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作戦

茂みから見える光景は良いもとは言えなかった。秋のはずだった空は見たことのない三日月の太陽が浮いている。

ルギ)「王国がぼんやりと見えるな」

揺らめいて見えるのは結界が張られている証拠である。だが王国の周囲にいるのは獣たち。獣はナタネたちよりも大きく、その鋭く尖った目は殺気に満ち溢れている。

ナタネ)「どうすんだ。相手にしてたら体力ねぇぞ」

シャル)「では、先頭を切って私が行きましょうか。大きいだけで威力は少ないかもしれません」

ペルロ)「あの目を見てそう言えるのはお前だけだよ」

シャルは見えない速さで獣に近づき、上から踵落としを食らわせた。獣は塵になって消えていく。

「これは…掃除にしては随分と大きいゴミですね」

シャルは一掃するとナタネたちを手招く。王国の門が開けばそこには無数の獣。そこで一匹。威厳を放つ白い獣。獣はナタネたちに襲い掛かろうとする。その時、上から声が聞こえた。

エルド)「待て!」

獣は動きを止める。一人の軍事がナタネたちを見下ろす。

エルド)「なるほど。獣の悲鳴が上がり来てみれば、こんな小さい客人が来るとは思わなかったなぁ」

ナタネ)「……人っ子一人いねぇな」

「人なんてもんはお前らの後ろに転がってるだろ。それが人だよ。それとも、お前たちにとっての人っつーもんは、醜くて卑劣な方のやつか?」

「……そうだなぁ、少なくとも金ばかり強請るやつのことを言うのさ。俺たちみたいなやつをな」

「へぇ、そうかい。なら一つ答えてくれよ。俺たちは人間に見えるか?」

「見えねぇな。人を獣にして、強ェ(つえ)国を作っていってる時点で、お前らは人間やめてんだよ」

「本当の人間と以前人間だったもの。…面白いねぇ。実に。ならば」

エルドは真っすぐにナタネを指す。

「どちらが強いか見せてくれよ。お前たちが強かったら、至高の茶を用意してやる」

「ワリィな、気味のわりィ奴からの茶は受け付けねぇんだ」

「行け!」

獣たちはナタネたちを襲う。魔法と武力で獣たちをなぎ倒していくも、数は一向に増えるばかり。

ペルロ)「キリがないぞ!」

シャル)「これは城に着く前に力が尽きるかもしれないですね」

ルギは古風な瓶が並んでいる場所を見つけた。近くにいるナタネに腹から叫ぶ。

ルギ)「そこをどけ!」

ナタネは素早く避けると、獣の群れが横を過ぎていく。投げ込まれた後に器追われる音が響く。

「……大量に投げてもこれか………」

「おや、いいものがありますよ」

シャルが持っていたのは獣との戦闘で壊れた家のランタン。

ルギ)「だが普通の火じゃ効かなかったぞ」

「では、これならどうでしょう?」

シャルはランタンを空に投げる。ランタンのガラスが太陽に反射して青い炎で燃え始める。シャルは燃えたランタンを獣たちに向かって蹴った。獣たちは黒い塵になっていく。

「…なぜ青い火が…」

「太陽ですよ。秋だったはずの太陽が、まるで見たことのない太陽になった。これは人工的な太陽というわけです。ならば普通の太陽では起こりえないことも起こるというもの。青い炎になったのはランタンの割れたガラスが青かったから。ただそれだけですよ」

ナタネ)「まぁよくわかんねぇがこれで大部削れたってもんだ」

ペルロ)「だが建物が燃えないのは、防火剤でも塗っているのか」

ルギ)「なにかしらの対策は取っているのだろう。このまま突っ走るぞ。この数の軍勢ならわしたちでなんとかできそうだからな」

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