第20話 土葬屋 2
20話目投稿しました!!
21話は明日投稿したいと思ってます!!
かっこいい技名って難しいですね……
あと気づいたらブックマーク増えてました!!
ありがとうございます! これからも頑張っていきます!!
あの後、私は一人で森の中へと足を踏み入れた。
良く考えれば、まずデルシオンさんに報告が先だったのかも知れない。
だけどもし、その報告している時間の間に彼女の身に何かあったらと思うと、自然に足は森の中へと駆けていた。
数分もしたら真っ直ぐ走っているのか、それとも右に曲がったのか、方向感覚が狂い、どこにいるのかわからなくなってしまった。
流石に無計画過ぎたか? と思った時、真っ暗な木々の奥で、ゆらゆらと揺らめく小さな赤い光が見える。
あの正体が何なのか分からない、でも、あれが彼女が放つ魔法の一つなのだとしたら行くしかない。
私は勇者によって得た身体能力をフルに使い、その光の方向へと向かう。
木々を抜けた先、そこには尻もちをついて動けないユリィさんの腹に何か得体のしれないものを突刺そうとする噂のアラクネイヤだった。
私は瞬時に剣を引き抜き、その管のようなものを叩き切る。
剣なんて扱った事が無い、イメージはデルシオンさんの荒くて力強い、そしてどんな型にもはまらないような渾身の振り。
「グギャァーー!!! ナニアナタ!? イキナリヒドイワ!?」
目の前の怪物は叫び、一気に距離を詰めてくる。
「ユリィさん!!」
「あ、アンタ何でこんなところに!?」
「追いかけてきました!! さぁ早く逃げましょう!!」
私は彼女の手首を掴み走り出す。
「ウフフ、ニゲラレナイワヨ? ココハワタシノテリトリー」
「勇者止まって!!」
ユリィさんの叫びを聞き足を止め、よく見ればここら一帯に蜘蛛の巣が張り巡らされているのがわかった。
「これは?」
「触っちゃ駄目よ、一瞬で絡め取られるわ」
「カンガイイワネ?」
振り向くとアラクネイヤは不敵な笑みを浮かべている。
どうする? 逃げる事は出来ない、戦うのか? この怪物と。
「やるしかないわね」
ユリィさんはやる気の様だ。
私も覚悟を決めなければいけない。
恐れを振り払うように剣を構える。
「いい勇者? アンタはなんとかコイツの攻撃を耐えるのよ? アラクネイヤは魔法に弱い、アタシの魔法でブッ倒すわ!」
「わかりました。なんとかしてみせます」
「ウフッ、アナタタチハ ワタシニカテルカシラ?」
アラクネイヤは大きな脚についた爪を振り下ろす。
「風の魔精よ 我らに風の加護を」
ユリィさんがそう唱えたあと、身体がフワッと軽くなるのを感じる。
後ろにフワッと下がり、相手の攻撃を難なく避ける事が出来た。
私は先程の要領でアラクネイヤに突っ込み剣を振り下ろす。
ガキンッ
しかし皮膚が硬いのか、傷一つつける事ができず弾き飛ばされる。
またフワッとした感覚とともに地面に突っ込むことなく着地する。
「アハハッ!! ネェ、アナタモヒッサツワザアルノ? アルナラハヤクワタシニミセテ? ナニモイイトコロナクシンジャウヨ?」
人間の上半身が手を私に向ける。
痛っ、頬から熱い何かが流れる感覚がして触ってみれば血が流れていた。
その手の周囲には土の大きな塊のような物が形成され、小さなつぶてが弾丸のように回転し飛んできている。
.
ズダダダダダッ!!
咄嗟に木の裏に隠れるがその木がそのつぶてにより抉られてそのまま倒れてしまう。
横に飛び、倒れてきた木を回避する。
相手を見ると腕がこちらに向いており、つぶてをまた飛ばそうとしている。
不味い!! 私は脚に力を込めて地面を蹴る。その勢いで相手に向かって突っ込む、が、大量のつぶての嵐が私を襲う。
「炎の魔精よ 魔の物を焼き尽く矢となれ」
つぶてが私を襲う寸前、彼女が放った魔法が相手の腕に命中し、軌道が逸らされ少し掠っただけで済んだ。
相手は怯んでいる。ここしかない!
そのまま跳躍し、剣を逆手に持ち替えて人間の上半身の部分に剣を突き刺す。
「キシャァアーー!!」
悲痛な叫びをあげてアラクネイヤは私を突き飛ばす。何とか剣を抜こうと柄を掴み引っ張っている。
剣を引き抜き、地面に捨て、
「クソクソクソクソ!! コンナザコドモナンカニィ!!」
「終わりよ! 炎の魔精よ 魔の物を熔かし尽くす灼熱の矢となれ!!」
ユリィさんはそう唱えると、掌の炎が太陽の様に光る一本の矢になり、その矢は私のつけた傷に吸い込まれていくように飛んでいく。
そして、そのまま命中した。
「アガァァァア!!!」
ドロドロとアラクネイヤは身体を維持することが出来ず溶けていく。
「ユルサナアイ!! コロスコロスコロスゥ!!」
私達に手を伸ばしてくるが、そのまま溶けていき、残ったのはただの土の塊だった。
「フフン、まぁアタシの手にかかればこんなもんよね。アンタも感謝しなさい! この天才魔法使いユリィ様にね!」
「ユリィさん」
「何よ? フフッ、素直ね、素直な子は嫌いじゃ──」
私は、彼女を抱き締めていた。
「ちょっ、ちょっとなに?」
何故か、分からない。
でも、今は抱き締めないといけないと思った。
「ユリィさん、何があったんですか?」
「なにって言われても……」
「教えて下さい、ユリィさん」
私は彼女の両肩を掴み、見つめる。
「……わかったわよまず──」




