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お別れと最後

「行きなよ、僕も後で向かう」

ナタネは憂い顔でシャルを見つめたあと、壊れた窓からジャンプしてルギたちの元へ向かう。

ペルロ)「…どうなった」

「どうもこうもあるか、これが結末なら仕方ねぇさ」

ナタネは倒れた騎士から剣を拾い上げると、数多の騎士と役人に向かって走っていった。


「まだ、いっぱい話したいことがあったよ。まだ、たくさん楽しいことがしたかったよ。

 まだ、笑いたかったよ。まだ、一緒に、明日を迎えてないよ、――お母さん」

見上げた月が泣いていた。なにもかも持っていかれたこの感覚は、嫌気がさす。


救えなかった自分に。


別の結末を、何もかも終わった後に願っている自分に。


花を自分に使ってしまった自分に。


どうしようもない感覚で。複雑に、難解に。この回答を導き出すのはきっと一人じゃできない。


このぐちゃぐちゃな僕を救って、笑ってくれた大事な人。


「今はもう、ゆっくり休んでほしいよ、僕のためにありがとう」


ペルロ)「これで……だぁクソ!多すぎる!」

ナタネたちは苦戦していた。あっちとこっちの人数の差。刹那。なにかが騎士と役人を蹴散らせた。

「…お別れ、時間かかっちゃった」

一蹴りで数十人が飛んでいく。ルギの魔法も限界に近く、ペルロも剣を振るうも痛みで体制を崩してしまう。ローズは蹴りを入れるも力は弱々しく、足は血まみれになってた。

ナタネ)「…しっかりお別れ言えたのか」

「…多分?」

ローズ)「あんな奴にお別れなんて必要ない!」

「姉さん、あるんだよ。たとえどんな人でも礼儀は大切でしょ」

花にあった「身体能力の向上」と共に、シャルの力は人間をも上回った。あっという間に片付いた騎士たちにシャルは言葉をかけた。

「また一からこの屋敷を頼むよ、僕はもう――ここにいる意味はない。姉さんのこと頼んだ」

「シャル…?!」

「僕にはもう、ここに留まる理由はない。見たいんだ。大きな青色の空を!大きな雲を!ここよりも、もっと大きな国を!だから悪い、行かせてはくれないか」

ルギ)「無理だ」

ルギはむずがゆい鼻をこすると、シャルの前に立った。

「お別れ言ってないじゃろ。礼儀、なんじゃろ?なら姉さんにはきっちり言えよ」

シャルは悲しそうに目を逸らせば、ローズの前に立った。

「ごめんね、姉さん。僕は、もっとたくさんの世界を知りたいんだ。今までありがとう」

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