第29話 その後のお話
29話目投稿しました!!
これにて一章完結です!!
次は作者のここまで書いての感想を投稿しようと思っています!
物語には関係ないので見なくて大丈夫……なんですが是非読んでください!!
ニ章からもよろしくお願いします!!
あれから俺達は、森から無事とは言い難いが、帰還する事が出来た。
俺がマスターにこの事を報告している間、シァウストに勇者にかかった呪いの解呪を頼んだ。
心配だ。
仮にも四天王の強力な呪いを受けてしまったのだ。
もしかしたらシャウストでも……
「何浮かない顔してんだい、大丈夫さ。ランク5の聖女様だろう?」
「そうなんだが……」
シャウストは珍しい睡眠魔法が得意な冒険者だ。
眠っている人間の治療ができ、呪いや死病、致命傷でもなんでも治すことが出来る。
それによってギルド本部や冒険者達の間では聖女と呼ばれていた。
16年もたった今、衰えていなければ良いのだか……
「アセビ……私のせいだ……」
隣ではユリィが椅子の上で、脚を抱え込みながら虚ろな目で呟いている。
事情は聴いた。
昔の知り合いから自分の過去を掘り下げられ、それを勇者に聞かれてしまい逃げたと。
それを勇者が追って、今回の問題に発展したということを。
事情を聞いた時、ぶん殴ってやろうかと思った。
だが、勇者があそこで追ったからこそ、今この場にユリィがいるのだと考えると自然と右手に込めていた力が緩んだ。
冒険者は自分で選択しなければならない。
勇者がその選択を選んだ事に不満は無い。
だが、一言言って欲しかった。
そうすれば今回このような酷い結果に発展する事は無かったのでは? そう考えてしまう。
まぁ、命があっただけ儲けものだ。
俺はユリィの頭に手を乗せる。
「心配すんな。さっきまでの俺が言えた事じゃねぇけどアイツならなんとかしてくれるさ」
「……うん……そうだといいんだけど。って、なんで触ってんの!? キモいんだけど!」
「すまん、ついな」
俺の手は彼女に振払われる。
だがこれでいつもの調子に戻ったみたいだ。
「でも……今回に関してアタシが悪いわ。本当にごめんなさい……」
「いいよ別に、命があったんだからな。それより俺じゃなくて勇者にその言葉は言ってくれ」
「……わかったわ」
少しすると部屋からシャウストが出て来る。
「どうだ? 解呪出来そうか?」
「大丈夫ですよ、魔法はかけたので後は彼女次第です。それより盟友、少し話があります。来てください」
「わかった」
俺は勇者の寝ている部屋に入る。
椅子に腰掛けると同時にカチャっと音が鳴る。
鍵をかけたのか?
シャウストは俺の方を見ると、
「彼女の呪いは何とかしました。ですが彼女、ハッセイ草を摂取してしまったみたいですね」
「なんだと?」
「摂取すれば体力が回復できる薬草、しかし副作用で発情してしまう恐ろしい魔草でもある。一度摂取してしまえば最後、あの感覚が忘れられず中毒に陥ってしまう。応急処置として彼女のその時の感覚は私の能力で意識の底に眠らせました。ですが次摂取してしまうと二度とその快感が忘れられなくなってしまいます。充分に注意してくださいね」
「わかった。細心の注意を払うよ」
ハッセイ草、ユリィの師匠の依頼で頼まれた草。体力を回復する為に摂取したのか? 分からない事ばかりだ。
「ところで盟友、少しあの頃の話でもしませんか?」
「ん? あの頃?」
「私達が共に冒険した時の事ですよ」
「あぁ、そういう事か」
「私達の最後の冒険の事です。貴方は何故彼女を助けたのですか?」
彼女の目線は勇者に向いている。
「当たり前だろう? 殺されかけていたんだぞ?」
それに彼女は勇者だ。日野山楓だ。
俺は彼女を助けなければならない。
「それのせいで私達の計画が失敗したのを、貴方は覚えていますか?」
「計画? なんだそりゃ、あったかそんなの?」
「……質問を変えます。貴方は彼女を助けた時、そこで誰が殺そうとしていたのか覚えていますか?」
「? ただの魔族じゃないのか?」
「……私達とどのような冒険をして来たのか……覚えていますか……?」
「ん? それは──」
どのような冒険? どのような冒険だ?
