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指名手配?

  ———オレは耳を疑った。


女騎士ははっきりと指名手配と言った。


オレは混乱していた。

なぜ指名手配されたんだ!


…意味がわからん!なぜ!WHY!

…いやいや、助けたんだぞ!村を救ったんだぞ!

どう考えてもおかしいだろ!


オレは心の中で反論していたが、面倒ごとになると思い黙っていた。


「へぇ、そうなんですかぁ……、まあ頑張ってください」


「待て!」


オレがそう言って扉を閉めよとすると女騎士が扉を止める。


…うわぁ、なんかすごい睨んでくるんですけどぉ……。


オレは嫌な感じがした。

だが女騎士はなぜかモジモジしながら迷った顔をしている。


…なんだ、この感じは?

そう思ってると女騎士は口を開いた。


「……その、装備を直せる、のか?」


「…………はい、直せますが」


「それでは、お願いしても構わないか?」


オレはてっきりゴールドアーマーのことかと思ったが単なる修理依頼だった。



  ——地下作業場にて——


オレは女騎士を作業場に連れて行った。

もちろん武器や装備を隠したあとでハルさんにはコーヒーを入れてもらったあと作業場から離れてもらうことにした。


なぜならハルさんは正直すぎる部分があるからうっかり口を滑らせかねない。


「しかし、すごいな。こんなところに作業場があるとは」


女騎士はオレの作業場をキョロキョロと見渡していた。


やはり初めて入ったひとはそんなに驚くんだな…。


…オレからすると普通のことだけどなぁ。


「そんなに珍しいですか?」


「ああ、とても素晴らしい。こんなのは見たことない!」


女騎士はとても感激した様子で言ってくれる。


「そうですか。ありがとうございます!」


「そう言えば名前を名乗ってなかったな…」


女騎士はそう言って立ち上がり、姿勢を正し、左胸に手を当てた。


「私はイルビア王国騎士団の騎士団長、マリアと申す。よろしく頼む」


なんとも騎士らしい挨拶だと心から尊敬する。


「オレはトビと申します。一応、装備の修理を仕事としてやっています。こちらこそよろしくお願いします」


オレが名前を言って手を出すとマリアも手を出してきてお互いに握手を交わした。


「それにしてもすごいですね、こんなにボロボロになるなんて、どんな戦いをしてきたんですか?」


オレが鎧を見ながら聞くと、マリアは少し恥ずかしそうにしながら答えた。


「実は、それはほとんど汚れ、なんだ」


「はい?」


「いや、その私は騎士団長の身でありながら装備を整理するのが苦手でな、それは転んだときについた汚れとか、ご飯の汚れがついたりして……」


マリアはそこまで言って顔を赤く染める。


…なるほど、結構この女ズボラだな。


「そうですか、まあ安心してください。すぐに直りますから」


「すまない、本当にすまない……」


マリアさんは相当恥ずかしかったのかシュンとした表情をする。


…しかしなんでゴールドアーマーが指名手配されてんだ…?…ちょっと聞いてみるか。


「そう言えば、なんで指名手配されてるんですか?」


「…ん?…ああ、黄金の鎧のことか。実は私が陛下にそれを報告したら、陛下が危険な者と言い出してな、指名手配かけることになってしまったんだ……、そんなつもりはなかったんだが、王の命令は絶対だからな…」


…なるほど、あんたのせいか!


オレは心の中でマリアさんを一生恨むことを決意した。


だがこれでなおさら出られなくなったな…。

さて、どうしたもんか……。

オレは途方に暮れた。


「はい、直りましたよ」


オレが装備を直し終わってマリアさんに見せると子どものように目をキラキラさせていた。


「おお、トビ殿!素晴らしいではないか!」


…そう思ってるなら、指名手配を取り下げるように言ってくれ!


オレは笑顔でマリアさんを見ながら思った。


「それでは、トビ殿!直してくれて助かった!礼を言う」


「いいえ、喜んでもらえたなら何よりです」


マリアさんは清々しい表情をしていた。


「では、これで失礼する!」


マリアさんは頭を下げて村の方へ歩いて行った。



「ふう、なんだろ、この疲労感は…」


オレは妙な疲れが出ていた。

それはわかってる。


指名手配の件をどうするかだ。


まあ、解決方法はある。女騎士が魔物か何かに襲われたときに助けるという手段はあるが、それまで待っているのは疲れる。


では、マリアさんは王国騎士の人だから結局王都に行かなければならなくなる。


ああ、考えると余計に面倒くさくなってくる。


オレはため息をついて地下へと戻る。


「ねぇ、これからどうすんの?」


地下に下りると、どこにいたのかわからない女神が何かをポリポリ食べながら出てきた。


…今までどこにいたんだ?


「どうするもこうするも、なぁ……、てか何食ってんだ?」


「ん?クッキー……」


「クッキー?なんで?」


オレがなんでそんなものがあるんだという顔をしているとハルさんが来た。


「ボクが焼いたんだよ…」


ハルさんはニコニコしながらクッキーがのった皿を持ってきた。


「……トビくんも食べる?」


「ぜひいただきます!」


オレは即答だった。ハルさんが作った手料理は是非とも食べてみたいと思ってた。


オレはクッキーを一つ取って食べる。

すると口の中で甘さと香りが広がっていく。


「……甘いですね」


「ほんと!?よかった!」


ハルさんは嬉しそうに俯いて照れ臭そうにしている。

オレはますますハルさんの魅力にハマっていた。


ピピッ、ピピッ!


するとその甘い空間をぶち壊すかのように電子音が鳴り響いた。


「何この音?」


女神が不思議そうにキョロキョロ辺りを見回す。


「ああ、オレのだ……」


その音の正体はオレのギルドカードにメッセージが受信した音だった。


「へぇ、便利なもん造ってんだね〜」


「まあな……」


オレはギルドカードを開いてみると、ギルドの受付のアイシャさんからだった。


「アイシャさんだ、一体何の用だ?」


メッセージにはこう書かれていた。


『ヤッホー!トビくん、元気にしてる!

私は元気だよー!実はトビくんに頼みたいことがあるのー!今すぐギルドに来てねー!


待ってるよー!』


それは仕事中に書いたものとは思えないような軽快でフレンドリーな文面だった。


「やけにテンション高ぇな……」


こういう風にテンション高いとなぜか嫌な感じがするのはオレだけなのだろうか?

 


  —冒険者ギルドにて—


オレはアイシャさんにとある依頼を申し込まれた。


「魔物調査ですか?」


「そう、引き受けてくれる?」


内心面倒くさッと思ったが、アイシャさんを見ると、笑顔で圧をかけてくる。


「……そうですね、むり……」


「……引き受けくれるよね?」


その笑顔はもはや脅しに近い笑顔だった。

だがオレにはとある問題がある。


王都からゴールドアーマーが指名手配されてるため、あまり外出するのは危険だ。

かと言って、オレは魔法が使えるわけではないので武器を持ってたとしてもほぼ役立たずだ。


となると、調査をするには………。


……夜しかない。


「わかりました、やりますよ……」


「ありがとね〜、引き受けてくれる冒険者がいなくて……」


オレはその言葉にふと疑問に思う。

ギルド内をチラッと見るが、こんなにたくさんの冒険者がいるのになぜ引き受ける人が少ないのか…。


このひとは一体オレをどうしたいのだろうか。


まあ、そんなことはさておきオレは魔物調査を引き受けることにした。

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