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ローズとドクズと

「あぁ?なんだって?ロース?」

「誰が豚よ!」

ナタネがローズから叩かれる。ペルロはローズの隣に座った。

「で、ローズちゃんはどうしたの?」

ローズは固く口を閉ざす、言いたいようで言葉にするのは難しい。そんな表情をしていた。

「ペルロ、あんまり無理強いするもんじゃねェぞ?女子っつーのはな、意外とガラスなんだよ、どっかのロリコンじじいは違うけどな」

「それは誰のことを言っとるんじゃろうな、場合によっちゃぁここで息の根止めてもええんじゃぞ?」

「ゴツゴツしてるじじいは嫌われるぞ」

「ゴツゴツさせたのはお前じゃ」

ナタネとルギのケンカが始まる。ペルロはため息をついてローズを見た。ローズはルギのポケットを指さす。指を指した先のソレは瑠璃色の花だった。

「…あの花がどうしたの?」

「…………あれ…、私が作った花なの」

「……育てた花ってこと?」

「違う」

否定した言葉は重く、まるで突き落とされたような感覚だった。

「……あれは、弟を助けるための花なの」

ナタネ)「…つまりなんだ、その花を弟に届けるほか、理由があるのか」

「……ある…」

ローズは重く深呼吸をした。


「これよ、これ!これを作りなさい!」

我儘なローズの母が本を見て指を指したのは一本の花の絵だった。瑠璃色の花が1面のページを飾る。その花は「若さ回復」「病気なし」「身体能力の向上」などの効果を持っていた。だがその花は疾うの昔に散っていた。父もなくなり、堕落に走った母を止めれる者は誰もおらず、それが故「若さ」を求める母がローズの目には映っていた。

「シャル!」

黒く変色した壁の一室に無造作に置かれたベッドで横たわるのはローズの弟、シャルだった。

「今、取り替えてあげるから!」

シャルの額に新しいタオルを置く。高熱病。それだけでも恐ろしいのに更についてくるのは楽して息を引き取ることができないところだった。37から39度をウロウロとさまよい続けるこの病気がシャルの体と心をズタズタに引き裂いていく。ローズが、ローズだけが、弟を見ていた。高熱病になってからは誰もシャルに近づかなくなった。それは母に近寄ることができなくなるためだった。使用人も騎士も。母さえも。誰も近づこうとはしなかった。

「ありがとう、姉さん」

その言葉だけでいい。今は、ゆっくりと目を閉じて。あなたは横にいるだけでいい。

「また来るから!絶対に起きちゃだめよ!」

「わかってるよ、姉さん」

部屋を出れば、明るい日差しが廊下を照らし出す。階段を上れば、母が丁度部屋を出るころだった。

「あらら、どこへ行っていたの?…あなたしかいないのよ、この私にそっくりな完璧な顔は」

母はローズの頬に手を滑らせる。

「小汚いガキはいつ息を引き取るのかしら。生まれてしまったものを拾ってあげた私の心も大きいものよね?ローズ」

母は王笏おうしゃくを持って歩いていく。ローズは歯を食いしばってこぶしを握る。

「ドクズが」


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