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酒のツマミは選んだ方がいい

「はァい、これが今日の分ねー」

「足りないなぁ」

リーラーは身を置く敷内の上部あたりで月見酒をしていた。見える景色は京都も取れない、中国とも取れない場所だった。赤い灯篭がそこらかしこに明かりをともす。色とりどりの提灯も人を招き入れる道具として店の看板を照らし出している。

「螺は本当に負けずをとらない酒好きだよねェ」

「…足りないものは足りないよ、ましてやもっと欲しいくらいだよね」

同じ糸目でも螺はどこか違う。螺は酒をすすると、のどを鳴らす。

螺)「…上級の酒は口に合わない、安酒かっぱらう方がマシかもね」

「おやおや、そんな物騒なこと言ってはいけないよォ?酒が濁ってしまう」

李は懐からキセルを出した。そのキセルはルギと同様のもの。

「まだそんなモン持ってたの?そろそろ捨てたらソレ」

「おやおや、発言には気を付けた方がいいよォ?妹が大好きなのは知ってるでしョ」

螺は頬杖をついて溜息を吐きながら、ゆっくりと目を開く。

「俺が捨ててあげよっか」

螺は手を差し出す。

「捨てれないんでしょ?お兄様」

瞬時動いたのは李の目つき。目を開かなくても殺気を感じるその目に螺はお手上げ状態だった。李の笑っている目からはどこか狂気を感じた。

「捨てるなんてことしないよォ?だって、妹は――ルギは、僕にとって特別だからね」

「へぇーソイツは気持ちが悪いや、俺の酒が濁っていくのは李のせいじゃないの?」

「それはないね、少なくとも君の発言で濁ったんじゃないのォ?僕のお酒はこの通り!純粋無垢な色をしているよォ?」

螺は右手に酒瓶を持って飲み干すと、景色とは逆方向へ足を進める。

「これじゃ飲みたいモンも飲めないや」

螺は足を止めて目を開いて李の背中を冷徹に見つめる。

「そうだ、忘れてたけど、ヘルガーって町になんか送り込んだ?あの町、最近物騒でしょうがないや」

李は螺の方に体を転換した。

「送り込んだ?何言ってるのォ?僕はそんなことしない、勝手に行ってやってるんでしょ、僕にはツクヅク――関係のない話さ」

「…あっそ」

螺は襖を開けて左に体を向け、再び足を止めた。

「…遊びならもっとじっくりするものだよ、李」

廊下を歩く刻みのいい音が遠のいていく。李は月を仰ぐ。

「…早く帰っておいで?ルギ…お兄ちゃんは――」

李は少量の透明な酒が入った盃を月に重ねた。

「いつでもキミを待ってるよ」

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