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リークと女の子

翌日、ナタネは目を覚まそうと廊下を歩く。

「昨日は振られちゃったねぇ」

その声は柱の陰から聞こえた。

「おや寝起きかい?」

「……」

「何も喋ってくれないのは悲しいなぁ」

「…やべ幻影?」

「小生幻じゃないよ。…朝日が昇ったばかっかりだなぁ。あ、そうだ小生の日課を少し手伝っておくれよ。庭で待ってるからさ」

ナタネは顔を洗い、歯磨きをして、リークのいる庭に足を踏み入れた。リークは紫、青の花に水を浴びせていた。

「来たね。いやぁ。この花たちあっちも続いているから。はいこれ」

リークから如雨露が渡される。

「あっちの花に水をやったら戻ってきてほしいよ。ちなみにその如雨露は無限に水が出るから、汲まなくてもいいよ」

「…おう」

ナタネは如雨露を持って、遠くの花に水を浴びせに行く。一通り水を浴びせた後、ナタネは縁側に座っているリークの元へ歩いていく。

「なんで先に座ってんだ」

「小生は水やり終わってたからねぇ」

「ほらよ、如雨露」

「ありがとう。そこにかけておいて大丈夫だよ」

指を指したところに如雨露が2つ並んでいた。ナタネは如雨露を置いてリークの隣に座った。

「助かったよ。小生一人だといつも大変でね。」

「…毎日一人でやってんのか」

「そうだよ。でも花を愛でるのは小生の楽しみでもあるんだよ。」

「…だからこそできることなのかもな」

「たしかにねぇ。…今日はいつにもまして、花が綺麗に見えるよ。ナタネ君のおかげだ。」

「倫道ってやつは花も愛でるんだな。」

「それはどういう意味だい?」

「倫道ってやつは戦闘狂い野郎の集まりだと思ってたんだよ」

「それは、あながち間違ってはいないかも。でも普段はそこまで戦闘が好きってわけじゃない。」

「普段は?普段じゃねぇ時もあるってことか」

リークは目を俯かせる。

「……あるよ。倫道だって普段から本気で戦ったりはしない。小生たちが劣ると気づいたら本気を出して戦うんだよ」

「なら昨日は手合わせ程度だったから本気は出さなかったということか」

「そういうこと。…一度だけ、小生がまだ倫道ではなかったときに本気を出した相手がいたよ」

「…倫道じゃなかった時?」

「あぁ。倫道っていうのは、人から認められて、誰よりも強い者がなる。だが強さといっても色々ある。例えば知恵。忍耐力。行動力。素早い反射神経。他にもあるが、そのすべてがずば抜けている者を指すんだ。」

「ただェんじゃダメなんだな」

「そうだよ。でもナタネ君たちはもしかしたら倫道になれるかもしれないね。小生たちを倒したんだから」

リークはナタネの頭をなでる。

「おっさん意外と手がでかいんだな」

「おっさんかぁ。小生もっと若いけどね」

「何歳?」

「少なくともナタネ君よりは上だね」

「おっさんじゃんね?」

「上って言ったらおっさんっていうのはやめなさい。」

小生は頭から手を降ろす。

「…ナタネ君は、拾ったあの子によく似ている」

「あの子?」

「小さい女の子。今だったら、ナタネ君と年が近い子になっていたかもねぇ」


おなごは突然、両替商売をしていたリークの元に現れた。

「いらっしゃい、お嬢さん」

おなごは金貨を一枚渡した。

「一枚かい?銀貨10枚分だけどいいかな?」

おなごは首を縦に振る。リークは銀貨10枚を握らせる。おなごは一礼して帰っていった。それから毎日のようにおなごは金貨1枚だけを持って、両替に来ていた。だが、その足はパタッと無くなってしまった。おなごは両替に来なくなってしまった。それから数週間した雨の日。おなごは傘もささず、また金貨一枚を渡した。リークは自分の笠帽子をおなごにかぶせた。

「しばらく来なかったね。何かあったのかい?今回も銀貨10枚分ね」

おなごは笠帽子の端を掴んでつぶやいた。

「たすけて。たすけてほしいの。お父さんを、助けてほしいの。」

「…お父さん?」

「そう!お父さん!」

おなごは叫んだ。同時に笠帽子が地面へ落ちた。

「…お父さん、連れていかれちゃったの…知らないおじちゃんたちに、お金って言われて連れていかれちゃったの!」

「…それは小生が口出しできる問題なのかな」

「わたし、ここしかもう頼めないの…。みんな私たちを見捨てて、声もかけてくれないの。だからお願い!助けてほしいの!」

「…両替してたお金はどうしたんだい?」

「…全部持っていかれちゃった…。金貨1枚で銀貨10枚分。だから毎日金貨を銀貨にして、量が多く見えるようにごまかしてたの!でも…そのごまかしも効かなくなって…気づいたら金貨も底をついてきて…。」

