第35話 狂宴
35話目投稿しました!
ここ最近忙しくて全く投稿出来ませんでした……
申し訳無いです……
今日からは投稿ペースが早くなると思うのでよろしくお願いします!
後今回はちょっと胸糞なんで苦手な人は注意を……
「た、隊長!! 助けて貰った時から一目惚れでした……好きです! 僕と一緒に残りの人生を生きませんか!?」
これは一世一代の告白だった。
相手は王国雌雄剣の一振り、サンリーチェ・ギルドガンドだ。
彼女との出会いは奇跡だった。
僕がまだ14歳の頃、森で遊んでいた時、盗賊に捕まってしまい、ただ怖くて震えていた僕は必死に誰か助けに来る事を願っていた。
「おい、野盗共。その子を離せ」
あの時の声は今も耳に残っている。
僕とさして変わらないであろう年齢で、大人と変わらない堂々とした立ち振る舞いで現れた女の子。
手には女の子には似つかわしくない、大きな剣を握っている。
「私の名前はサンリーチェ、騎士見習いだ。今ここで彼を離すなら見逃してやる」
盗賊達はその言葉を聞き、騎士見習いが何言ってんだとゲラゲラと笑っていた。
盗賊達は彼女にも手を出そうとした、しかし、その手は宙を舞った。
いつの間にか抜いた剣についた血を払う。
そこから逆上した盗賊達は一斉に彼女に襲いかかるが、彼女は一人で5人以上の盗賊と渡り合い、盗賊達を手際よく倒していった。
その光景を見て僕は、彼女に一目惚れしてしまった。
何故大人相手に負けない力を持っているのか? 怖くはないのか?
様々な疑問が湧く。
力の差や経験の差というものはあるだろうが、僕は怖くて震えていただけなのに彼女はそんな恐怖が無いというかの様に剣を振っていた。
少しした後、騎士団到着し盗賊達を連行していく。
彼女はその騎士団に付いて行こうとしていた、その時、
「待って下さい!!」
何故か僕は彼女を引き止めていた。
彼女は振り返り、不思議そうな顔をしている。
「僕の名前はオーウェンといいます、どうか貴方の家来にしては貰えませんか!? 雑用でもなんでもします!!」
彼女は少し笑ったあと、
「いいだろう、私の名前はサンリーチェだ。私は自分の騎士団を創るつもりだ。オーウェン、お前が私の最初の部下だ! よろしく頼む!」
周りの騎士たちは無理だ無理と笑っていたが僕は彼女の夢を語る表情に胸を打たれてしまった。
なんの力も持たない僕が彼女についていくことが出来るのだろうか?
だけど、この命は彼女に救われた、ならばこの命は彼女のものだ。
彼女は嬉しそうに僕に手を差し出す。
僕はその手を両手で握り返した。
それから僕は彼女の部下となり、様々なところで転戦しながら功を立てていき、騎士団の仲間もどんどん増えていった。
そして僕達は10年前の魔王軍侵攻の際、未だ人間界にて侵略を行っていた魔王軍幹部を倒し、その功績から彼女の騎士団は国に認められる様になった。
ある日、王国から彼女に王国最強の騎士との親善試合をしないかという提案を持ち掛けられる。
彼女は光栄であるとすぐさま了承し、直ぐに試合は行われることになった。
試合は半日に渡る戦いになり、結果は引き分け、彼女はギルドガンド王からギルドガンドの名を下賜され、王国最強の騎士と二人で王国雌雄剣と呼ばれる様にまで至った。
この日の夜、僕は決心する。
今まで隠してきたこの気持ちを彼女に伝えるということに。
この告白、今まで積み上げてきた全てが崩れるかもしれない告白、しかし伝えずにはいられず、彼女への想いをただがむしゃらに語った。
「まっ、まて!」
彼女は顔を真っ赤にしながら僕の口を手で押さえる。
「わかったからお前の気持ちは!! そのなんだ? 私の事が好きなのか?」
僕は口をおさえられながらも大きく頷く。
「そうか……武骨で女の子らしく無い私のどこが良いんだ?」
手を退けて、発言する。
「女の子らしさなんて関係ないです。隊長が僕と出会った時、話してくれましたよね、夢の話を。あの時の表情がとても自信に溢れていて、なんでもやってのける様に思えたんです。そして、本当にやってのけた。そんな貴方に僕は惚れたんです!」
「ふ、ふふっ、そうか? そうか…………なぁオーウェン」
「?」
「いいぞ、お前の願い、一緒に生きる、叶えてやる」
その瞬間、唇に柔らかいものが触れる。
一瞬だけだった。
しかし、目の前の彼女が真っ赤な顔をしているのを見て直ぐに理解した。
僕は彼女を抱き寄せるともう一度唇を──
「グギガギャガゴケ」
不快な声によって目を覚ます。
血の香り、人の悲鳴、それらによってまだボケていた意識が覚醒する。
そうだ、僕達二人はイーストにお忍びで旅行に来ていたんだった。
そんな中、イーストにゴブリンの群れがやってきているという事で僕達二人が太守の命令でイーストの兵達を率いて討伐する筈だったんだ。
しかし、駐留中だった僕達にゴブリンが奇襲を仕掛けてきて部隊は殆ど壊滅、僕もゴブリンとの戦闘で気絶していたんだった。
そうだ、隊長は!?
