人について行っちゃァだめだ
「なるほど…そういうことでしたか」
ヤクザに粗方の依頼内容を話せば、ヤクザはコーヒーを一口すすった。
「おい、こんなんで大丈夫なのかよ」
「仕方あるまい、我らでは何ともできん」
コソコソと話していていれば、ヤクザはメモを手に取り、口を開く。
「うむ、この筆跡……この前来た若造にそっくりだ」
「え」
「ん?」
「いえねぇ?この前、地に這うように若者が一匹干乾びていたので、何事かと思い声をかけたんです。そしたら、「助けてとは言わんから水をくれ」って言っていたので頭から水をかけてあげました」
「それ遠回しに助けてって言ってるよね?助け船出してって言ってるようなもんだよね?」
「それから「地に這っているのは迷惑だからやめなさい」って言うと、「宿に行く金もない」と言っていて、うちで預かっている小僧がいるんです。その時名前を書いてもらって。えーっと…あぁ、コレ」
男は自分が持っていたカバンの中身を漁り、出てきた一枚の紙。そこには紛れもなく筆跡の似ている文字。払いに止め。これは間違いなくそうだと2人確信した。
「コイツだ」
「コイツ以外にいなさそうだ」
「…良ければ引き取っていただいても?……うちのとこ、面倒ごとはごめんなので」
ニコニコとナタネとルギを見つめる。
「まぁ実際のとこコイツ探してたので」
「良いぞ」
「そうですか、話が早くて助かった。ですが――これから行くとこには他言無用の場所なので、目をつぶっていただいてもよろしいですか?」
「え」
「お?」
―――小僧の依頼完了に向けて歩いてヤクザについていく道中
「……なんかヤバイもんにでも手を出しちまったのか、俺たち」
「いや、人探しを手伝う上での最低条件みたいなもんだろ」
「それにしちゃァおかしくねぇか、他言無用って…要するに秘密ってことだろ」
「行ってみるしかないだろ」
コソコソ話をしていれば人気のない小さな路地裏につく。足を進めていればショートケーキの看板が顔をのぞかせる。
「…ケーキ屋ですか?」
「表向きはそうですがね」
「……」
男は扉をノックする。
「帰った。昨日の小僧を出せ」
「……(コレ、やっぱりとんでもねェもんに手を出しちまったか?)」




