模様の剣
その日、村の外側から入ってきたのは一人の旅人だった。旅人は自らを賢者と名乗った。人々は有能な賢者様を讃えた。その証にこの郷の模様が入った短剣を渡した。長く生きられない種族を思い、薬を作ってそれを伝授した。次第に賢者様の体は郷の環境に慣れ、体は種族に近い状態になった。
「…これが5年永らえる薬だ!」
賢者は薬を作ってそう叫んだ。できた薬は試験的に動物に与えていた。動物は変貌を遂げて村の外へ野生化して飛び回る。薬はできては失敗作にあたっていた。
「なぜだ!なぜ上手くいかない!私の薬が!私の薬はこの世界を変えるのだぞ!なぜだ!」
「賢者様。それは薬としては機能できませんよ」
「私を侮辱するのか!マロ!」
「いえそういうわけでは」
「もういい!出ていけ!」
「わかりました。では最後に一つだけ。あなたの薬はきっと、一生、成功なんてしませんよ」
それから一週間たった。人に効果を見せない薬を作り続けた賢者様は郷の人々に言った。
「マロ!お前が被験者だ!次の薬は特別なものだ!なにせ7年も寿命を延ばすんだ!これ以上の薬はなかなかないぞ!」
マロは苦い笑いをこぼしながら賢者様の後をついて行く。賢者様に反逆する者たちはマロを止めたが、マロは首を横に振って、賢者様の部屋に入った。
「どうだ!マロ!これが私の最高傑作だ!」
透明な瓶がマロの前に置かれる。
「これが…7年寿命が延びる薬ですか…」
「あぁ!そうだ!飲んでみたまえ!私は今回の研究に目の狂いはないとみたぞ!」
「……これは、飲めません」
「なぜだ!なぜ飲めない!」
「賢者様の最高傑作を私が飲んでもよろしいとは思えません。それはそれ相応の方が飲むべきだと思います」
「まぁ飲め!お前はこれが飲めないとでもいうのか!」
「わ、わかりました!飲みます!」
マロは薬を飲む。特に発作症状なく薬を飲み干した。
「どうだ!今回はきっと成功だ!」
「そうかも…しれませんね」
その夜、マロはひどいめまいに襲われた。歩けないほどのめまいに気持ち悪さが乗っかる。呻きに気づいたマロの友人たちは心配してマロを看病した。その朝だった。賢者様が殺されたことを伝えられた。それはマロの友人たちによるものだった。
友1)「マロ、俺、殺しちゃったよ。俺、賢者様を殺しちゃったんだ」
友2)「俺も加担したんだ!お前だけじゃないよ!」
友3)「マロ、ごめんな、マロ」
その時、友人たちに渡された短剣。それは賢者様が持っていた短剣だった。
「お前が長に慣なれ!」
マロ)「え?」
「お前が長になればこの郷は平和に暮らせる!」
「頼むマロ!」
その無理強いが叶った。短剣はマロの手に渡り、マロは長となって郷を守ってきた。だがマロは苦しんだ。賢者様は確かに嫌いだったが、卑怯なやり方で長となった自分に納得がいかなかった。




