あくたれ
「…頭…あの」
「…なんだ」
頭といわれる男は破けた布から灰色の空を見つめる。
「……ペルロが帰ってきました、ですが…そいつが連れてきた胡散臭い奴らに…ウチの輩がやられまして」
頭は銃を取り出し、灰色の空を眺めながら、引き金を引く、銃弾は男の横をすり抜けた。
「……ヒィ!!」
「…なんだ?聞こえなかったな、もう一回、言ってみな」
男は尻もちをつきながらも地面を這って逃げていく。
「……好かないな、ココの連中は苦手な奴ばかりだ、――螺が言っていたな、物騒になったと、螺よ、私が来たから物騒になったのではない。もともと物騒なんだ」
頭が荷台から顔を出すと輩は作業していた手を止めて、頭の方を向いた。
「…一掃したヤツらを連れてこい。…なにやら面白そうな別の輩に会えそうだからな」
ナタネ一行は町の中を探索していた。
ルギ)「……お前の町はいつもこうなのか?」
「…ずっと前からこうでしたけど、更に過疎化が進んだような感じです」
周りを見れば路地で寝転ぶヤツ、怯えてるやつ。色んな奴らが暗闇に身を潜めていた。
「…この前、異常に戦力の高い奴が現れて、それ以降、誰もその人に対して逆らうことはおろか、何か問題ごとを起こせば一掃されるみたいで…」
ナタネ)「なるほどな、バランスの取れねぇ協調性のキの字もねェ野郎に捕まったわけか、―――俺たちは」
「「え」」
左右から聞こえてくる数多の足音にルギとペルロは驚くも、ナタネは一言唱える。
「リック」
ナタネは二人の首根っこを掴む。
「え」
「え、あわぁぁぁぁぁ!!」
そのまま上空へ上がり、三日月の乗り物に乗って輩が見えなくなるまで姿を撒いた。着いたのは高い高層民家の屋上。
「……はぁ疲れたぁぁぁ」
「お前その技が使えるなら、水なんてなくてもよかったのではないか」
「馬鹿野郎かテメェは。これで一週間飛んでみろ、俺の魂なくなるぞ。魔力も無限にあるわけじゃねェ、テメェが一番それをご存じなんだろうが」
「はいこれ」
ペルロはオレンジ色の小さな果物をナタネに渡す。
「お礼です。ありがとうございます。助けてくださって」
「お前コレ…」
「比率に合わないお礼ですみません」
ナタネは空に向かって果物をお手玉のように遊びだす。
「いいじゃねえか、割ったやつよりも価値がある」
「…感動展開のとこ悪いが、ここも時期にバレるかもしれぬぞ、いや、すまぬ間違えた。もうバレてる」
下から刃が交わる音と弾丸の音が響き渡る。町の中、一気に人が倒れていく。
「冗談じゃねェぞ、オメェのところの頭、ちょっといきすぎゃねーか?」
「ここまでしたのは始めてですよ?!」
「これはもう何としてでも引きずり出すって感じだな」
ルギは杖にペルロの服をひっかけると、屋上から顔を出す。ペルロの下は無数の刃と銃がこちらを向いていた。
ペルロ)「え、ちょ、なにしてんだぁぁぁぁぁ!!」
ナタネ)「何してんだてめーは!!」
「まぁ見ておれ、おい輩ども!」
その声に輩は上を見上げる。
「貴様らが欲しいものはここにあるぞ!欲しいなら来るがいい!」
ルギはペルロをナタネのところへ投げうった。
「いたっ!」
ナタネ)「お、おいどうする気…」
「逃げろ、心配なんぞするな。後で追いつく」
「お、お前…」
「聞こえなかったか?足なんざもう十分回復しただろ、走れ、お前なら飛べるだろ、なにせ主人公なんだから」
ナタネはペルロを担いで”リック”を唱える。ナタネとペルロはそれに乗って、輩のいない逃げ場所へ向かった。ルギは一人残された屋上で苦い空気を吸った。
「わしはただのじじいじゃない、あくたれにかかってやった優しいじじいさ」