霧がかかったかの様に全く思い出せない。
パチ
──しかしそれは普通のことだ。思い出せないのなら仕方無いのでは?
「今更16年前の話なんて覚えてねぇよ」
「そう……ですか」
シャウストとは暗い表情を浮かべる。
「一つ忠告をして置きます。絶対に欲望に負けてはなりませんよ? もし負けてしまえば貴方は彼等と同じ道を歩むしか無くなります」
「なんの話をしているんだ? 欲望? 彼等?」
「次、会う時は私は敵として貴方達の道を阻み、世界を救う鍵を握るピースの一つになっているでしょう。……私は貴方の事が憎い。貴方が彼女を助けなければこんな事にはなっていなかった……」
「だからなんなんだ!? さっきからそんな遠回しな発言!? 一体俺に何を伝えたいんだ!?」
「……次会うときには理解しているでしょう。では、また会いましょう」
彼女は扉を開けて部屋から出て行く。
「まて!!」
俺は彼女を追おうと部屋を出る。
しかし、そこには彼女の姿はもう無かった。
まとめだ。
あの後勇者は無事に目を覚ました。
呪いは無事に解けユリィは泣きながら勇者に謝罪した。
当の本人は気にせず笑いながら許していたが。
俺達は今回の魔王軍四天王討伐の功績から特例でギルドランク1から2に昇格した。
登録一日目でランク2昇格は前代未聞らしい。
ギルド内の雰囲気は歓喜に包まれていた。
しかしデイニスは今回の件でギルドの指示を待たずランク2の冒険者達を先導し全滅させてしまったと言う事でギルドカードは剥奪、イースに立ち入りを禁止されてしまったらしい。
まだランク3のシロイエと共に行動すればこのような結果にはならなかっただろうに。
俺達の関係も少し変わった。
「あの……デルシオンさん。その、手を握ってもいいですか?」
「え?」
勇者からのボディータッチが増えたという事だ。
「すみません、何故か貴方に触れると安心して……」
「駄目よアセビ!! そんな汚いおっさんに触れるなんて!! 手なんてアタシが幾らでも握って上げるから! おっさんもキモいんですけど!」
ユリィはアセビの手を握りこちらを敵意剥き出しで睨みつけている。
えらく仲が良くなっているみたいだ。あの森で何かあったのか?
「でもユリィ……」
「でもじゃないわ! さぁ依頼を受けに行くわよ!」
「勇者、今回のは屋根修理だったか?」
俺は勇者に訊ねる。
あれから数日たったが受ける依頼を決めるのは全て勇者に任せている。
「そうです。これも誰も受けていない依頼だったので」
「うえぇ、なんでそんな地味な依頼ばっか受けるの? ランク2になったんだから魔物の討伐とかの方が全然稼げるわよ?」
「それはそうですが困っている人は助ける。それが勇者としての務めだと思うんです」
「うーん……でもなぁ」
「まぁまぁ、これから時間なんて幾らでもあるからな。機を見てそういう依頼も受けていこうな」
「……なんかおっさんに諭されるの、ちょー腹立つんですけど」
「ハハハッ……」
乾いた笑いが口から漏れる。
俺とユリィの関係はあいも変わらずこの調子だ。
「まぁ……そうね。まだまだ弱いアセビを連れて魔物退治は危険よね。よし! 天才魔法使いのアタシが魔法を教えてあげるわ! 感謝しなさい!」
「本当ですか! ありがとうございますユリィ!」
「フフン、まずは魔法には種類があってね。まず私が使ってる魔法の部類は──」
そんなこんな俺達の旅は緩やかに進んでいく。
しかし気掛かりな事が沢山ある。
まず四天王がいたという事、もしかしたらアセビを早めに排除しようと動き出しているのかも知れない。
次に俺の過去、シャウストがいう忘れている俺の記憶。
パチ
──別にそれに関しては俺は疑問に思わない。忘れてるのならしょうが無い。人間誰しも忘れることはある。
まぁそんな事は置いておこう。
冒険する内に魔王軍の狙いも何か分かってくるだろう。
俺は仲良く手を繋ぎながら前を歩く二人を見つめる。
今後どのような事になるのか全く検討もつかないが、このようなのんびりとした時間が、少しでも長く続いて欲しいと切に願うのであった。




