ご案内は何度も見ている
「…………人にはスランプがある」
それを他人は実力不足と言うだろう。
漫画家を目指している蓮山銅也はスランプだと、言い張る。いちお……。
悩みだろうか。何かの工夫をするべきだろうか。
整理が纏まらず、それでも漫画を描き続ける。画力を伸ばすのか、ストーリーを見直すべきか、……作る事は考える事が多すぎる。
そんな悩みにいる最中に、周りはどんどん成長していたり、……好きな事であれ、良し悪しを見たがるのは自然じゃなかろうか。
人を知れば、おのずと自分も知ってしまう。
蓮山は悩みに悩み……。劣等感を抱きながらも、それを続けた理由を過去から振り返ると。
「……………幼女に抱きつきてーーーっ!!リアル幼女もいいんじゃないか!?」
蓮山銅也。やっぱり、ロリコンであった。
魔法少女物の漫画で行きたい。世の中、そう甘くはないが。
「はーーーっ」
全ての人に認められる事など不可能だし、性癖も考え方も違う。やっぱ、幼女の良さを分からん人間と、幼女について話し合っても意味がない。言われてもどーしろというんだ。
お前はそれだけ、立派な胸があるというのか?たぶん、毛の方が濃いんじゃないか。顔なんて分かりはしないし、頭も分かりはしない。
一度止まりかけたロリコンぶりが、再び動いた時。剛速球のように幼女の体を描いてしまう。汚いラフであるかもしれないが、ストライクゾーンに入る小学生ぐらいの子。
これをもっと綺麗にし、色塗りしていく。……漫画も良いが、イラストもまた良い。
「ふーーーっし」
もっとも、完成させられるほど暇じゃない。ラフをちょっと綺麗にしただけ。キラキラの可愛い服をせめて着させて、
「投稿するか。”落書き”と……」
40分程度の落書きを、暇潰しに公開してみる。意識した事は幼女しか考えていないから、具体的な設定もなにもない。どーせ、自分なんかではスルーが当たり前だが、今は自分の気分で構わない。
投稿してから、サイトのご案内を見る。
どこもそうだが、似たような事を書いてくださる。
”年齢や職業は関係ありません”。
「いいね、ホント」
無料なところもまたいい。
少し気が晴れた。