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007 クリア済

突如聞こえた女性の大声を合図に人の波が動きを止める。


「雨だーー!!」


 濡れたもみあげを手で拭う。


 振り始めて直ぐ勢いの増した雨が全ての炎を消していく。真っ赤に照らされていた辺り一面に徐々に夜が戻ってくる。

 

 どこからだろうか、聞き覚えのある女性の声が鼓膜を揺らす。


「ミカエルさーん!」


「ナスビーか!! 無事だったか!」


 濡れたツインテールの水を撒き散らしながら駆け寄ってくるナスビー。彼女も逃げずに救助活動をしていたようだ。デニムもシャツも焦げていて、いくつも穴が空いている。


「私バケツリレーに参加してたんですよ! ミカエルさんが入浴施設に女店主を避難させたところも見てましたよ!」


「そうか、そうか、そうか。」


 うまく言葉が出てこない。

 私は只ひたすらに頷く。


「凄い雨ですね!」

 

 皆がさっき火事から守るために出した荷物を、次は雨に濡れないようにとテントに戻していた。


 雨宿りのため私とナスビーが近くのテントに飛び込もうと思った時、後ろから声をかけられた。


「もみあげさん!」


 女店主が駆け寄ってくる。


(そういえば名乗ってなかったなぁ。)


「ありがとうございました。 私一人だったら荷物と一緒に燃えてしまってたと思います。 あの、もしよければ……」


 感謝の気持ちは嬉しい。しかし返答に悩む。一度は諦めたという後ろめたさもある。

 当たり前の事をしたまでたと、素で言えるほど立派な人間だったなら楽だろうに。


 何にしろ今はとにかく雨から身を隠すのが先だろうと思いテントに入ることを促す。


「大丈夫ですよ、この雨もう止むはずです。」


 女店主がそう言った直後、ピタッと雨はやんだ。


 (本当に止んだ!?)


 テントの住人たちに驚いている人はいないが白シャツを着た多くの人は空を見上げていた。

 私とナスビーが不思議そうな顔をしていると女店主は答えてくれた。


「ほら空を見て下さい」


 私とナスビーも空を見上げる。


 やけにはっきり見える一本の白い雲。それを避けるように雨雲は散り散りになって消えていく。

 雲の隙間から顔を覗かせる沢山の星達とまだ空高くにある満月。


「この地域ではこう言う雨のことを、龍の通り道って言うんですよ」


「龍の通り道……ですか。」



 聞いたことない言葉だ、詳しく話を聞く。

 今日はもう遅い、寝床を探す。

……選択を迷ったが


私は女店主から詳しく話をきくことにした

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