なんとか体を起こす為、手を地面につけようとした時、理解した。
両の腕が無いということに。
「ぐぁぁぁぁあああ!!!」
おびただしい量の血が流れている、理解した瞬間強烈な痛みが奔る。
なんとか回復しようと光魔法を発動する為に詠唱しようとも、上手く呪文を唱えられない。
発音が全く上手く行かない、何故?
口を開けた時、口から血が溢れ落ちる。
「グギアギガゴゲ!!」
周りにはゴブリン達がおり、そんな僕をみてゲラゲラと笑っている。
そして僕にナイフを見せる。
ナイフには誰かの切断された舌が突き刺さっていた。
もしや僕の?
口の中に痛みを感じる。
もう僕は何も出来ない、剣を握る事も出来なければ魔法も使えない。
ただの役立たずだ。
「あぁぁああ!!」
地面に頭を叩きつける。
悔しい、何故だ!? 何故こんなことに!?
確かにゴブリン如きに負けるわけが無いと油断していた。
しかし奇襲を受けてもなんとかなるだろうと高を括っていた。
結果はイーストの兵達の統率より優れた動きで一人一人殺されてしまった。
やはりその油断が招いた結果なのか!?
「オーウェン!? 生きているか!?」
目線を向けると破損した鎧を纏いながら剣を振るう隊長の姿が見えた。
「グギギガゲガゴ!」
僕の近くにいたゴブリン達が一斉に襲いかかるが、
「邪魔だ!!」
光を纏った聖剣を人振りするとそのゴブリン達は一瞬にして消滅した。
「酷い怪我だ……早くイーストに戻るぞ」
隊長は僕を背負い、この場を離れようとする。
しかし、その足は止まった。
「こい、つらは?」
目の前に何かの裂け目が現れ、そこからローブを着た小柄なゴブリンと、鎧を纏ったガタイのいい、僕達の身長を超える大きさのゴブリンが出てきた。
「ギゴゲゴグゴゲガ」
ローブを着たゴブリンは俺達に指を指しながら何か喋っている。
「ゴガギゲゴガギガ」
鎧を纏ったゴブリンは腰に下げた剣を引き抜く。
隊長は僕を降ろし剣を構える。
「ギゲギギゴギ」
ローブを纏ったゴブリンが何かを唱えると黒い靄の様なものが鎧のゴブリンを包む。
「ギゴゴグゲゴギガァ!!!」
鎧のゴブリンはその瞬間剣を振り下ろす。
「クッ!」
隊長は受け止めるがそれと同時にゴブリンの蹴りが隊長の横腹に入る。
「ガハッ」
横に吹き飛び地面に転がり、鎧が破損していた部分を狙われたのか、動けないでいる。
鎧のゴブリンは隊長に近付くと髪の毛を鷲掴み、無理やり立たせる。
「やっやめ」
隊長の顔を鎧のゴブリンが何度も何度も殴りつけ、掴んでいた髪の毛が千切れまた吹き飛ぶ。
やめろ、やめてくれ、彼女をこれ以上苦しめないでくれ。
お願いだ、隊長、立って下さい。早くここから逃げて下さい……
隊長はなんとか立ち上がり剣を拾おうとするが、別のゴブリンに拾われてしまう。
「その剣は、王から賜った──」
ゴブリンは隊長が何か喋ろうとした時、その剣で隊長の脚を斬った。
バランスを崩しそのまま地面に倒れ込む、そしてまた別のゴブリン達に腕を持たれ拘束される。
