クエストの宿屋にイイことは無い
――狭い町でも人が群がる街「スーダルガニア」。そこは人と自然と魔法がうまく調和して環境を保っていた。家庭を守るためにも、商売ができるためにも、すべて魔法を覚えないことには始まらない。この世界そもそも橋が壊れていたら「魔法」で渡る。階段がなかったら「魔法」で上るなんていうのは当たり前だった。そして魔法の次に必要なのは「通貨」。この世界ではそれぞれのところで呼び名は異なるから「通貨」でいいかもしれない。
「……というのがステータスに書いてある」
ナタネは子と共に宿へ泊まっていた。ナタネはベッドに座り、「アルク」で自らの取扱説明書を見ていた。子は向かいの机の椅子に腰を掛けていた。
「いや、お前が読んでいたのは若年層のエロ本だ」
突っ込みを受けてナタネは取扱説明書とエロ本をノックしてしまった。
「お前、自分のステータスなんぞ読んで…自分ことがわからぬのか」
子の問いにナタネはため息をついて四つ切の窓から見える空を見上げた。
「あぁ、知らねェよ。異世界なんざ、始めて来たんだからな」
「お前まさか………――この年で迷子か…?!」
「どこでそーなんだよ!!いまめっちゃシリアスだったろ?!お前の一言で雰囲気ぶち壊しだわ!」
「ではあれか、異世界管理人だったのか」
「異世界管理人だったらすぐにチートしとるわ!」
子は椅子から腰を立てると、ナタネの隣に座る。
「…なんだ、オメェよ、ベッドなら貸さねぇぞ」
「いやお前が床で寝ろ」
「誰がこんなナメクジみてェなとこで寝んだよ、ふざけんじゃねーぞ」
「ふざけてるのはお前だ」
子は頬杖をつき、キセルを出した。
「クサ?!この野郎、俺はたばこの煙が嫌いなんだよ、吸うなら窓から出ていけ」
「誰が出ていくか、もう夜になってきたのだ、静かにせぬと怒られるぞ」
子は一息吹くと口を開いた。
「名前、聞いてなかったな。お前とは長くなりそうじゃ。」
「テメェのことはもう知ってる」
「?!」
子は驚いた顔をしてナタネを見るも、ナタネは真っすぐドアを見つめた。
「じじいッ娘」
途端に聞こえる壁が破壊された音。ナタネは壁から抜け出すと子を見つめた。
「おいこら!背負い投げはねェだろ?!ふざけんなよ!壁に穴開いちまったよ!まだ寒いっていうのに!どうしてくれんだこれェ!」
子はドアに向かって歩いていく。
「ルギじゃ」
「あ?」
ルギはドアの取っ手に手をかけて止まる。
「我の名じゃ。覚えておけよ」
ルギは顔だけ少し振り返り、ナタネを見た。ナタネはルギに指をさす。
「ルギだかじじいだか知らねェが、宿代テメェが出せよ?!」
「あぁ、お前の名前は伝票に書いてあったからもう覚えたわ、飲み物でも貰ってくるとしよう」
ルギはドアを開けて廊下へ出た。
「オメェ話そらしても無駄だかんな?!」
ルギ
金髪よりのハーフツインテールの髪の毛
淡い緑瞳。




