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労わったり敬ったりは難しい

朝。何事なく迎えた日に目をこする。冷たいジメジメした床が目の前に映し出される。

「あぁ…さみィな……………あァ?」

重たい体を起きあげれば、そこにいるのは、よだれを垂らして寝るルギの姿だった。

「くそやられた」

こうなったのは昨日の晩に遡る。


――ナタネがベッドに突っ伏していると、ルギがナタネのわき腹に足を乗せてきた。

「ぐえ」

「おいそこをドけ。我が寝るのだ。ちったぁじいやを敬え」

「だったらちったぁワケェ社会人を労わるべきだ。知ってっか?無駄に長く生きてるじじいよりも今の若者のほうが体力がねェんだ。それぐらい分かれ。」

「なんじゃと?これだからすぐに仕事をほっぽりだす奴は嫌いじゃ、まぁいい、ほら退かぬか。見た目はお前よりも若いんじゃぞ」

「中身はロリコンだろ」

「誰がロリコンじゃ!!」

こんな言い争いを永遠としていれば、すぐに日は昇ってしまう。

「(早く折れろ)」

「(こやつ、まだ粘る気か)」

双方譲らずの戦いが勃発しようとしたとき、それは突然終わりを迎える。ルギは少し離れて一本の杖を背中から出す。ナタネに杖をビシッと向けた。ナタネは素早く体を起こした。

「な、なんだ」

「フリーズ」

「あ?ちょ、ちょっとまて!!」

身体のつま足からみるみる固められていく感覚が伝わってくる。それの感覚は首で見事に止まった。

「なんだコレ…動かないんだけど、俺動かないんですけど?!」

「明日の朝までそのままじゃ。さっさとそこで寝ろ。首が動くだけでもありがたいと思うがいい」

「このこじらせじじい…」

ルギはナタネを杖で引っ張り上げると無造作に床に叩きつけた。

「オイ!雑なことすンな!こちとら主人公なんだぞ!てーちょーに扱えねェのかじじい」

「主人公?何を言っている。夜といえば女の子だろう」

「テメェの頭はもっさりピンクかこの野郎!」

ルギは布団をかぶり、夢の世界にすぐにでも飛び込んで行きそうになるが、それは床に突っ伏すナタネの声で遮られる。

「まさか床で寝ろと?この寒い中。せめて布団ぐらい寄こせや!」

ナタネは首を動かし、歯で掛け布団を引っ張るもじじいの杖でまた床に投げ飛ばされてしまった。ルギはナタネの目の前にしゃがむ。

「…なんじゃ、布団が欲しいのか、ほれ」

ルギが杖を振ると、目の前に現れたのは掛け布団とは程遠いであろうぺらっぺらの大きい布。そこには小さいながらも茶色い染みがついていた。ルギは再びベッドに潜る。

「おいテメェこれ、野糞クソの時使っただろ、絶対ぜってぇそうだろ」

「ないよりましだと思え」

「誰が使うかこんなモン!」

ナタネは布を隅においやり、冷たい床で眠りにつこうと努力する。意識は徐々に薄くなっていき、気づけば朝を向かていた。

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