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黒い悪魔

「こんにちわ、あら持ってるじゃない、花」

花を指さした母は目を輝かせる。

「それずっと欲しかったのよ~、誰も見つけられなくて!やっぱり肩書ばかりのお偉いさんより、自分の娘の方が見つけるの、はやったわね。それにしても……妙に暑わね、この部屋、どこのだれの熱かしら?」

「おいそれ以上口開くんじゃねーぞ、いらねぇ二酸化炭素が増える」

ナタネはルギに合図を送る。真っすぐに貫くような眼はルギの瞳を捕えた。

「おいババァ、俺が相手してやる、コッチに来いよ、テメェから臭うのは香水か?」

「……ババアですって………?私はそれ系の言葉は嫌いなのよ…!」

声と共にドクズから出てきたのは真っ黒い影に穴ぼこな目をしたモノ。

「今すぐ後ろから行け、ルギ、ペルロ」

「…わかった」

「頼みます」

ルギはシャルを連れて壊れた窓から下で脚力だけで無数の騎士と役人を相手に戦っていたローズの元へ着く。ペルロも後に続く。

「投げてやったのに来たのか!シャル?!」

ペルロ)「ローズ、ありゃなんだ、あの黒い悪魔は。」

「黒い悪魔」の単語でローズの足はカタカタ震えだす。

「アレは、悪魔。私たちはそうとしか呼べない、いや、そうとしか呼ぶことができない。私たちはアレの正体を知らない」


「こりゃあどういうこった、悪役の次は悪魔かよ。悪運に好かれすぎだろ」

黒い悪魔は目に見えぬ速さでナタネの方へ向かってくる。体制を崩したナタネ。間一髪で壊れた窓のガラスを持って守りをする。ガラスを持った手からは血が流れだした。

「喋れねェくせにる気は満々ってか。その思春期は後々困るぜ、別の意味の黒歴史ってもんになるかもな」

黒い悪魔はナタネをターゲットにして目を離さない。音より光より早いその動きにギリギリついていけたのは、少しだけ見せる隙だった。どこから攻めるか迷っている。その惑いは動きにはっきり出ていた。

「いいか、戸惑いっつーのは動きに現れるんだよ!」

左手に散らばったガラスを支えていた木の破片を黒い悪魔に刺すと、悪魔は悲鳴を上げる。

「――!!」

黒い悪魔は爆発した瞬間ナタネの後ろに回る。かすかに聞こえたその声。


”お前も道連れ””お前も冥界へ””助かることのない孤独へ”


黒い悪魔の脅威的な引力で後ろへ引きずられる。地へ落ちる感覚がから全体に伝わる。その時だった。ふわりと空を飛んだ優しい温度に癒される。黒い悪魔がナタネの体を覆うも、悪魔は白い純白の足によって焼けるような音を出しながら消えていく。

「お、お前…!」

ナタネが浮かんでいられた正体は、ナタネの両脇をつかんでいた無重力のシャルの姿だった。

「ありがとう、花のおかげで僕はこの通りだよ」

ナタネを引き上げればシャルは母の元へ向かう。シャルは母に触れるも、母は枯れ木のように細く醜い姿になっていた。

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