妹と李
ジータと鵺がいなくなり、部屋には李と螺がいて、窓からは赤い月が一つ浮かんでいた。
「ところでさ、李は妹のどこが好きなの?」
「ルギのこと?そうだねぇ、何事にも一途なとこぉ?」
「それなら他の女子でもいんじゃないの?」
「何言ってるのぉ。駄目なんだよ。僕はルギじゃないと愛せない。ルギの一途ってすごいんだよ?とんでもなく強いんだ。だから許せなかったこともあったね」
「許せないこと?」
「うん。…お兄ちゃん大好きって言ってくれたのに、ねぇ。いつの間にか外の世界にあこがれるルギを見て、外の世界にヤキモチ妬いちゃった。」
李の目はずっと黒い笑みを浮かべていた。
「…文脈からすれば、閉じ込めてたってこと?」
「そういうコト!ずっと二人っきりで良い。そう思っていたのは僕だけだったみたいで悲しかったよ。だから外の世界なんて忘れるくらいにルギを愛そうと思ったんだ。でもそれは失敗に終わったよ。ルギは…逃げちゃった」
「……」
「…たったひとつ。誕生日にもらったキセルを大事に持って…。」
李はキセルを赤い月にかざす。
「お揃いなんだよね。これ。同じものを持つって相思相愛の印でしょ?…ルギが持つなら僕も同じものを持ちたい。そう言って僕は強請ったんだ。そしたら、次の誕生日に同じものをもらった。ルギはその時確かに言ってくれたんだよ。お兄ちゃん、お揃いでうれしいって。」
「随分な執着だね」
「執着ぅ?馬鹿なこと言わないでよ。僕の愛情には執着なんて言葉は存在しないよ」
「ふーん。俺には李が持ってるような愛情はないや。」
「…兄弟、殺しちゃったんだもんね。大事なたった一人の弟さんだったんでしょ?」
「……弟じゃないよ。血がつながってないんだ。弟なわけないだろ?」
「………血がつながってなければ弟じゃないんだ。随分とノウキンなんだね」
螺は李のいる壁横に蹴りで穴をあけた。
「…ケンカうってる?」
「まさか!螺には簡単にケンカなんてうらないよ。螺はものすごく怖いからね」
「…妹の話するアンタの方がよっぽど怖いよ」
「残念ながらそれは誉め言葉としてもらおうかな。怯えているルギの方が一番かわいいからね」
「…やっぱりアンタ怖いや」




