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第21話 土葬屋 3

21話目投稿しました!!


 22話目は明日か明後日に投稿したいと思ってます!!


 後ブックマークありがとうございます!!


 これからも投稿頻度を落とさぬよう頑張っていきます!

 アタシは今日初めて、私を他人にさらけ出した。


 最初はぽつりぽつりと水滴をこぼすかの様に、だが少し話すと川の流れの勢いの様に話してしまった。


 彼女は黙って聞いていた。


 気付けば視界が涙で歪み、彼らにみせていた虚像が一気に崩れ落ちていた。


 今の私はただの弱い人間、


「私は、何の価値のない人間なの……ただ誰かに認めて欲しい、褒めて欲しいって、必要とされたいって、駄々をこねる子供なの……」


 嫌、また失ってしまう。また一人になってしまう。それだけは嫌、


「ユリィさん、聞いてください」


 彼女は私をなだめる様な優しい声色で口を開く。


「私は、貴方の気持ちを理解する事はできません。なぜなら私は貴方と真逆な生活を送っていたからです。父から、友人から、教師から、様々な人達から頼られて、必要とされて来ました。でも、私を、アセビを必要としてくれたのか、それは疑問です。彼らは何でも言う事を聞いてくれる都合の良い私を必要としていただけ、私自身を見てくれる人はいなかった」


「……」


「勇者の使命も神様から頼まれてやっているだけ、神様も私を見ていない。結局、人間は人を必要とするのに何か理由がいるんです。ただの私や貴方を、何の理由も無く求める人はいない」


 何の理由も無く求める人はいない……

 

 彼女の言っている事は捻くれてはいるが正しいと思う。


 それでも、私は……


「でも、私は貴方を求めます。形は違えど私達は似たもの同士、だからお願いです。私は勇者としての務めを果たすために貴方が必要です。私に、私達に力を貸してくれませんか? そして、貴方の悩みを解決する、それも兼ねて一緒に旅をしませんか?」


 私は、私は、アタシは……


「わかったわよ……そんなにアタシの事を求めるんだったら、アンタ達に力を貸してあげるわ。フンッ、でも、まぁ、その…………ありがと……」


 アタシは、彼らと一緒に旅をする。

 彼女は私を求めてくれた、それに、あの二人だけだとなんだか危なっかしい。 


 それに彼女があのおっさんに酷い事をされるかもしれない。見張らなければ。

 

「よろしくお願いしますね、ユリィさん」


 彼女はアタシに手を差し伸べる。


「ユリィ、呼び捨てでいいわよ。アタシもアンタの事をアセビって呼ぶから。よろしくね、アセビ」


 彼女の手を握る。


 久しぶりに心が暖まる温もりに触れた。


 自然と涙が流れる、でもこの涙は先程の悲しさから流れる涙ではない。


「ユリィ、泣かないでください」 


「バカ、泣いてなんかないわよ!」


 涙を袖でゴシゴシとふく。


「目にゴミが入っただけ! 気にしないで!」


 アタシはいつもの様に強気な態度で誤魔化す。


 嬉しくて泣いてたなんて恥ずかしいから、でも……


 彼らならこんな私でも必要としてくれるかな。




「それじゃあ帰りましょうか。デルシオンさんも心配してる事でしょうし」


「あのおっさんに心配されても余計なお世話よ。まぁ軽く、今回の事件の正体を倒したって言ってあのおっさん含めてギャフンと言わせてやるわ!」


 私はお尻についた土を払い、元きた道に──


 元きた道? 


「……ねぇ? アセビ、帰り道ってわかる?」


「わかりませんよ? ユリィを探すのに必死だったので」


「なんでそんな堂々と後先考えてなかったって言えるのよ……」


 さて、どうやって帰るか。


 二人で相談していた、その時、


「ニゲレナイッテイッタワヨ? ココハワタシノ、ワタシタチノテリトリー」


 聞き覚えのある声が、幾重にも重なって聞こえた。


 ガサガサガサガサ


 周囲を見渡すと、先程倒した怪物が、こちらへと出てくる。


 1体じゃない、2体、3体……


 10体以上、アラクネイヤが森の奥から出てきた。


 完璧に囲まれている。


「うそ……なんでこんなに? アイツだけじゃなかったの?」


「ユリィ、逃げ場はありません。大丈夫、私達ならこの窮地、乗り越える事ができます」


 彼女は剣を構える。


 少し剣先が震えているのが見えた。


 常人ならこの状態、泣き喚いて命乞いをする所だろう。


 私が一人なら絶対にそうなっている、でも、今はアセビがいる。


 頼りない背中だが今この瞬間は何よりも心強い。


 私も覚悟を決めよう。


 腕を構えていつでも詠唱出来るように呼吸を整える。


「こんな奴らまとめてブッ倒してあげるわ!!」


 私は叫ぶ、怯えた心を気迫で塗り固める様に。

 


 目の前の怪物達はフフッと笑うと、こう言った。


「サァ、ワタシタチノコドモヲウンデチョウダイ?」



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