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第31話 魔界 下

31話目投稿しました!


 32話目は明日か明後日になるかと思います!


 

「火葬屋様、紅茶をお淹れしました」


「おっ、ありがとな」


 俺はメイドが淹れた紅茶をすする。


 温いな、こりゃ。


「お気に召しませんでしたか?」


「ん? いや、気にすんな。下がっていいぞ」


「……わかりました」


 顔に出てたかな? 悪いことしたなぁ。


 紅茶を飲み干し机の上にカップを置く。


「こんなのんびりしてていいのかなぁ?」


 今、この国は混沌に満ちている。


 大魔王様が死んだ後、国は二つに別れた。


 一つは第一王子派閥、もう一つは第二王子派閥だ。


 第二王子の我儘で行われた何百年も続くこの戦、結果は第二王子派閥の勝利、第一王子は残った兵士達と共に隠れ住む事を選んだ。


 しかし、うちの風葬屋が第三王子である魔王様をトップにする為第二王子を謀殺し、第一王女を追放した。


 本当に何をやってるんだか。


 それに怒った第一王子がまた兵士を集めて反乱を起こしているというのが今の情勢だ。


 魔王様は国務は全て元凶である風葬屋に一任している。


 気に入らない内政官や指揮官は全て粛清、民達には重い税を納めさせている為この国はガタガタだ。


 何故魔王様は風葬屋に全て一任したのだ?

 

 今も常勝無敗といわれる第一王子派閥の最強の将軍によって領土の殆どが侵略され、残された領土は王都と数個の都市のみだ。


 風葬屋には今回、俺に常勝無敗と戦って欲しいと命令されたのだが……魔王様にここに留まれと言われたので今はこうして優雅に紅茶を飲んでいる。


 帰ってきたらなんてどやされるか……


「おい……ペスカトーレ、何故ここにいる?」


 噂をすれば……

  

 後ろを振り返るとそこにはワナワナと震えながらこちらを睨む風葬屋がいた。


「随分と早い帰還だな風葬屋」


「何故ここにいるのかと聞いている!! 私は命令したはずだぞ!? 常勝無敗を討取れとな!」


「魔王様がここに留まれと言って来てな」


「魔王様が? それは……クッ、仕方無いな」


「で、どうしたんだ? 常勝無敗を倒したのか?」 


 俺はもう一度訊ねる。


「ふん、私にかかれば常勝無敗など恐るるに足らんわ。軽く追い返してやったわ」


「おぉお、すげぇな」


 常勝無敗を倒すなんて、無能じゃ無かったんだな。


「今失礼な事を考えたか?」


「いや、何も」


 また顔に出てたかな?



「伝令!! 主力軍が風葬屋様が帰還なされた後、常勝無敗の軍勢の奇襲を受けて大打撃!! 被害甚大で生存者不明でございます!」


 部屋に息を荒くした兵士が一人入って来て叫ぶ。


「なにぃ!? 三万の兵だぞ? その前に常勝無敗の軍勢を蹴散らした筈じゃ!?」


「それが……あれは敵の囮だったらしく、こちらの作戦は駄々漏れだったようで……」


「もういい下がれ!! 現地の生き残った指揮官に兵をなんとかまとめて帰還しろと伝えろ!! 早く!!」


「はっ!」



 風葬屋は力なく椅子に座り頭を抱えている。


「うまくいかねぇな? まぁ次勝てばいいんだし」


「えらく他人事だなぁ? この敗戦のおかげで今王都で戦える兵士は1000人以下だ、それに我々第三王子派についている部族が揺らぎ始めるぞ……」


「まぁなんとかなるだろ」


「貴様ァ……干乾びたいようだなぁ? えぇ?」


 結局こいつがやってきた事が巡り巡って帰ってきたって事だろう? 自業自得だ。


「風葬屋様、火葬屋様、魔王様がお呼びです」


 先程紅茶を淹れてくれたメイドが部屋へと入り、俺達に伝える。


「一旦この話は置いといて行こうぜ? 魔王様が呼んでるからな」


「チッ……覚えておけ」


 俺達は会議室から出て魔王様の玉座の間の部屋の前に着くと跪く。


「魔王様、風葬屋様と火葬屋様を連れて参りました」


「御苦労、下がってよい。二人はそのまま話を聞け」


 扉越しに魔王様の声を聞く。


「土葬屋が死んだ」


「なっ!?」


 風葬屋は驚愕の声を上げる。


 土葬屋が死んだ? 奴の能力は強力だ。肉体が滅ぶ事はあっても呪いが消える事は無いんじゃ?


「我の子供達が邪魔をしよった。全く忌々しい事だ」


 魔王様の子供? 彼らの事か? それはそれは……


「風葬屋、お前に任した王都の主力軍はどうした? しっかり兄上を挑発出来たか? 常勝無敗を倒したか?」


「それが……その……」


「国政はどうだ? 民達は不自由無く生活が出来ているか? お前に任したのだ、上手くやっているのだろう?」


「いや……」


「風葬屋、我はお主を信用している。我が幼き頃から付き従っていたお主を。信用しているからこそお前の願いを叶えた。第二王子であった兄上を殺し、姉上を追放した。そして王都の国務を全て任せたのだ」


「……」 


「我はお主を、火葬屋を、水葬屋を、土葬屋を愛しておる。我の期待に応えてくれると信じておる。そこでだ、火葬屋」


「はっ」


「お主は人間界に行き勇者を倒せ。多分だがそこにお前の宿敵もいるだろう」


「本当ですか!? 任せてください! この火葬屋ペスカトーレ! 必ずや期待に応えてみせましょう!!」


 デルシオン……次は俺がお前に勝つ……!!


「風葬屋、お主は今まで通り国務を任せる。ついでにまだ反乱を起こす兄上を捕らえて我の前に連れて来い。まぁ広大な領土に大量の部下を任せているお前の仕事量は膨大だ。無理の無いように致せ」


「……はっ」


 なんでこいつは本当の事を言わないんだ?


 領土も殆ど残っておらず、部下も粛清や裏切りのせいで片手で数えれる程度。


 風葬屋は俺を睨んでいる。


 またまた顔に出てたかな?


「二人共、期待しているぞ」


 じゃあ行くかな。


 俺は立ち上がり転移の間へと向かう。


 待ってろよデルシオン! 

 

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