その短剣の背中
何度も何度も当てようとするが、その剣は当たることは無い。獣はナタネたちが相手にしていた。
「君、結構つまらいなぁ。そんなんじゃ、俺は倒せない」
ペルロの剣をエルドは避け続ける。エルドはペルロの剣を思いっきり自分の短剣で弾いた。剣は飛んでいき、その隙をつかれ、ペルロのわき腹にエルドの短剣が刺さる。
「ぐ…あっ…」
「ほら弱い」
ペルロはわき腹を抑え悶える。
「これじゃあ術使うほどでもなさそうだね」
エルドは王国の方向へ体を向けるが、足に違和感を感じ振り返る。
「……なんだ?まだ戦う気か?」
「…まてよ。まだ誰も負けたなんて言ってねぇ…」
「そうかい」
エルドはペルロを強く蹴り上げる。
「ぐあっ…!!」
「…動ける?そのまま落下して死ぬと思うけど」
ペルロは短剣を腹から引き抜き、エルドに刃先を向ける。エルドも驚き、その場に固まってしまった。が、寸前のところで避ける。ペルロは弾かれた短剣場所へ身を投げた。
「…これはすげぇな。今のはちょっと痺れたねェ」
ペルロは震える手で自身の短剣を持つ。震える手に握られた短剣には血が滴る。
「動けるのか。ちょっとあそびがいがあるかもなぁ」
エルドは術を使う手遊びをする。
「…一ノ二ノ三ノ四ノ死。俺の理に反逆する者。この世に不要」
エルドの周りには結界が張られ、赤い空が顔を見せる。
「…俺の下す死の命令。ここに今顕現する」
空には無数の札が出てくる。札はエルドの合図に合わせ、火の矢がペルロに向かって降ってくる。ペルロはギリギリの体制で避ける。
「もがけ、もがけ、もがけ!!それでこそ醜い人間だ!」
「(くそ…攻撃が早すぎる…!)」
「逃げてばかりじゃ、俺には勝てない」
ペルロは短剣に炎を灯して矢を弾く。だが火と火ではぶつかり合い、エルドに近づくことすらできない。
「(どうする…ここで終わるのか…?俺の人生はここで終わるのか…?)」
”ペルロ君。ペルロ君。この剣は安心感だよ。安心してゆっくりと剣を振りなさい。そしたらきっと君を導いてくれる”
思い出すリークの言葉がペルロを安心させる。
「(この剣は…安心感…)」
ペルロはゆっくりと剣を振ると、その剣は膨大な炎を出し、火の矢をもろとも燃やし尽くした。
「何?!なんだその剣は?!……まさか…倫道の力だというのか…?!」
ペルロは短剣を握って、エルドに向かっていく。ペルロの短剣はエルドの左腕を切り落とし、燃やした。
「……なるほど。倫道から学びを得て、それを活かしたか。……素晴らしい一手だった。だが、片手を無くしたところで、俺は折れることは無い」
エルドの眼は真っすぐとペルロに向けられていた。