「それで今日にいたるんだねぇ。」

「そうなの!お願い!お父さんを助けて!」

「…それは小生に得はあるのかい?」

「……ある。私、あなたの部下として働きます!」

「いや、いらないかな。部下とかそういうの小生好きじゃないよ」

「え、なら!…お金!今ここにあるお金は全部あげるので!」

「お金全部貰ったら、君死んじゃうよ?」

「……」

「…必死なのはわかったよ。小生の頼み聞いてくれるなら、お願い聞くよ」

「頼みですか?!なんなりと!!」

「小生のことを口に出さないこと」

「それは…どういう意味ですか…」

「小生、商売が水泡になったらもう行くところがないんだ。ここで捨てられたらもう終わりなんだよ。全部の商売でやらかしてるからね。」

「あなたって意外と危なっかしいんですね」

「で、頼みは聞いてくれるの?」

「聞きます!お父さんのため!」

「小生その愛に感動だなぁ。」

そこからは早かった。おなごの父を探すため、同士や、村人をあたって、場所を突き止めた。

「ごめんくださーい」

扉を蹴って開けると、そこには血だらけで転がる父と、おなごの言っていたおじちゃんたちが5人。

「なんじゃあ?誰かこの場所言ったんかぁ?!」

「言ってねぇよ!」

「小生はそちらのお父さんにお話がありまして。ちょっとお話させていただいても?」

「あぁ?死人が喋れるわけねェだろうが」

「え…嘘…お父さん…いやぁぁぁ!!」

「おい!おなごとその男を処分しろ!」

おじちゃん4人がリークを囲み、刀を振る。だがリークは囲いの外で、一人のおじちゃんの肩を握って、骨を砕いた。おじちゃんは震える手で肩を抑えた。

「小生の仕事は両替だけじゃないよ。小生は昔、刺客の仕事もしていてね。稼ぐためならどんな手段でも使うのさ」

肩を抑えたおじちゃんをリークは蹴り上げた。おじちゃんはぺしゃっという音を立てて泡を吹いていた。3人のおじちゃんがガタガタ震えだして、怯えながらも剣を振るったが、腰、頭、足。すべてを蹴られ、殴られ、握られ、動かなくなった。一人残った男はおなごに向かってナイフを投げるも、リークの手に止められ、ナイフを投げ返す。見事に頭を貫通し、男はその場に倒れこんだ。おなごはしりもちをつきながらも、転びそうになりながらお父さんに近づいていく。

「なんで…なんで…お父さん…」

お父さんを見て泣いているおなごを残し、リークはその場を後にした。

後日、そのおなごはまた金貨1枚を渡しに来た。

「まだ銀貨が必要なのかい?」

「これはお礼。ありがとう。お父さんは助からなかったけど、あなたがおじちゃんたちにしたことは感謝してる」

「そうかい。」

「だからね。これ、金貨1枚。貰ってほしいの。本当はもっとお礼がしたいけど、おじちゃんたちが持ってたのこれしかなかったから」

その金貨1枚をリークは受け取った。おなごはにっこりと笑った。

「じゃあね。ありがとう」


それからおなごの顔は後に張り紙で再び見ることになった。

「亡くなったんですって」

「あの子ひとりだったんでしょ?」

「まさか殺されるなんてねぇ」

リークは裏を知っている奴から話を聞いた。

「連絡が途切れた班の様子を見に来た上の奴らが、そこにいた父親から情報を探って、おなごを殺した。」

「…小生ちょっと両替の仕事辞めて戻っちゃうかも」

「刺客の仕事するの?また手汚す感じなの?」

「そんな感じだよ。小生、そのおなごにはちょっと思い入れがあるんだ」

「へぇ。リークに情なんてあったんだね。」

「それは心外だよ。滋雨ジウ君。」

「僕は思い入れないから関わらないでおくよ。」

リークはおなごを殺した親もとへ急いだ。親もとに着き、一人の男があらわれる。

「ぼっちゃん。悪いことは言わねぇ。さっさと帰んな。」

「帰らないよ。小生はここの親に話があるんだ」

「なるほどなぁ。兄ちゃん、コイツの付き添いだった奴?」

おなごの映った写真を男は見せてきた。

「そうだよ」

「そうかい。コイツのことでちょっと揉めててよ。ボスが今暴れまわってる最中でな。」

「ならその暴れ馬に、小生が油を注いであげるよ。」

男を蹴り飛ばして、玄関を破壊した。後を聞きつけてやってきたごろつきがぞろぞろと出てくる。皆同じ動きをして攻撃を仕掛けてくる。だがごろつきたちは脆く、遅く、戦うことに向いていない者ばかりであった。

「もうおしまいなんだね。つまらないねぇ。」

リークは2階へあがると、そこには仲間を蹴り飛ばしている暴れ馬が一人。暴れ馬はこちらを見て男を投げつけてくるが、リークは避ける。

「おっと。はじめましてが投げつけなんて、教育がなってないなぁ」

「誰だテメェは。」

「…おなごの保護者に近いものだよ」

「あぁ?あのおなごのか?そうかいそうかい。いいところに来たな。丁度お前を殺しに行こうとしてたところだ。」

暴れ馬が一本の短剣を出す。短剣でリークを刺そうとするも、リークは短剣を握って奪い取り、暴れ馬のわき腹を刺した。暴れ馬は苦しそうに悶えている。

「いだい…いだい…!!テメェ…あのおなごが言ってた通りの奴だな……」

「おなごが?」

「あぁ!そうだよ!お前は薄い過保護だから、きっと私に何かあったら飛んでくるって。そう言ったんだよ」

リークはプレートアーマーが持っている槍を手にして、頭に刺して貫いた。男はもう息をしていない。

「…薄い過保護か。矛盾してるよ。」

リークはおなごからもらった金貨を懐から出して、見つめる。

「…これはお礼じゃなくて、依頼料としてもらっておくよ」

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