剣を拾ったゴブリンは鎧のゴブリンにその剣を渡す。
眺めた後、剣を隊長に向ける。
「早く殺せ、どうせ脚を斬られてしまって身動きがとれない。私が大将首だ、ほらどうした?」
「グギゲ? ギゴゴ」
鎧のゴブリンが何か命令したのか、拘束していたゴブリンの一匹が隊長の腕を持ち、右手の親指にいきなり噛み付いた。
「やめっ 痛い! 痛い痛いいたい!!」
ギリギリと痛々しい音が耳に響く。
「や……え……ろぉ…!」
必死に叫ぶが声が出ない。
なんとか地面に這いながら彼女の元へ向かう。
バキッ 何かが折れる音がした。
「あぁああ!」
ゴブリンはペッと何かを吐き出す、その吐き出した物が僕の目の前に転がってくる。
親指だ、彼女の親指だ。
「いたいたいいたい!!」
彼女は拘束をなんとか解こうと体を動かすが、ゴブリン達がしっかり押さえつけている為動けない。
そんな中、またゴブリンが彼女の指に齧りつく。
「アガァ!! やめろ!! はなせはなせぇ!!」
ガリガリと耳障りな音が聞こえる。
「ぁぁ……あ!」
僕はなんとか鎧のゴブリンの足元までたどり着く。
「や…えろぉ!!」
ゴブリンの足首に噛み付く。
「ギゴゲ? ゴゴゴゲガ!」
噛み付いた僕を振りほどき顔に蹴りを貰う。
ドゴォと鈍い音と共に視界が揺れる。
意識が朦朧としているが腹に強烈な痛みが奔り、意識が戻る。
腹に剣を突き刺されてしまっていた。
吐き気が襲って血と共に吐瀉物を撒き散らす。
バキッ また何か折れた音がした。
「あぁぁあ!!」
やめてください、彼女を許して下さい。僕が代わりに全ての痛みを負います。お願いします……
またゴブリンが彼女の指に噛み付く。
「ごめんなさいごめんなさい!! 許して下さい!! 痛いのはやだぁ!! ぁあ!!やめて!!」
俺は目を瞑る。
もう見たくない、聞きたくない、やめてくれ。
何やってるんですか隊長……いつもの様に不敵に笑ってこんな奴らボコボコにしてくださいよ………
そんな願いは叶わず情けなく泣き叫ぶ彼女の声が辺りに響く。
「……ぇ? それはなんだ? やめろ、近付けるなそんなモノ……」
……何が行われているんだ?
「やめろぉ! もう痛いのは嫌なんだ!!だから何でもするから許してくれ!! ムゴォ」
急に何か口に入れられたのか、彼女の声が途切れ、気持ちの悪い水音が周囲に響き始める。
「ギガゲゴガゲガ!」
「グゲガギガゴゲ!!」
ゴブリン達の笑い声、気持ちの悪い水音、すすり泣く声、様々な音が辺りを包む。
少しして僕は目を開く、そこには想像通りの光景が広がっていた。
「……フハッ、ハハハハハ!」
笑いが止まらなかった。
いつもの厳格な彼女が今では恐怖と快楽に支配され、涙を流しながら笑っているのだ。
僕では一生見る事のできない表情、
「ハハハハハハハハ!!」
「グギギガゲガゴゴグゲ!」
「ギゲゴグゴゲゲ!」
そろそろ出血のし過ぎで死ぬだろう。
僕は死ぬまで彼女とゴブリン達の行為を見続けた。
死んだ後も彼女の姿を忘れない様に、しっかり魂に焼き付ける為に。




