナさんの魔力に反応して
魔物が寄ってきているのか?」
「そりゃそうよ! でなきゃ物騒な奴なんか寄ってこないわよ!」
まあ、確かに女神の言い方に少しイラッとくるが、ユウナさんが魔物に襲われる理由はわかった。
「まさかだけど、魔王はこのことを———」
「ええ、もちろん! 知ってるわ!」
女神は仁王立ちをして自慢気に言うが、オレは危機感を抱いた。
「おい、ヤベェじゃねぇか! 攻めてきたらどうすんだ!」
「そう! やばいのよ!」
女神は心配するように言っているがどこか他人事のように聞こえるのはオレだけだろうか。
「やばいのよって、本当に思ってんのか?」
「な!? 思ってるからこうして来たんじゃない!」
オレに疑われたことがよっぽど気に入らないのか女神は頬を膨らませムスッとする。
子供か!
「わかった。それで魔王はどれ———」
ブー!ブー!ブー!ブー!
オレはその重く低い音に危機感が心の中で渦巻く。
オレの左手につけている腕輪が赤く光り出していた。
それはこの腕輪と連動している保管庫の敵感知の音だった。
「ねぇ、これ何の音?」
「敵だ!この村に侵入しようとしている!」
オレはすぐに鍛治場から外に出て保管庫が置かれているところへ走って向かう。
こんな夜に侵入してくるということは盗賊か、それとも魔物か!
オレは走りながら腕輪に指示を出す。
そして保管庫から自動でアーマーが取り出されてオレのところへと来る。
そしてアーマーがオレの体に自動で装着され
赤眼の目が暗い夜の中奇妙に光る。
オレは保管庫の辺りに来ると敵感知で捜索する。
「……暗視モード、オン」
暗視で敵の隠れている場所をさがす。目の前は木に覆われた闇のような森、敵はどうやらそこに姿を隠しているようだ。
敵は50メートル、すぐに戦闘に入れるようにアーマーに魔力を高める。
薄暗い森の中に同じく赤い目がギラリと光る。
「そこか!」
オレはそこへ目掛けて炎弾銃を撃ち込む。
弾を命中し、獣のうめき声が聞こえてきた。
それと同時に目の前にその獣の正体が現れた。
オレはその獣、もしくは魔獣と呼ぶべきなのだろうか、二匹の黒いツノが生えた人型モンスターが現れた。
「…これは、とんでもないのに出くわしたか?」
オレとモンスターが対面したのを見計らったように雲の切れ間から月の光が辺りを明るく照らす。
「……おう、これはすごいな」
その二匹のモンスターは全身は赤く筋肉の塊のような体、鋭く生えた牙、獲物を狩るときに切り刻むために生えた鋭い爪、さらに赤く獲物を睨みつける力強い目をしたモンスター、いや鬼のような奴らが目の前で興奮してオレの前で怒りを露わにしている。
「……レベル測定」
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名前:レッド・フェローチェ・オーガ
名称:赤い獰猛なオーガ Lv.50
魔力:10000
攻撃力:3000
防御力:1000
俊敏力:500
知力:10
耐性属性:炎
HP:5000
スキル:格闘・跳躍・炎攻撃
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「おお、知力はからっきしだが、炎か。オレも一応炎に耐性はあるほうだが威力はどっちが上だろうな!」
オレはそう言うと同時に右手のアーマーのから火炎放射で攻撃する。それに対してオーガは口から炎を吐き出す。
両者の炎攻撃がぶつかり合い暗闇の森が一気に炎で燃え広がる。
轟轟と燃える炎の中、両者の赤眼が鋭く光る。
ウガァァァァァァアアアアアア!!!
レッドオーガはオレに向かって威嚇してくるが、オレは怯むことなく真っ直ぐオーガを見据える。
不思議と怖いとかそういう気持ちはなかった。
ステータスを見る限りオーガのほうがレベルは上だ。
オレはまだレベルが35だ。勝てる要素はないと言えばない。
ただないからと言って諦めることはない。
オレはそのために武器を造り続けてきたんだ。
オレは一気に加速してオーガの距離を詰める。オーガも戦闘態勢に入る。
オーガが右方向から攻撃してくるがオレはそれを左腕で跳ねのけ右ストレートを腹に喰らわす。
オーガはその勢いで数百メートルくらい森の中をくの字で吹っ飛んでいった。
それを見たもう一匹のオーガが怒り出し襲いかかってくるもそれを交わし、頭上から拳の一撃を喰らわし、そして回し蹴りで吹っ飛ばす。
もう一匹も森の中を転がりながら吹っ飛んでいく。
オレはその後を火炎増強で浮遊して追う、その最中に別の武器に変更する。
「武装変更、雷武装!」
オレのアーマー全体に雷が ビリッと音を立てて現れる。
オーガは二匹とも一緒な場所に立っていた。
運がいいのか悪いのか、だが一匹残らず始末できる。
オレは右手のアーマーに電気を蓄え始める。
オーガは相変わらず威嚇を続けてくる。
そして吠えながら単調的な攻撃を仕掛けてくる。まあ、知力がないから無理もないか。
少しは学んだらどうなんだ。
オレはそれを避けてオーガの腹に一撃を与えて続けて体内に電気ショックを与える。
するとオーガの体に電流が流れ込み身体が雷の影響で発光し始める。オーガはとても苦しみもがく。
そりゃそうさ、ジャイアントコングを倒した電気ショックだからかなり威力はある。
森の中も暗闇だからこの雷攻撃はかなり光が眩しく感じる。
しばらくすると一匹のオーガはバタっと前に倒れた。
それを見たもう一匹のオーガは怖気づいたのか逃げ出していく。
オレはやすやすと逃すほど優しくはない。
ユウナさんの魔力に引き寄せられたのかはわからないが、オレがいるときに来たのが運の尽きだ。
オレは逃げるもう一匹も背後から迫っていき背中に一撃を与え、続いて電気ショックを与える。
そして同じように苦しみもがきながら、しばらくして倒れた。
「…HP確認しよう」
オーガのHPはゼロ、魔力もゼロだ。
よかった、倒せて……。
こうして夜のオーガとの戦闘は終わった。
炎耐性があるときはどうなるかと思ったが、こっちは雷が使えるからな。
森、結構破壊してしまったな。
属性耐性、増やしておかないとこれからの戦いは苦戦が強いられるか…。




