作物
「んで、お前さん、旅して空見て国見て。それだけで満足なわけ?」
ナタネ一行は秋の作物が床に散らばる小道で休憩をとっていた。
「満足というならば満足ですが、この気持ちは少しそれとは違うような気がします」
シャルは優しい目で空を見上げた。
「真面目な話のとこ悪いが、お前いつ髪を染めるんじゃ」
ルギはホワイトブロンドのさらさら髪を指さす。
ペルロ)「それ俺も思ってた」
「え、てっきり地毛かと思ってました」
「あーたしかに。でも本当の地毛は黒なんだよなぁ」
ナタネは自分の前髪を指に絡ませて遊ぶ。
「嘘つけ。一体どこに黒い髪がある」
「ここに来る前の話だ」
ナタネは瞳を曇らせて青空を見る。
「…その日も、真っ青なくらいの青空だったさ」
ペルロ)「ナタネはどうしてここに来たんだ」
「……お前は、ここの出身って意味で話してると思うが、俺は別世界から来た。って意味で話してる。次元が違えば景色も違う。俺は、飛ばされた親友を探してる。俺がいた世界は親友によって居場所があった。だが無くなった。でも仕方ねぇって思った。自業自得のことだと。その時俺はそう思った。帰る場所もねェ、一緒にいてくれるアイツもいねェ、世の中結局、信用ばかりの人生だった。……もう終わりだ、これ以上は言えねぇよ。べらべら語るほど俺の中身は酔いつぶれちゃいねぇさ」
ナタネはルギの杖を手に持つと一回だけ横に振った。
「…もしも、俺のコトを気持ちワリィって思ったら、もう一緒にいられねぇと思ったら、構わず前見て歩けよ」
瞬間、ルギの平手打ちが頬に飛んできた。
「思うわけなかろう、考えろ、偶然でも必然でも、お前に出会たとき、わしは始めて自分のことを見つめることができた」
「そうですね、きっと思うことは無いでしょう。だって僕たち、あなたのこと思ってますから」
ペルロ)「そうだな、それだけで離れていくほど、器は狭くない」
ナタネ)「物好きに愛されたもんだな」
その日の秋の作物の味は少し焦げたいい味だったという。




